Monthly Archives: September 2017

Mellow Tunes ~ Vol.136【Jamie Cullum】

季節も徐々に秋めいてきました。
昔から「なんとかと秋の空は変わりやすい」と言われるけれど、ここ数日の間で、政局が大きく動き始めました。日本史的に見れば、まるで「関ヶ原」前夜のような雰囲気じゃありませんか。
新勢力に対する批判が多くあるようですが、「HOPE」(希望)というものは、たとえ「絵に描いた餅」であれど、「ないよりあった方がいいのでは」、と自分は考えます。そして、どんな組織であれ、最初はみんな「烏合の衆」であることに変わりはありません。その段階を経て盤石になっていくものです。一強だからこそ、チェック機能が麻痺し、子供でも分かるような理不尽なことが罷り通って来たことに気付かない程、日本国民は馬鹿ではありません。

 

 

長期政権を委ねられているドイツのメルケル首相はもちろんのこと、先進国で女性の宰相や大統領選出が実現できていないのは、いったいどこの国でしょうか。米国・イタリアそして我が国日本くらいのものです。父親や爺さんの威光を借りて過保護に生きてきた「お友達」「身内」が大好きな坊ちゃん政治家よりも、よほど肝が座っているように見受けられます。
つまりは、遅ればせながらいよいよそういう変革の時代が、この国にもやってきたということです。どんな事柄であれ一時的な混乱は仕方のないことで、いつかは収束するもの。大きく時代が変化するタイミングがやってきたわけですから、選挙権のある国民は全員投票するくらいのつもりでなければいけません。
仕事の関係もありますが、ちなみに僕はいつも簡単・らくちんな期日前の「不在者投票」です。とてもありがたい制度なので、もっと多くの皆さんに利用してもらいたい制度ですね。言いたい事がある人は、投票という義務を果たすべきです。未来に向けて、きちんとした二大政党制を築いていくためには、通過せざるを得ないステップなのだと、自分は思います。

 

 

Jamie Cullum(ジェイミー・カラム)もこんな秋から冬に向けて、そのヴォーカルに触れたくなるようなアーティストの一人です。英国出身のジェイミーが学生時代に取り組んだJAZZのスタンダードをカヴァーしたデビューアルバム『Heard It All Before』は、1999年ちょうど彼が20歳の頃に発表されました。童顔で知られる現在は38歳となったジェイミーですが、現在のようなオリジナル・スタイルが顕著な歌い方とはちょっと違って、当時の若さ故の荒削り感がかえって初々しい印象の、「ピアノ・トリオ」によるアルバムです。そんな中から、JAZZスタンダードの中でも僕も大好きな『My One and Only Love』を取り上げます。

 


Jamie Cullum Trio – “My One And Only Love”
(album: Heard It All Before – 1999)

 

ここ3年くらいはニューアルバムのリリースから遠ざかっているようですが、そろそろ新作の発表が待たれます。

また過去記事で、ジェイミーが担当した、Clint Eastwood(クリント・イーストウッド)主演映画『Gran Torino(グラン・トリノ)』のテーマ曲を取り上げています。映画同様に大変素晴らしい楽曲ですので、興味のある方はぜひご覧ください。

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.135【Ray Charles】

ますます混沌とする「国際情勢」や「国会周辺」でのドタバタなど、気になることは色々ありますが、そんなこととは裏腹に、秋の空を眺めれば、毎日のように表情豊かな雲たちがこの季節でしか見せてくれないショーを繰り広げています。特に夕刻の空の表情は、ほんの30秒から1分くらいで様子がだいぶ変わるもので、大変興味深いものがあります。

 

 

さて、今は亡き「Ray Charles」(レイ・チャールズ)の本作品なども、こんな秋になると、聴きたくなる曲のひとつです。
Baby Grand” は、「ピアノ・マン」として僕らの世代では永遠に記憶されていくに違いない Billy Joel(ビリー・ジョエル)のペンによる、1986年にリリースされたビリーのアルバム「The Bridge」に収録された美しいバラッドです。
ビリー曰く「Ray Charles was my hero when I was growing up」 と、全盲の「ソウルの神様」と讃えられた「レイ・チャールズ」に、小さな頃から憧れ続けた彼が、共に「Grand Piano」を弾きながら歌うその共通のスタイルに、愛する『Baby Grand』(小型グランド・ピアノ)へのリスペクトを込めた賛歌ともいえるのが、本作品 “Baby Grand” です。たった一夜で書き上げたという、この楽曲へのビリーの入魂ぶりは、当時のPVを観てもよく伝わってきます。

 


  Billy Joel ft. Ray Charles – “Baby Grand”
(album: The Bridge – 1986)

 

レイ・チャールズが他界して早13年。こんな「Soul Man」は、もう二度と出てこないでしょうね。2004年に彼が他界した直後に公開された伝記映画『Ray/レイ』は、「アカデミー音響賞」そして驚異的な演技力と歌唱・演奏力をもってレイを演じた Jamie Foxx(ジェイミー・フォックス)は「アカデミー主演男優賞」を受賞したけれど、レイ本人は映画の完成を待つことなく夜空の大きな星となってしまいました。
映画については過去記事でも一度触れたことがありますが、この映画作品は米国における「アフリカン・アメリカン」に対する壮絶な人種差別に関する深く悲しく辛い過去や歴史を学ぶのにも、よいきっかけともなる非常に貴重な作品なので、興味も持たれた方はぜひともご覧になってみるとよいかもしれません。今では身近となった「Jazz / Soul / R&B / Blues / Gospel」といったカテゴリーの黒人音楽が、そういった出自を同じくする源流から流れ出て枝分かれしていった背景や歴史を、分かりやすく捉えることができるかもしれません。参考までに、映画のトレイラーをUPしておきましょう。それと、感動的なシーンも。

 

Ray (2004) – Trailer

 

Ray (2004) – Best Movie Scene
 

 

それから余談ですが、「Southern All Stars」 は桑田氏が放った不朽のバラッド『いとしのエリー』を、1989年にレイ・チャールズがカヴァーした『Ellie My Love』も素晴らしかったですね。
当時「SUNTORY WHISKY – WHITE」のCMソングとして、レイにオファーしたことで実現した企画でしたが、桑田氏が『嬉しかった。嬉しいを超えている』とコメントしたのは、かなり有名な話です。

 


Ray Charles – “Ellie My Love” (1989)

 

R.I.P. – 安らかに眠れ

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.134【James Vargas / Kirk Bailey】

だんだんと、幾つかの台風をやり過ごしていくうちに、「秋」がメロウ(mellow)になっていくのを感じます。これからの「秋から冬」にかけてが、当ブログでご紹介する音楽の数々にとっては、言ってみれば『旬』みたいなものです。
すこしばかり肌寒い「夜」が長くなるこれからの季節には、やはり大人向けの「音」が必要不可欠で、不思議なことに音楽を聴くための「耳」が繊細に反応するのも、この季節ならではといった感じがします。
 

 

 

今回は、かつては「Fusion」と呼ばれ現代では「Smooth Jazz」と称されるカテゴリーに属する、Saxophonist を二人ご紹介します。もはや米国の国民的サックス奏者となってしまった「Kenny G」がメジャーになるにつれ、このカテゴリーのサックス奏者は、大方のプレイヤーが楽曲に応じて「テナー」と「ソプラノ」を上手く使い分けて、演奏なりレコーディングをすることが多いですが、こちらの二人もその典型的なスタイルのようです。近いうちに取り上げる予定ですが、このカテゴリーで今一番勢いのある米国のサックス奏者『Boney James』(ボニー・ジェイムス)なども、やはり両刀使いで、もっともセールスが見込めるアーティストの一人ですね。
 
さてまずは一人目、英国出身のサックス奏者「James Vargas」(ジェイムス・ヴァーガス)のご紹介。 同じ「Smooth Jazz」分野の人気キーボーディスト「Oli Silk」に見出された彼が2004年にリリースした、自身の名を冠した唯一のオリジナル・リーダー・アルバムから、Super Mellowな『Curtain Call』を。Jamesにいたっては、その後自身のリーダー・アルバムのリリースがありませんが、ぜひ新作を聴いてみたいと思うアーティストです。

 

James Vargas – “Curtain Call”
(album: James Vargas – 2004)

 

そして2作品目は、今年4月にリリースされた米国NYはQueens出身のサックス奏者『Kirk Bailey』(カーク・ベイリー)による、これまた大人向けのメロウな作品『Saxy Smooth』を。
おそらくこれが初のリーダー・アルバムだと思われますが、今後の安定的なアルバムの発表を期待いたします。
なにせ現代のこのカテゴリーにおいては、世界的なセールスが実現できないが故に、売れないとずっと下積みが続いてしまうようなところがあるので、個人的にはぜひとも期待したいところです。

 

 


Kirk Bailey – “Saxy Smooth”
(album: Saxy Smooth – 2017)

 

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.132【Puff Johnson】

徐々に進みつつある秋の深まりとともに、ふと見上げた空に浮かんだ初秋の雲たちをぼんやり眺めていると、身近であるとかそうでないとかに関係なく、今は亡き人たちに想いを馳せることが多くなってくる気がします。たぶん、歳を取ったせいかもしれません。
しかし、この時期の『ゆきあいの空』の数々は、表情が豊かで本当に感慨深いものがあり、写真として残しておくべき、美しい天空ショーの季節の幕開けです。

 


 

「Puff Johnson」(パフ・ジョンソン)という名の、米国の女性R&Bシンガーの存在を知っている人がいったいどれくらいいるでしょうか。おそらくご存知の方は、相当なブラック・ミュージック愛好家と想像されますが。
1996年に彗星の如くデビューし、そのたった一枚だけのオリジナル・アルバムを遺して、4年前に癌との闘病の末40歳で生涯を閉じた、伝説の歌姫といっても過言ではないでしょう。エモーショナルで透き通った天性のヴォーカルは、クラッシックなSOULミュージックを歌わせたら、きっと凄いカヴァー・ソング・アルバムが誕生したのではと思えるくらい、少し遅咲きな数十年に一度出るかどうかの天才シンガーでした。

デビュー・アルバム「Miracle」の総合プロデュースを任されたのは、当時勢いのあったドラマー出身の「Narada Michael Walden」(ナラダ・マイケル・ウォルデン)でした。US R&B CHART 61位といった結果を見る限り、大きな成功ではなかったとはいえ、本アルバムにはスロウ・ミディアムでメロウな秀作が多数収録されていました。今回取り上げる『Love Between Me & You』も、そんな作品のひとつです。

 

Puff Johnson – Love Between Me & You
(album: Miracle – 1996)
 

 

R.I.P. – 安らかに眠れ

 

 

AC Tunes ~ Vol.60【Michael McDonald】

9月も中旬に入り、季節はといえば、夏と秋が行ったり来たりして、なんだか忙しい様子です。日中は残暑がきつく感じる日もあるくらいですが、最近よく見上げる空の様子は、やはり秋のものに変化してきています。心なしか、夏のそれよりは「空が高く」見えるもので、しかも「雲」の様子も実に多種多彩で、ぼんやり眺めていて飽きのこない空模様は、やっぱり「秋」のものなんだと、しみじみと感じる今日この頃です。

 

 

前回は天に召されて間もない、「Walter Becker」(ウォルター・ベッカー)の訃報に関する記事をUPしました。気がつけばいつの間にか、創始者コンビである「Becker/Fagen」両氏のみが残る二人だけのバンド(ユニット)となって久しかった、『Steely Dan』(スティーリー・ダン)という世界の音楽史上稀有なスーパー・バンドには、かつて多くのミュージシャンが一時的に在籍していたことでも有名です。当ブログでも何度も取り上げてきた、Michael Mcdonald (マイケル・マクドナルド)も、活動後期の「The Doobie Brothers」(ドゥービー・ブラザーズ)のメイン・ヴォーカリストである以前に、初期のスティーリー・ダンに関わったその一人だということは、音楽好きの方であれば皆さんよくご存知の事実。そのマイケルが、このタイミングで9/15になんと「9年振り」の新譜『Wide Open』をリリースすることになるとは、誰もが予想していなかったことでしょう。やはり不思議な縁で、彼らはどこか繋がっているんだろうなと、そんなことをふと思いました。

 


Michael McDonald – “Wide Open” Trailer

 

亡くなったウォルターとは年齢が1・2歳しか離れてはいないマイケルは、白人でありながらも黒人アーティストと遜色ない声とセンスを持ち合わせた「Blue-Eyed Soul」の代表格と言われて久しく、現在65歳となった今でも持ち前のソウルフルなヴォーカルはいまだに健在です。
1983年だったと記憶してますが、当時「SUNTORY」がメイン・スポンサーとなって、西海岸を中心に活躍するAOR系の大物アーティスト(BOZ SCCAGS / JOE WALSH)を招いたコンサートで、一緒に来日したマイケルのライブを体験したことがありますが、実にエネルギッシュでなによりその「ソウルフル」な彼特有のヴォーカルに心酔したことをよく覚えています。彼が2003年・2004年と立て続けにリリースした『MOTOWN』『MOTOWN TWO』、そして2008年にリリースの『Soul Speak』といった作品群では、いまではソウル・スタンダードとなった楽曲の数々を、マイケル自身の解釈でレコーディングしており、彼の愛する黒人音楽へのオマージュとリスペクトで満ち溢れた素晴らしい作品となっています。過去記事でも紹介していますが、ぜひとも聴いていただきたい名盤たちです。マイケルにしても、ドナルド・フェイゲンにしても、まだまだ時代を引っ張っていけるだけのパワーを持ち合わせていると思うので、ぜひとも現役を続けて欲しいところです。

 


Michael McDonald – Find it in Your Heart
(album: Wide Open – 2017)

 

 

AC Tunes ~ Vol.59【Walter Becker – R.I.P.】

なんてことだ、米国と言わず世界中のミュージシャンやアーティストの多くが憧れ続け、そして20世紀の音楽史上多大な影響を聴く者に与え続けた、偉大なバンド(ユニット)である『Steely Dan』「Walter Becker」(ウォルター・ベッカー)が、67歳で9月3日に天に召されてしまった。

 

 

9月に入ってのあまりに急な訃報に、学生時代からの音楽好きの友人KUBO氏と共に、なんだかこの現実にお互いうまく対応できず、戸惑いを隠せないでいる。かねてから「自分たちの完璧なサウンドはライブでは再現不可能なので、コンサートをやることはない」と断言していた彼らのLIVEを現実のものとして見る為に、僕らのような世界中の熱心なファンは、バンドの絶頂期を経て本人たちのLIVEへの意識が変わるまでに、それから10年以上の歳月を費やすことになった。やがて社会人となり家庭や子供を持った後に、武道館で見たウォルターの姿に、まさに「ギター職人」という印象が強く残ったのを記憶している。折りしも今月下旬に「Nightflyers」と名付けたバンドを伴って来日予定のフェイゲン氏だけれど、幾つかのメディアでの追悼声明を正式にリリースしたものの、それはもう想像を絶するほどに、大きな心の痛手となっていることだろう。
[ウォルターの逝去した9/3以降の北米でのLIVEツアー、そして来日公演も中止が決定したそう。フェイゲン氏の急病ということだけれど、心配だ…]
 

Vocalを務めることから、相方の「Doanld Fagen」(ドナルド・フェイゲン)の存在の方が昔から話題になりがちとはいえ、スティーリー・ダンの音楽は「Becker/Fagen」のどちらが欠けても成り立たないのは、古くからのファンなら皆納得の事実だ。技術的なことはともかく、ウォルターのギターとベースから繰り出される音は、他の誰もが真似のできない独特の、そうまさに「ONE & ONLY」のサウンドだった。高校生の頃に初めて出逢った彼らのその「音世界」に衝撃を受け虜になり、社会人になってもう人生を折り返した今となっても、彼らの音楽は僕らにとっては宝石のように、いまでもキラキラと輝きを放つ。フェイゲンがソロ・アルバムを出す際も、ウォルターの名前はクレジットされていなくても、間違いなくいつもアイディアを共有していたんだろうと思う。そのくらい、互いにとって欠かすことのできないパートナーであったはずだ。

 

 

どの曲を取り上げようかもう何日も悩んで、なかなか決まらずにいたけれど、やはりROCKでありながらJAZZのように難解な転調を繰り返し、すべての聴く者を虜にした歴史的名盤『Aja』からタイトル作品『Aja』を取り上げないわけにはいかない。この8分を超える美しくも壮絶な狂気を包括する楽曲を、過去にいったい何度ターン・テーブルの上でリピートしたことだろうか。もちろんそれはレコード盤からCDへ、そしてiPodになってからも同じ作業を繰り返している。思えば、収録作品同様に評価を高めた「アジアを象徴する」ジャケット写真に起用された、「山口小夜子」さんも10年前に他界された。こうして時代は移ろっていくものなのだろうか。なんだか、ちょっともの悲しい。

 

Steely Dan – “Aja” (album: Aja – 1977)

 

そしてもうひとつ、「Aja」と同時期に録音が進められた、彼らとしてははじめての映画のテーマ曲である『FM(No Static at All)』を聴きながら、亡きウォルターへ哀悼の意を表したい。
うねるベース・ライン、緊張感を増幅するようなイントロのギターの響き、どちらもウォルターが紡ぎ出す音の魔法と表現しても過言ではないだろう。

2年前の秋に、NYはマンハッタンの「エンパイア・ステイト・ビル」で、アンテナが設置され電波塔も兼ねる同ビルの「FM放送開始50周年記念事業」に於いて、FMラジオ局から流れる彼らの楽曲『FM』と、ビルを美しく照らし出すライト・アップがシンクロしたイベントが開催された。(詳細過去記事参照)

 


Steely Dan – “FM(No Static at All)”
Empire State Building Steely Dan Light Show (2015 in NY)

 

折りしも、今日は決して忘れてはいけないあの忌まわしき「アメリカ同時多発テロ」が発生した『9.11』から、ちょうど16年という月日が経過した。16年前の今日、空港勤務だった僕らが送り出した米国行きの自社機を含め他社の航空機も、テロ発生直後に発令された「非常事態宣言」と連邦航空局の命令によりアメリカ国内の民間航空路の封鎖の影響で、大半が成田にリターンしてきたのを、まるで昨日の出来事のように鮮明に記憶している。海の向こうの出来事とはいえ、明らかにパニック状態に陥った。今となっても、思い出すだけでも身震いがするようだ。

ウォルター・ベッカー氏、そして16年前のあの日、彼の地でテロの巻き添えとなってしまった多くの犠牲者の方々、どうか安らかにお眠りください。

R.I.P.

 

 

 

Special Messages from “KC” at “Mellow Nights”

仕事が外資の関係で、9月が新年度ということもあり、ドタバタしてるうちにあっと言う間に一週間が過ぎてしまいました。台風が当たり年の今年は、夏の長雨やらで例年よりは過ごしやすい夏を経験できたような気がします。いつの間にか、夕焼け空も秋らしいものへと変化していて、こういう年はなんだか「長い秋」が期待できるような記憶がありますが、今年はどんなものでしょうか。

 

 

そんな慌しい9月の始まりに、僕にとっては最愛のお店だった『Mellows』のことを、30代の頃から『Mellow の巨匠』と敬愛して止まない、今や日本の音楽界におけるBIG Producerとなった『松尾”KC”潔』さんが、ご自身のFMラジオ番組『松尾潔のメロウな夜』で取り上げてくださいました。

こちらの番組では、年に一度か二度くらい、松尾氏の交友関係から「久保田利伸」氏や「鈴木雅之」氏、「山下達郎」氏といった現在の日本の音楽界を牽引してきたビッグ・ネームがゲストに招かれる機会があり、ここ数年は恒例となっているようで、昨年の暮れに自分と同世代の「久保田」氏が登場しました。1980年代後半人気絶頂を極めていた久保田氏は、SOUL/R&Bの本場である米国で勝負をしたいと単身「NY」に渡り、1995年「Toshi Kubota」として全米デビューを果たしました。そんな異国の地で頑張る彼の姿が、かつて身内の事情で「NY」への赴任を断念することになった自分の苦い経験から、いつも「がんばれ」と陰ながら熱く応援していたものでした。一方の松尾さんも、著書を読めばお分かりのように、単身米国や英国へ乗り込んでアジア人であるにも拘らず、恥じることなく自身の愛する黒人音楽分野の大物アーティストへのアグレッシブな取材を敢行するなど、僕のようなブラック・ミュージック愛好家にしてみれば、日本が世界に誇るまさに「2-TOP」と言っても過言ではない存在でした。おそらく日本人の音楽評論家・ライターといった立場で、超大物プロデューサーの「Quincy Jones」(クインシー・ジョーンズ)への取材を成功させたのは、松尾さんと、過去には音楽評論家の吉岡正晴さんくらいなのではないでしょうか。松尾さんによるクインシーへの、最初のインタヴューでは罵倒されたそうだけれども、もっともその時の邂逅が、氏が後のプロデュース業に乗り出していく契機となったのは否定できない事実と思われます。詳しくは著書を読まれることをお薦めします。

その久保田氏がまた恒例のゲストで年末の番組収録に招かれると知り、松尾氏同様にリスペクトするお二人に、リクエストを添えてメッセージをメールで送りました。これまでの生涯でリクエストなんてただの一度もしたことがなかったし、もちろん番組内で取り上げられなくても、お二人の目に留まってくれたらそれで十分といったつもりでした。昨年2016年という忌まわしき年は、僕らの世代の音楽好きにとっては、大切な多数のアーティストが他界していった、例を見ない特別な年でした。当ブログ内に敢えて「R.I.P. – 安らかに眠れ」などというカテゴリーを用意せざるを得ないほどの最悪の事態となっていました。そんな事情もあって、同世代の音楽好きの人たちと、この辛く悲しい思いを共有したいといったことから、同年亡くなった「ハモニカおじさん」ことToots Thielemansが演奏する穏やかな作品『Velas』(Produce: Quincy Jones)を、メッセージを添えてリクエストしたのでした。トゥーツ・シールマンスは過去に久保田氏の楽曲「Love under the moon」で客演もしていたので、お二人に宛てたちょうどいい選曲だと思いました。
とはいえ、なにせ当代きっての売れっ子プロデューサーとなり、もはや多忙を極める松尾さんなので、なかなかリスナーからのリクエスト特集なんてできないのが実情です。僕自身も番組のスタート時から聴いている古参リスナーの一人ですが、事実2010年から8年間続くプログラムの中でも、リクエスト特集なんて年に一度できるかできないかといった事情なのです。

送信したメールの内容、ほぼすべてを割愛することなく全国への電波に乗せて、閉店から5年という月日が経過した今でさえも、「やめたくて、やめたわけではない」といった僕の「無念」な想いを、まるで自分のことのように伝えてくれたような、そんな気がしました。やはり「メロウ」「Mellow」というワードで繋がった者同士ならではの関係が生まれたような、そんな熱い想いで心が満たされるのを感じました。

 

 

こんな男のメッセージを、しかも番組のエンディングで紹介していただき、2012年に最愛のお店をCLOSEしたあの日以来、感激のあまり久しぶりに男泣きしました。

 

 

松尾さん、並びに僕のメッセージを拾い上げてくださった「メロ夜」番組スタッフの皆さん、本当に有難うございました。5年間ずっと胸につかえていたモノが、すっとどこかへ消え去ったような、まるで数日前に偶然撮影した野に咲く一輪の早咲きの「秋桜」のような、なんだかそんな清々しい想いがしています。
そして、もしかつてのお客様方が運よく放送を聴いてくださっていたならば、皆さん一様になにかしら「それぞれのメロウな想い出」を、懐かしく回顧してくれていることと思います。心より、この場を借りて御礼を申し上げます。
どうか、今後とも素敵な大人向けのラジオ・プログラムを続けていただけるよう、微力ながら当ブログを通じて、今後もずっと応援していくつもりです。