Monthly Archives: February 2018

Mellow Tunes ~ Vol.158【Prince】

今日は、春がまた少しだけ遠のいたような感じがする、「雪」が舞う一日だった。たぶんそろそろ、「冬」と「春」が同居しながら、お互いを行ったり来たりする季節の始まりだ。

 

 

最近は雪が降ると、無性にこの曲が聴きたくなるから不思議だ。

そして4月がくれば、紫の殿下『Prince』があちらへ旅立ってから、もう2年になる。

 

Sometimes it snows in April
Sometimes I feel so bad, so bad
Sometimes I wish life was never ending
And all good things, they say, never last

四月に雪が降ることもある
ひどく落ち込むこともある
人生がずっと続けばいいと思うこともある
楽しい時はいつか終わると人は言う

 

Prince がそんな風に歌う、シンプルなバラッドが心に響く。

 


Prince – “Sometimes It Snows in April”
MTV Unplugged The Art of Musicology

 

 


Prince & The New Power Generation – “Damn U”
(Official Music Video)

 

この才能豊かなアーティストが我々に遺してくれた、とびきりMellowで美しくも儚いバラッドの数々に、改めてその偉大さを認識せずにはいられない。

 

R.I.P. Prince…

 

 

AC Tunes ~ Vol.64【Stone Foundation + Paul Weller】

いつもご訪問ありがとうございます。
お隣の韓国で開催中の冬季オリンピックもピークを過ぎ、2月も残すところあと一週間ほどとなりました。寒い日がまだまだ続くとはいうものの、自然界は徐々に春を受け容れる準備に取り掛かっているような印象を受けます。

 

 

「Adult Contemporary」な作品を紹介するシリーズの「AC Tunes」ですが、今回は英国・ウォリックシャー州を拠点とする8人編成の Soul/Jazz/Funk バンド『Stone Foundation』のご紹介。
バンドのリーダーでVocal/Guitar担当の Neil Lee Jones(ニール・ジョーンズ)を中心に2010年に結成された『Stone Foundation』は、翌年にアルバム・デビュー。アグレッシブなライヴ活動で人気と評価を徐々に高め、また米人気ドラマにも楽曲が使用されるなど、英国内外からも注目を浴びることに。2015年には初来日し、「フジロック」にも出演するなど、その実力と評価は折り紙つき。

 

 

そして2017年に入って間もなく、3作目となるアルバム『Street Rituals(ストリート・リチュアルズ)』をリリースしました。本作品へは、「The Jam」「The Style Council」の創始者でありUK音楽界では文字通りレジェンドとして国内外各方面から賞賛とリスペクトを集める、『Paul Weller(ポール・ウェラー)』が全面的なプロデュースの上Vocalとして3曲への参加を筆頭に、名門ソウル・レーベルSTAX の伝説的シンガー、William Bell (ウィリアム・ベル)、そして更に女性ベテランR&Bシンガーの Bettye LaVette (ベティ・ラヴェット)など、これまたレジェンド級のアーティストが参加した豪華なアルバムとなっています。

 

Stone Foundation – “Back In The Game” & “Your Balloon is Rising”
ft. Paul Weller + The Style Council – “You’re The Best Thing”
album: Street Rituals – 2017 / Café Bleu – 1984
 

僕自身も含め、現在50-60代の方々であれば、「The Style Council」に多大な影響を受けた世代であるのは言うまでもありません。才能の塊である Paul Weller(ポール・ウェラー)が、音楽の垣根を軽々と飛び越えて、どんなカテゴリーの音楽でもあっという間に自分のものにしてしまう程に、非常に多彩な彼自身の音楽的ルーツの一つでもある、R&B/Soul/Jazz/Funk へ立ち戻り、現代で活躍する『Stone Foundation』のようなアーティストへ、自らラヴ・コールしこの企画が世に出たという事実が、とても画期的であり嬉しく思いました。
そして久々に見るPVでの「ポール」の歌う姿は、かつて1980年代に世界を席巻した当時のまるで「ギリシャ彫刻」のようなルックスから、髪は白く薄くなりましたが刻まれた顔中の皺の数々といい、相当にカッコイイ歳の取り方をしていることが窺えるほどの、相変わらずのダンディさですよ。そして年輪と説得力を増したヴォーカルに、懐かしさと同時に新鮮さを憶えるくらいです。「いぶし銀」のようなという例えがよく言われますが、まさにそんな印象ですね。ポール自身の今後の音楽活動への影響も、少なからず出てくると想像できる、そんな貴重なコラボレーションでした。

今回の米国での「グラミー」のノミネート作品の多くが、 BLACK MUSIC(黒人音楽)の現代のカタチとなって久しい(もはや主流と言うべきか)「HIP-HOP」系のアーティストや彼らの作品群が、その多く占めたことは記憶に新しい事実です。かつての、米国から発信され世界中で一世を風靡した「R&B/Soul/Jazz/Funk」に確認できた、メロディックで叙情的でもある典型的なその「サウンド」は、例えば「UK SOUL」というカテゴリーの表現が存在するように、欧州の一地域である英国をはじめ、黒人音楽に寛容な北欧やオランダ・ドイツ・イタリア辺りでその遺伝子が少しずつ変化しながらも、確実に伝承されていっているような、そんな印象を受ける機会が増えてきました。そう、かつて「JAZZ」というカテゴリーが辿った道を、歩いているような気がしてなりません。『Stone Foundation』は特にそうですが、PVや画像をご覧の通り、ほとんどのメンバーの年齢が40-50代といったところからも分かるように、もちろん黒人音楽に限らずとも「良さを理解できる人たちが、再生を試みる」といった現象は、世界各地で人知れず起きているのではないでしょうか。

米国に出自を持ち、「アフロ・アメリカン」により産み出されたカテゴリーの「黒人音楽」が、世界各地に伝播され継承されていくという現象自体は、歓迎されるべきことであり諸手を挙げて大賛成です。
但しその反面、米国の「移民制度」に否定的な態度をあからさまに取る自国家のリーダーの方針に対する否定的な社会背景が影響していることで、RAP Music をはじめ体制や政治を批判するだけのメッセージ色の強い「Hip-Hop」な音楽だけが蔓延し、美しい響きで満たされたメロウな音楽たちが駆逐されていってしまうのには、ものすごく寂しい気がしてなりません。現大統領が就任後の1年間で、三度に渡る「銃乱射事件」が発生している米国内の悲しい現実なども、音楽界を取り巻くそういった社会情勢が、更に混沌とした状況を加速させていくような、そんな嫌な予感がしてなりません。
先日の「グラミー」を席巻した「Bruno Mars (ブルーノ・マーズ)」の大車輪ぶりも例外ではなく、今この現代において、かつての古き良き時代の「R&B/Soul」を再生させているアーティストは、いわゆる「アフリカ系アメリカ人」ではない人種に属する人たちが多いという現実が、それを如実に物語っています。とはいえ、一番重要なのはそういった現象が、ようやく「米国内」から発生してきているという事実です。僕自身としては、そんなムーブメントがここ日本も含め、世界の各地から勃発することを、大いに期待したところです。

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.157【Leon Ware】

北陸地方や北日本に長く停滞した寒気団もようやく緩み、ここ関東地方では今日に限ってですが、さながら3月中旬並みの最高気温まで上昇しました。明日からはまた真冬へ逆戻りということですが、そんなことを例年のように繰り返しながら、やっと春がやってくるんですね。

 

 

さて今回の「Mellow Tunes」ですが、ちょうど一年前の2月23日に世界中のR&B/SOULファンからたいへん惜しまれながらも、77歳でこの世を去った、「Leon Ware」(リオン・ウェア)を取り上げようと思います。
Marvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)に提供したSoul Classicの名曲『I Want You (1976)』をはじめ、それはもう数え切れないほどの「Mellow Tunes」を生み続け、メロウでロマンティックでそして官能的な楽曲で世界中のリスナーを虜にしてきた「リオン」ですが、当然ながら活動期間が長きに渡る為、ただでも長いのが、長すぎる記事とならぬよう、掻い摘んでご紹介をいたします。

1972年に自身の名を冠した1st.Album「Leon Ware」を United Artists Records から既にリリースしていたリオンは、彼のソング・ライティングの才能があの大御所Quincy Jonesの目に留まり、クインシーのアルバム「Body Heat (1974)」に、自身が書いた『If I Ever Lose This Heaven』がアルバムのラストに収録されるという、大変名誉な出来事がありました。しかも、この楽曲を一緒に歌ったのは、まだブレイク前夜であったミニー・リパートンでありアル・ジャロウでした。「リオン・ウェア」「ミニー・リパートン」「アル・ジャロウ」のトリオによるコラボなんて、三者がすべて「Big Name」となった現代では考えられない出来事であり、曲が書かれた1973年の時点で、彼らの才能を当時既に見極めていた御大「クインシー」の「凄み」とは、もう末恐ろしいというしかありません。
R&B/SOULを語る際、後に「レジェンド」と呼ばれるこの方々は絶対に欠かすことのできない三人ですが、当サイトのご訪問者の皆さんであればよくご存知の通り、残念なことに「ミニー」は1979年に31歳で夭逝、そして「アル・ジャロウ」は昨年2017年の「グラミー」開催中に訃報が伝えられました。そして彼のトリビュート記事を当ブログでUPして間もなく、2月に入り前立腺癌の治療中だった「リオン・ウェア」までが、帰らぬ人となってしまいました。思い起こせば、もうそれは「悲しみの連鎖」という以外ありませんでした。
そんな歴史も踏まえ、今では故人となってしまった三人が、まさに「ブレイク前夜」ともいえる時代のレコーディングで一同に会した、歴史的な作品『If I Ever Lose This Heaven』からお聴きください。

 


“If I Ever Lose This Heaven” – QUINCY JONES
ft. Minnie Riperton, Leon Ware & Al Jerrau
(album: Body Heat – 1974)

 

クインシーに大抜擢された「リオン」のソング・ライティングの才能は目覚しい勢いで開花し、遂には当時のR&Bの「アイコン」であった大物「Marvin Gaye」(マーヴィン・ゲイ)の目に留まり、後に名作の呼び声高いマーヴィンのアルバム『I Want You』で、決定的となりました。元々は「リオン」が「ダイアナ・ロス」の弟の「Arthur “T-Boy” Ross」と共作し、リオン自身の作品として世に出す予定だった『I Want You』を、どうしても自分が歌いたいと主張する大物スターのマーヴィンに譲渡することと引換えに、リオン自身の2作目のオリジナル・アルバム『Musical Massage』のリリース権を「MOTOWN」より得たというのが、マーヴィンの名作『I Want You』誕生に関するエピソードとして、その後によく語られています。
それでは「リオン」によるメロウ・サウンド全開ともいえる『I Want You』をどうぞ。

 


Marvin Gaye – “I Want You”
(album: I Want You – 1976)

 

マーヴィンに泣く泣く譲渡したリオンの作品『I Want You』によって、リオンはいよいよ2作目のオリジナル・アルバム「Musical Massage (1976- Motown)」をリリースするものの、残念なことに大きなヒットとはならず、レーヴェルをその都度替えてリリースしたその後のアルバム「Inside Is Love (1979 – Fabulos)」「Rockin’ You Eternally (1981 – Elektra)」も、一定の評価を得るものの、クインシーやマーヴィンの作品としての価値とは、違う評価が与えられていたのかもしれません。一方日本国内や欧州では、再び「リオン」自身の名前を冠した「エレクトラ」レーヴェルから改めてリリースした、『Leon Ware (1982 – elektra)』から、当時のA.O.Rの流行に伴った「Adult Contemporary Music」の需要がピークを迎えていた背景もあり、リオンのメロウでロマンティックで洗練されたサウンドは、当時の世相にマッチして、熱狂的なコアなファンを世界中に増殖させるに至りました。
彼の名刺代わり的な作品として伝わる『Slippin’ away』は、そんな当時を代表するような音楽の一つとして受け容れられていたように思います。日本国内での『メロウ大王』という呼称も、彼の為に付けられたものでした。

 


Leon Ware – “Slippin’ away”
(album: Leon Ware – 1982)

 

その後は時代と共に、自らのアルバムを数年おきにリリースしながら、また同時にマイ・ペースで多くのアーティストへの楽曲の提供やプロデュース業に、軸足を移していったような印象がありますね。

僕は苦手なのであまり聴く機会はありませんが、現代のHIP-HOP分野のアーティストからのリスペクトは大変なもので、多くのアーティストにサンプリングされる機会も多いようです。
そして、昔から音楽カテゴリーとしての「JAZZ」もJAZZのミュージシャン・アーティストの多くが、欧州では本場米国以上に大変リスペクトされるように、「リオン」もその例外ではないようです。
2008年「オランダ」で人気のある SOUL BAND「Liquid Spirits」が「リオン」を招聘してリリースした『Melodies Ft. Leon Ware』という作品は、もはや「メロウネスの極致」としか例えようのない楽曲として、世にリリースされました。

 


Liquid Spirits – Melodies Ft. Leon Ware (2008)

 

また、晩年になり、かつて「Mellow Tunes ~ Vol.37」でも一度取り上げましたが、イタリアを代表するJAZZ/SOULシンガーとして君臨する「Mario Biondi」(マリオ・ビオンディ)との、大人の男二人によるDUETは、もう鳥肌モノのコラボレーションとなっています。このアルバムのプロデュースを買って出たのは、英国ジャズ・ファンクの大御所ユニットであるINCOGNITOのリーダーでもあるジャン・ポール・“ブルーイ”・モーニックで、ブルーイの「リオン」に対するリスペクトは相当なものであることが窺えます。

 


Mario Biondi (feat. Leon Ware) – “Catch the Sunshine”
(album: SUN – 2012)

 

 

 

まだまだ沢山あるのですが、一度では無理なので、今回はこの辺りで終わります。
Leon Ware(リオン・ウェア)という「メロウなレジェンド」と出逢えたことを、本当にありがたく思います。

また、この記事中に登場した三人の「R&B/SOUL/JAZZ」を語る上でのレジェンドである、Al Jarreau (アル・ジャロウ)、Minnie Riperton (ミニー・リパートン)、Leon Ware (リオン・ウェア) の、ご冥福をあらためてお祈りいたします。

R.I.P.
Rest In Peace [安らかに眠れ]

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.156【Tatsuro Yamashita】

なんだかここのところ、若い頃からずっと敬愛する「山下達郎」さんの作品を、改めて聴き直しています。年に数回、これといった理由もなく、そんな「達郎を集中して聴くぞ」といった「Big Wave」が押し寄せる機会があるんですね。そう、「ビートルズ」の作品を1曲聴いた途端に、もうエンドレスになってしまう現象に似ていると言えましょうか、本当に不思議な感覚です。
多くの国内外のミュージシャンや音楽家たちがそうであるように、本当に国宝級のアーティストとして、僕も当然この方のことを心の底よりリスペクトしています。達郎さんが活躍した、同じ時代に生きたこと自体を誇りに思うくらいです。
達郎さんの作品は時代と共に作風も少しずつ変化しているのは、当ブログをご訪問くださる方々であれば、皆さんご承知の通り。

 

 

そんな達郎さんが雑誌『BRUTUS』の最新刊で、『山下達郎のBrutus Songbook』と銘打って、「最高の音楽との出会い方」についての、それはもう膨大な(とはいっても、一部なのでしょうが)氏の持つ音楽の歴史・知識と愛情を注ぎ込んだ、それはもの凄い特集となっています。日曜日が毎週お休みできる方であれば、決して聴き逃すことは許されない「TOKYO FM」の老舗音楽番組『山下達郎のサンデー・ソング・ブック』の、放送25周年を記念した、雑誌『BRUTUS』とのコラボ企画であり、番組関係者や山下氏周辺のアーティストへのインタビュー等々、もう盛り沢山の内容です。「達郎」ファンの皆様、どうぞ売り切れる前になんとか入手してください。他では絶対見ることのできない「年表」やら「アーティスト相関図」など、編集スタッフの渾身の記事の数々も、それはもう一見・一読の価値ありです。

 

そんなわけで、ちょっとお疲れ気味の今晩は、1980年にリリースされ達郎さんの人気と評価を不動のものとした名作アルバム『RIDE ON TIME』に収録され、7作目のシングルとなったMY SUGAR BABE』(マイ・シュガー・ベイブ)を聴きながら、ゆったりとしたいと思います。作詞作曲共に達郎さんによる楽曲で、この作品をいたく気に入った故人の「勝新太郎」さんが、自身が主演する刑事ドラマの主題歌としたことでも、当時たいへん話題となりました。リリースから40年近くが経過しますが、いまだに国内アーティストでこれほどの円熟した「Mellowness」を表現できるアーティストは、なかなか見つけることはできません。

 

Tatsuro Yamashita – “My Sugar Babe”
(album: RIDE ON TIME – 1980)

 

本作品への参加ミュージシャンの面々も腕の立つ超一流の方ばかりで、納得のサウンドです。当ブログにも時折ご訪問いただいている、パーカッション奏者の「斉藤ノヴ」さんの、控えめながらもソウルフルで男の色気を感じさせる演奏にも、要注目です。

 

Recording Members:
山下達郎 : Electric Guitar (Right), Glocken & Background Vocals
青山純 : Drums
伊藤広規 : Bass
椎名和夫 : Electric Guitar (Left)
笛吹利明 : Acoustic Guitar
難波弘之 : Keyboards
斉藤ノブ : Percussion

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.155【Sinne Eeg】

日本列島がまるで「冷蔵庫」の中にでも、すっぽり入ってしまったかのようなここ数週間の気候で、もとより寒さが苦手ではない自分でも、少々辟易しているところだ。

そんなどんよりとしたお天気の中、もうかれこれ20年以上の付き合いになる知人から、ちょうど一年ぶりにメールが届いた。もう10年近く直接会ってはいないものの、なにやら落ち込んでいる様子で気に掛かる。

 


 

彼と僕とは、年齢も歩んできた業界も違うけれど、彼は入社以来25年以上が経過した大手電気メーカーでの本社や海外勤務を経て、数年前に傘下のグループ企業へ転籍し、誰の目から見ても「順風満帆」の会社員人生を歩んでいたように見えていた。そういう意味では、僕とは対極にあるのかもしれない。ところが最近になって、不本意な状況下に置かれているというではないか。なんでも、転籍先の上層部としっくりいってないという。今になって、会社員としての人生の厳しさを痛感しているという。
規模の大なり小なり組織の中で働く限り、「調和」であるとか「妥協」というものは、当然最低限は必要とされるのは、子供でさえも分かっている理屈だ。とはいえ、自身が「正しい」と信じたことに対して「筋を通す」ことに、いささかのためらいも必要なしと、僕自身は思っているし、そう実行してきた。判断基準は、その時点で問われている事象に対して、それが「正しい」か「正しくない」か、英語で言うところの「Do the Right Thing」、何も難解なことはなく、単純にそれだけだ。そうはいっても、実のところ「人は弱い生き物」で、「出世欲」だとか「職場の同僚や周囲への配慮」だとか、あるいは自身の「家庭や家族の事情」等々、言い訳となる多種多様な要因が身の周りに存在し、そういったものの数々が自身の判断を鈍らせるものだ。

人間は死期が迫ってくると、例えばある一つの「チャレンジ」を例にした場合、「やらずに生涯を終えてしまう」ことと、「やった結果、失敗に終わった」ことでは、前者の方が圧倒的に「後悔の念」が強く残るという。ならば、「言うべきことを言う」「正しいことを主張する」、せめてそうしなかったら、悔やんでも悔やみきれない自分の気持ちと、晩年対峙しなければならないのかもしれない。いずれにせよ、自身が下した判断によって導き出された結果が吉であれ凶であれ、最終的に自己責任が伴うのは言うまでもない。

僕自身、自分なりにやっとの思いで立ち上げてカタチとなった最愛のお店「Mellows」を失ってから、ちょうど5年の月日が経過したものの、自分の心の中の壊れた時計はあの日から時を刻むことを忘れてしまった。そして「無念」な想いはそう簡単に消え去るものでもない。人とのコミュニケーションにも、かつては感じたことのなかった「辛さ」が伴うようになって、もうずいぶん久しい。無形の「財産」とか捉えることもできるかもしれないけれど、いろんな意味で、得るものも多くあったのと同様に、失うものもそれ相応にあったのも事実だ。
とはいえ、何が正解で、何が不正解かなんて、その人だけが臨終の際に分かるものであって、誰にも決められないし、本人の考えがリスペクトされるべきなんだろう思う。唯一の事実は、人は過去にはもう戻れなくて、前に、未来にしか進めないということ。それが現実だということ。

今日の夕暮れ時の空のように、雲に隠れて沈みゆく美しい太陽が見えない日があるように、長い人生には、「晴れ」の日も「雨」の日も、そして予期せぬ「嵐」の日もあったりと、ひとつひとつやり過ごしていくしかないもの。落ち込むときは、とことん落ち込んだっていい。「トライ&エラー」を繰り返していくしかないのかな。
友よ、「いつか」自分にとって本当に大切なものが見つかることを、祈っています。そう言い聞かせている僕自身がここにいるのは、紛れもない事実だけれど。
さあ、それじゃあ Sinne Eeg(シーネ・エイ)のスロウなバラッドで、すこしクール・ダウン。「Don’t be so blue, please..」

 

 

どうしても気持ちが上がらないって時には、「達郎」さんと「美奈子」さんの力を借りましょう。


Tatsuro Yamashita – いつか [Someday]
(album: Ride On Time – 1980)