Monthly Archives: 11月 2012

大切なもの

先週末で最後の営業を終えて、もう四日が過ぎようとしています。
当ブログに続々と投稿されるコメントを拝見するにつけ、常連のお客様だけでなく未来のお客様までもが、僕のお店のことを大切に愛おしく思ってくださっていたのが、痛いほどよくわかりました。本当に嬉しいかぎりです。そういえば、閉店にあたりお花・鉢植え・お土産等々、沢山のお品を頂戴してしまい、この場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

閉店のご案内をして以来、実店舗にご来店いただいたほぼすべてのお客様から、「ブログだけでも残してください」との、たいへんありがたいお言葉を、連日頂戴いたしました。お店の後処理の進み具合の状況をみて、徐々にやっていきますので、ときおりチェックしていてください。

なんだかぽっかりと大きな穴が胸の辺りに開いてしまったような気分ですが、すこしずつお店の内外の片づけをやっています。
お店の中にあった「大切なもの」、そしてお店の外にあった「大切なもの」。レコ・ジャケはフレームを、昨日外した看板は裏表を綺麗に拭いてあげました。看板を乾かす際に、何も意識せず無造作にちょっと置いてみたら、その二つがいつのまにか仲良く納まっているじゃありませんか。

 

過去記事でも何度か触れましたけど、18歳の時に出逢った “My Foolish Heart” が収録されたこのレコード(アルバム)は、僕のそしてお店の宝物。この作品に出逢ってなければ、間違いなく cafe Mellows はこの世に存在しなかったといえます。そのくらい大切なもの。

どちらも大事に、家に連れて帰らなきゃ。

 


Bill Evans Trio / “My Foolish Heart” (album: “Waltz For Debby” – 1961)

季節が一気に冬へと舵を切ったようです。
皆様くれぐれも、ご自愛ください。

 

 

 

【閉店のお知らせ】 ありがとうございました

いつもカフェ・メロウズをご利用いただきまして、ありがとうございます。

すでにご案内の通り、当店は本日の営業をもちまして、閉店することとなりました。

これまでのご愛顧に、心より感謝申し上げます。

先週のイベントの際も、今週末の三連休も、沢山のお客様にご来店いただき、

本当にありがとうございました。

それから、僕のこんな「生き方」に理解を示してくれた家族みんなに、感謝いたします。

ありがとう。

 

みなさんに出逢えた奇跡に、心より感謝いたします

 

“cafe Mellows” は CLOSE いたしますが、いつも皆さんの心のどこかで生き続けていられたら、うれしいのですが。

しばらくの間、当ブログ内(Web 空間)で営業を続けさせていただく予定です。(笑)

いつかまたお逢いできる日が来るまで、どうか皆さんお元気で。

 

マスター 増田雅昭



The Carpenters / (They Long to Be) Close to You (1970)

 

Mellows の最後のお客様となった、写真家のオダギ先生が、ようやく紅く染まりライトアップされたシンボルツリーの「もみじ」を、素敵に切り撮ってくださいました。ぜひ、ご覧ください。
→ フォトギャラリー・ブログ【NEXT HORIZON・Shu Land Annex】
先生、ありがとうございました。

 

 

 

『優しい時間』

 

お店が閉店することもあって、沢山のお客様にご来店いただき、懐かしくお元気そうなお顔を拝見するにつけ、なんだか自分のしてきたことの影響をジワリと感じる、ここ数日です。

そんな中、今年の3月に僕が被災地での珈琲ボランティアのサポートに出向いた際に、今後の活動費をご寄付いただいたお客様も久しぶりにご来店いただきました。震災直後より活動を 継続している、被災地でのボランティア・カフェ『スマイル』さんですが、マスターは現在も毎月定期的に現地に赴かれて、仮設住宅脇のスペースで、変わらず珈琲を無料でサービスしていらっしゃいます。当店の大切なお客様よりお預かりしたご寄 付については、珈琲豆の購入等に大切に遣わせていただいておりますのでご安心ください。この場をお借りして、店主より代わってお礼を申し上げます。僕もお店の方が一段落したら、いずれまたご一緒させていただければと思っています。

さあ、泣いても笑っても、いよいよ明日で cafe Mellows の営業も終了となります。
寂しさも、その他諸々の感情がない交ぜになり、うまく心境を言葉にすることができません。

ところで皆さんは、今から7~8年前に民放で放映された「倉本聰」さん脚本の連ドラ『優しい時間』をご覧になったことがあるでしょうか。
「北の国から」「風のガーデン」と並んで、いわゆる「富良野三部作」と呼ばれる作品群のひとつですね。主演の「寺尾聡」が演じる主人公「涌井勇吉」が、亡くなった奥さん(大竹しのぶ)の故郷の北海道・富良野の森の中で営む喫茶店「森の時計」で、日々起こる出来事と「嵐の二ノ宮クン」演じる息子との親子関係の修復の過程を軸に、毎回ストーリーが展開されていくといった、とっても心が温まる素敵な作品でした。
このドラマのマスター役であった寺尾聡は、ほんとに不器用で、えらく頑固者で、でもひたすらに優しい人物像を、素敵に演じていました。僕にとっては、ある意味憧れの父親像でもあり、目指すべき喫茶店のマスター像でもありました。

 

 

ドラマのシナリオのようなストーリーではなくとも、この場所で皆さんと共有できた穏やかで『優しい時間』は、メロウズにとっても僕にとっても、宝物のような時間でした。できることなら、もっともっと一日でも長くそうしていたかったのですが、ものごとには始まりがあれば、終わりがあるもの。勝手を言って申し訳ありませんが、どうかご容赦ください。

このドラマで使われた主題歌は、平原綾香が歌う『明日』でした。
今まさに営業を終えようとしているお店と僕の立場を代弁してくれているようで、なんだかやけに詞が心に染みてきます。
この曲で、“cafe Mellows” をこれまで可愛がってくださった皆さんに、『心からのありがとう』をお伝えできればと思っています。

 

【明日】  歌:平原綾香 / 詞:松井五郎 / 曲:アンドレ・ギャニオン

ずっとそばにいると あんなに言ったのに
今はひとり見てる夜空 はかない約束

きっとこの街なら どこかですれちがう
そんなときは笑いながら 逢えたらいいのに

もう泣かない もう負けない
想い出を越えられる 明日があるから

そっと閉じた本に 続きがあるなら
まだなんにも書かれてない ページがあるだけ

もう泣かない もう逃げない
なつかしい夢だって 終わりじゃないもの

あの星屑 あの輝き
手を伸ばしていま 心にしまおう
明日は新しい わたしがはじまる

 

夢の続きの『第二章』があるのなら、またいつかどこかで、再会できたらうれしいです。
それまで皆さん、どうかお元気で。

ありがとうございました。

 

カフェ・メロウズ 店主

 

※ cafe Mellows の営業は、明日11/25(日)で終了となります。

The Last Rainy Day @ Mellows

3連休最初の朝から雨ですね。

お客様をお迎えできる、最後の雨降りの午後となりそうです。

 

 

でも、珈琲を戴くには、このくらい寒い方が、さらに美味しく、温かく感じるもの。

 

 

どこへ行かれるにも、暖かくしてお出かけください。

 

 

【episode】 『二人分の珈琲』

いよいよ明日からの三連休を最後に、cafe Mellows も営業を終えることになります。
わずか一年間の営業とはいえ、足を運んでいただいたお客様は数千人を超えており、ご愛顧いただいたお客様はもちろんのこと、寂しい想いは店主も同じです。こちらの都合で、メロウズを大切に思ってくださっている皆さんの「心のよりどころ」が失われてしまうことに対して、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいです。

そんな複雑な気持ちが交錯する今、いつか何らかのかたちでご紹介したいと思っていた、「珈琲」と「喫茶店」にまつわるひとつのエピソードを、最後にご紹介させてください。

このストーリーは、僕の原点となる軽井沢にある喫茶「ばおばぶ」(現在:「ふりこ茶房」)さんのマスターから、数年前に伺った実話です。

 

 

軽井沢といえば誰でも知っての通り国内有数の「別荘地」ですが、近隣の別荘地にお住まいのある老夫婦が、よくお店にいらしていたそうです。
しばらくお見えにならないなと思っていた頃に、ある日奥様だけがおひとりでご来店され、いつものお気に入りの席にお座りになり、穏やかな様子で『珈琲、二つお願いします』とご注文をされました。オーダーを受けたマスターは、「ご主人は後からいらっしゃるのかな..」と思いつつ、いつも通り丁寧に二杯分の珈琲を淹れ、テーブルまで運び珈琲をテーブルに置こうとしたそのとき、奥様が羽織っていた服の懐に、何かを大切そうに抱えていらっしゃるのが見えました。奥様が大切に胸にしまっていたのは、ご主人の「遺影」だったのです。
瞬時に事の次第を察知したマスターは、表情ひとつ変えることなく、二人分の珈琲をテーブルに差し向かいにそっと置き、「ごゆっくりどうぞ」とだけ言葉を掛けて、静かに厨房に引っ込んだそうです。
ご婦人は、窓の外の景色を眺めながら、ゆっくりと時間を掛けて、今は亡きご主人の分の珈琲も飲み終え、お帰りの際に「生前に、主人がどうしてもまたこちらで珈琲を飲みたいと、ずっと申しておりましたので..」とお話をされ、寂しそうではあったもののどこか納得をされたご様子でお帰りになったそうです。

 

 

実話とはいえ、すべてを忠実に再現ができているかわかりませんが、お店が愛されるというのは、こういったことを言うのだろうと、このお話を初めて聞かされたときはもう涙が止まらなかったのを記憶しています。開店以来「30年」という途方もない時間を経てきた歴史と、それまで培ってきたお客様とお店との信頼関係が、そうした心温まるストーリーを生み出したのだといえるのではないでしょうか。
将来自分がお店を持つ時は、流行り廃りとは無縁であっても、それくらい愛されるお店を目指そうと、心に決めたものでした。しかしながら、時代が求めているものと自分の目指す場所との間には、大きな隔たりがあったことは否定できない事実でした。

結果として「30年」とは比較にならない短い時間でしたが、”cafe Mellows” は、皆さんの心の中にそんな「大切な何か」を残せたのか、正直なところ今の僕にはわかりません。

残すところ、あと3日の営業となりますが、そんな心温まるストーリーをポケットにそっとしまって、心を込めて珈琲を淹れたいと思っています。

 

※ cafe Mellows の営業は、11/25までの金・土・日の週末で終了となります。