Monthly Archives: 2月 2017

AC Tunes ~ Vol.47 【Najee】

さて今回の「AC Tunes」では、デビュー時よりずっと聴き続けてきた米国のサックス・プレイヤーで、今やもうベテランの域に入ってしまった「Najee」の2ndアルバム「Day by Day (1988)」に収録されたヴォーカル入りのメロウな作品『So Hard to Let Go』をご紹介します。

 


Najee – “So Hard to Let Go”   (album: Day By Day – 1988)

 

フィーチャリングされた女性ヴォーカリストは Janice Dempsey (ジャニス・デンプシー)という、当時NYで勢いのあったHush Production系のアーティストで、Freddie Jackson や Lillo Thomas 等のバック・コーラスを勤めていた実力派のシンガーです。このリード・ヴォーカルを取った後、Hushの総帥ポール・ローレンスのプロデュースでアルバムも出してます。Hush 系のアーティストについては幾つか記事をUPしてますので、興味がある方はこちらへどうぞ。)

肝心の『Najee』の方はといえば、1986年以来約二年程度のインターバルで新作をコンスタントにリリースしていますね。デビュー当時はまだ「Smooth Jazz」なんてシャラくさい表現のカテゴリーが存在してなかった頃で、「アーバン・コンテンポラリー・ジャズ」などとジャンル分けされたりしていた記憶がありますが、キャリアとしてはもうかなり長く第一線で活躍している印象を受けます。ただ、僕自身はやはり初期の作品の方が好きですね。

実は当ブログにアクセスしてくださるプロのミュージシャンの方々、有難いことにほんとに沢山いらっしゃるんですが、なんだかサックス奏者しかも女性のミュージシャンの方が大変多くて、今後はサックス奏者の作品も色々取り上げていかないとなと思っています。個人的には、バリバリの「サンボーン世代」なので、やはりメロウで歌心のあるプレイヤーが好みです。

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.113 【Roy Ayers】

Roy Ayers(ロイ・エアーズ)はアメリカのジャズ・ミュージシャン、ヴィブラフォン奏者。
自身のバンド、Ubiquity(ユビキティ)と共にジャズとファンクを融合させた音楽を生み出す。その独自性はアシッドジャズやレア・グルーヴ、ヒップホップに関わる人々に再評価されている。
(出典:Wikipedia)

 

 

以上が、ウィキペディアによるロイ・エアーズの簡潔な紹介文です。
太平洋戦争開戦直前の1940年生まれだから、今年で77歳を迎える、大変長いキャリアを持った大物 Jazz Men の一人と言えましょう。
最近よくこの人の古いアルバムを聴くことが多くて、そういえばこれまで一度しか彼の作品を紹介する記事(Mellow Tunes ~ Vol.25)をUPしてなかったので、これを機会にいくつかご紹介してみようと思います。

この人の作り出すサウンドは本当に色褪せることがなくて、どの時代に聴いてもいつも新鮮で、「古さを感じさせることのない」音作りには、本当に感心してしまう。

 

Roy Ayers / “Baby Set Me Free” (album: Naste – 1995)

 

 

Roy Ayers / “Mystery of love”
(album: VIRGIN UBIQUITY: UNRELEASED RECORDINGS -1976)

 

美しいヴィブラフォンの音色といい、色気と艶のあるヴォーカルも、そして変幻自在のアレンジと時代への対応力、どれをとっても素晴らしいとしか言いようのない、稀有なアーティスト。それがロイ・エアーズ。まだまだ時代を引っ張っていって欲しいものです。
 

 

Mellow Tunes ~ Vol.112 【Sottotono】

毎日少しずつに日中の時間が長くなり、『三寒四温』を繰り返し「春」を待つ季節となってきました。

前回の「Mellow Tunes」でイタリアで活躍中のシンガー・ソング・ライターの Al Castellana(アル・カステラーナ)の紹介をしましたが、その際ついでに「伊達男」が沢山いる ITALY では、どんなアーティストがいるのかちょっと興味があったので、YouTube 内をあちこち徘徊してみました。

洋の東西を問わず、やはり米国発のカルチャーの「音楽」や「映画」に至っては、世界中のあらゆる国々への影響が想像以上に大きくて、米国の「SHOW BIZ」の持つパワーを強く感じざるを得ません。

1980年代中期~90年代中頃までが最大のピークを迎えていたと記憶しているけど、米国発祥の「Hip-hop」「Rap Music」は、アジアの一部である日本はもちろん欧州でも若者の間では人気があり、多くのローカル・スターを輩出しているようです。
僕は以前から、「Black Music」全般に至って大好きではあるものの、どうしても「ヒップ・ホップ」と「ラップ」に関してはアレルギーが出てしまい、いまだになかなか受け付けないし、それほど自らすすんで聴きたいとも思わないのです。「真のR&Bフリーク」ではないと言われれば、なんともお答えのしようがないのですが、こればかりは好みというか体質的な問題なので、個人差があっても仕方がないのかなと思うところです。
例外として、ちゃんと「メロディ」があって「歌心のある」アーティストが、アルバムの中に収録した「ラップ」が部分的に導入されているようなものは、かえって新鮮さを感じたりするのですが、基本的にはあまり食指が動きません。

でもやっぱりあるんですよね、「メロディ」「グルーヴ」「コーラス」を持ち合わせたようなラップが。正直、これにはやられました。
『Sottotono』(ソットトーノ)は1994-2001年まで活動していた、イタリア国内で人気のあったヒップ・ホップ・ユニットで、今回取り上げる作品は同じイタリア国内で活躍する女性シンガーの「Jasmine」をフィーチャリングした、それはそれはとてもメロウなラップに仕上がっています。見た目はいかにもギャング・スター風の一見悪そうなアンちゃん二人組ですが、そのサウンドはといえば…

 

Sottotono – “Dimmi di sbagliato che c’è”
 

ここ数日間、この曲のグルーヴが頭から離れず、参りました。イタリア語はさっぱり分かりませんがラブ・ソングであることは間違いないのでしょう。それにしてもこれを「mellow」と呼ばずしてなんと呼びましょう。なんとメロディアスで美しいラップなんでしょう。こういうのは、大歓迎です。「目からウロコ」のイタリアン・ラップには驚きました。やっぱり世界は広いですね。

尚、この曲には、当ブログでも過去に取り上げたことのある Ray Parker Jr. & RAYDIO による “A Woman Needs Love”をサンプリングした、別のVer.も存在しており、そちらも人気があるようです。(視聴はこちらへ)

 

 

AC Tunes ~ Vol.46 【Al Castellana】

関東地方では先週「春一番」が吹き荒れ、二月とはいえ日中は気温の上がる日が増えてきました。いよいよ花粉とともに、春の到来の予感ですね。そろそろ皆さんの周辺でも始まる「出会いと別れ」の季節でもありますが、体調を崩しやすい時期でもありますので、皆様どうかご自愛ください。

さて今回の「AC Tunes」では、先日急逝した偉大なシンガー「アル・ジャロウ」とは別の「アル」さんで、イタリアで活躍中のシンガー・ソング・ライターの Al Castellana(アル・カステラーナ)の紹介をいたします。
 
今年で53歳になるアルさんは、自分とまさに同年代のアーティストだけに、これまで聴いてきた音楽が自身の作風に顕著に現れているような、そんな印象を受けるアーティストのひとりです。
前々回 Vol.44で紹介したドイツ人アーティストの Jeff Cascaro (ジェフ・カスカロ) もそうですが、米国発のSoul/R&b/Jazzなど黒人音楽をルーツとするいわゆる「Black Music」に多大な影響を受けて育った世代と言えるでしょう。

アル・カステラーナは、これまで当ブログでも何度かご紹介したことのある Mario Biondi(マリオ・ビオンディ)同様に、イタリア国内ではとても人気のあるいわゆる「Blue Eyed Soul」系のアーティストとして認知されています。アルより一回り若いマリオはもう少しJazz寄りで、世界中のメジャーなアーティストと精力的にコラボしたりしてますが、アルさんに至っては、どちらかというとイタリア国内またはEURO圏に存在する1970年-80年代のコアなソウル好きなオーディエンスに向けて、自身の音楽をマイ・ペースで発信しているような感じを受けますね。

なんの変哲もない低予算のありきたりなPVを見る限り、一見そこら辺にいるような、僕自身と同様の普通のおっさん風ではありますが、少しファルセット気味のジェントル・ヴォイスには、少々お疲れ気味の大人の皆さんへ、かなりの癒し効果が期待できますよ。
では、2013年リリースのアルバム「OUTSIDE MY WINDOW」より、『My Woman』をどうぞ。

 


Al Castellana / “My Woman” 
(album:  OUTSIDE MY WINDOW – 2013)

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.111 【Bruno Mars】

グラミー賞を過去7度も獲得し、文字通り Jazz Vocalist の伝説となった、アル・ジャロウ(Al Jarreau)の訃報が伝えられる中、現地時間2/12に執り行われた2017第59回グラミー賞授賞式は、英国人アーティストの「Adele(アデル)」が主要部門を総なめするといった結果で、音楽の夢の祭典は幕を閉じた。

 

毎年気にしているわけではないけれど、トランプ氏が大統領になって最初のグラミー賞授賞式ということもあって、自分も含め世界中から大きな注目を集めていたのは間違いない事実であろう。多くの参加・受賞アーティストからも「人種」「国籍」にまつわる「偏見や差別」を否定する類のメッセージが、これほど目立ったグラミーも珍しかったのではないだろうか。
結果として多くの部門でのグラミーを受賞した「白人」アーティストである「アデル」から、さながら一騎打ちの様相を呈していた「黒人」アーティストである「ビヨンセ」への感動的なメッセージが発せられたのも、今の国際社会で問題視されている合衆国大統領へのシニカルなメッセージと捉えられなくもない。少し前に行われたスーパーボウルのハーフ・タイム・ショーで、大観衆に同様のメッセージを送った「レディ・ガガ」のパーフォーマンスも、大々的に世界に向けて発信されていたのも記憶に新しい。

 

今回取り上げる『Bruno Mars』は、世界的規模で大変なセンセーションと売上等あらゆる記録を更新中の New Album 『24K Magic』が、アルバムの発売時期が2017年度のグラミーのノミネートから外れていて来年2018年度の審査対象となることから、今回は客演といったかたちで、授賞式を大いに盛り上げたようだ。

もうすでにYouTubeなど多くの動画サイトにUPされているように、昨年亡くなったPrince(プリンス)を追悼するトリビュート・コーナーで、映画「PURPLE RAIN」でもお馴染みのかつてのプリンスの盟友「Morris Day(モリス・デイ)」率いる「The Time」と競演を果たした。紫のスーツと映画の中で使用された白いエレキ・ギターを携え、名曲「Let’s Go Crazy」をプリンスと縁の深いミュージシャンたちと演奏する様は、まさに現代を代表するスターそのものだった。圧巻のラストのギターソロもそうだが、幼い頃からマイケル・ジャクソンプリンスがアイドルだった現在31歳となったブルーノは、故プリンス同様に歌だけでなく、ドラム等多くの楽器もすごいレヴェルで演奏してしまう。もっとも一番飛び抜けているのは、復活させた1980-90年代のサウンドとその圧倒的なダンス・パフォーマンスに他ならない。

ブルーノのおかげで、『メロディ』『グルーヴ』が大事にされていた時代の音楽が、現代に戻ってきたのは間違いのない事実であって、あの『New Edition』の復活等、80年-90年代に活躍した世代のアーティストが世界的にも見直されてきているムードが充満しているように感じるのは、かつての全盛時を知る者なら誰も否定しないであろう。ブルーノによるこの功績は、本当に大きい。ある意味ノーベル賞モノといってもいいくらいだ。Babyface がソング・ライティングとプロデュースに協力した「To Good To Say GoodBye」など、メロディやコーラスを大切にした作品にはとても好感が持てるし、ブルーノのように影響力を持ったアーティストが、こういった傾向を前面に押し出していくことは、大変有意義なチャレンジであり、個人的にもこのサイトを利用して全面的に応援したい。

 

Bruno Mars : To Good To Say GoodBye [24K MAGIC]

 

 

Bruno Mars – 24K Magic [American Music Awards Performance]

 

 
プエルトリコ人の父とフィリピン人の母親の間に生まれ、マイケルやプリンスに憧れてハワイで育ったブルーノの存在を見ても、「米国」という国の持つその多様性がこれだけのアーティストを育んだ、ひとつの答えではないだろうか。「移民」がとか「人種」がとか、自分の国の歴史を否定しかねないことになりやしませんか。どこかの国の首脳と、のんきにゴルフなんかやってる場合じゃないだろうに。