Category Archives: “AC Tunes” series

AC Tunes ~ Vol.63【Christopher Cross】

寒さのピークに伴い、毎年日本経済が停滞する時期の「2月」が、もう目の前まで迫ってきました。空気も澄み切って、空の美しさだけは格別な季節です。

 

 

そんな寒い季節の海の向こうでの恒例行事といえば、【グラミー賞授賞式】と、音楽好きの間では割とHOTな話題で盛り上がる時期でもあります。今回から開催地をこれまでの西海岸のLAから、この時期は極寒の東海岸はNYの「マディソン・スクエア・ガーデン」に移し、現地時間1/28に開催されるとのこと。今回のグラミーは『第60回』と節目の年となるそうで、世界中で売れに売れたアルバム『24K Magic』を引っさげ、もはや主要部門含めなんと「7部門」(最優秀レコード賞/最優秀楽曲賞/最優秀アルバム賞/最優秀R&Bパフォーマンス賞/最優秀R&Bソング賞/最優秀R&Bアルバム賞/最優秀アルバム技術賞)にノミネートされている、『BRUNO MARS』(ブルーノ・マーズ)による受賞が、いったい何部門を制覇するかが気にになるところではありますが、結果を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

そんな話題に事欠かない「グラミー」ですが、今から「37年」も前の「1981年」開催のグラミー賞で、デビュー・アルバム『Christopher Cross』(邦題: 「南から来た男」1979年発売)で、グラミー史上初の「主要4部門を含む5部門」を制覇したのが、時の新人アーティスト、Mr.フラミンゴこと『Christopher Cross』(クリストファー・クロス)でした。
僕らのような50代から上の世代の洋楽好きの方々であれば、誰でも一度は耳にしたであろう、あの「爽やかクリスタル・ヴォイス」で世界中のAOR (Adult Oriented Rock)ファンを虜にしたクリストファーが、昨年12月に3年振りに出したニュー・アルバム『Take Me As I Am』がかなりの話題となっているらしい。

僕の場合、R&B/SOUL/JAZZを初め『BLACK MUSIC』(黒人音楽)はもちろんのこと、学生時代にはこよなく愛聴していた、日本国内では『AOR』(Adult Oriented Rock)と呼ばれ認知されている、『Adult Contemporary』なカテゴリーの音楽も大好物でして、当サイトに於いて『AC Tunes』シリーズを設けているのも、そんな理由からです。
現在日本国内におけるこの分野の権威的な存在であり、音楽ライターであり各種プロデュース業も精力的にこなす『金澤寿和』さん主催のLight Mellow on the Webは、僕も度々訪れる内外でも有名なサイト(ブログ)で、「Adult Contemporary」なカテゴリーにおける、良質な音楽の情報を絶えず提供してくださっている、とても価値のあるサイトです。(金澤さん、当サイトへのご訪問いつもありがとうございます。)今回は金澤氏のサイトで、「クリストファー・クロス」の新譜の内容をしっかりと解説していただいたおかげで、大変興味深く新譜を聴くことができました。

金澤氏のレビューにもありましたが、新譜『Take Me As I Am』はシンガー・ソングライターの作品というよりは、ある意味とても「FUSION」的なアプローチを狙った、クリストファーのこだわりのギター・サウンドにフォーカスを当てた、実に聴き心地の良い、後味のよいアルバムにまとまっているような印象を受けました。少ない「Lyric」と印象的な「フレーズ」を繰り返すことと、ギター・ソロのパートをこれでもかと注入した結果生まれ出た作風が、なんだかこの現代において、強烈な新鮮さを感じました。

 


Christopher Cross – New Album “Take Me As I Am” (2017)
1. “Down to the Wire”
2. “Baby It’s All You”

 

前述のグラミー5部門制覇のデビュー・アルバム『Christopher Cross』(邦題: 南から来た男)のリリース時は、彼のヴィジュアルがレコードの売上げに影響を及ぼす可能性があるとのレコード会社によるマーケティング面での戦略から、しばらくの期間一切メディアに登場しなかったのは、もはや伝説となっています。事実、1983年の初来日時、日本武道館でのコンサートに僕自身も足を運びましたが、当時世界中を席巻していた米国西海岸出身の「West Coast Rock」系アーティストたちとはまったくイメージがかけ離れており、とにかくセンター・マイクの前でまったくアクションを取ることもなく、ただひたすらに歌うこととギターの演奏に集中していたそのステージ・アクトに、ある意味驚きを隠せなかったのを、もう35年が経過した今でも鮮明に思い出すことが出来ます。とにかく、ギターの演奏へのこだわりが凄いというのは、感じましたね。
新作で聴ける彼のギター・ソロからは、20代の半ばで初めて渡米した際、LAはじめ西海岸の高速道路、通称「Pacific Coast Highway」(California State Route 1)をドライヴした際の、生涯見たことのないような「青すぎる雲ひとつない空」や「美しく入り組んだ海岸線」の光景を呼び起こすような、そんな乾いた、そしてレイド・バックした『音』が聴こえてきて、すごく懐かしい気分になりました。青春時代を彼のサウンドで過ごした方も、そうでない若い世代の方も、ぜひ聴いてみて欲しいアルバムです。現在66歳となったクリストファーの、まさに『Timeless』なヴォーカルに、ただひたすらに「感謝」の思いが募ります。

 

[Remarks]
日本国内ではまだ新譜発売の準備ができてないようです。
こちらの「Official」へどうぞ。

 

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Mellow Tunes ~ Vol.148 【Best Mellow Tunes – 2017】

クリスマスも過ぎ、依然として冬らしい寒気団が列島を覆っています。
「冬至」を過ぎてからというもの、やはり不思議なもので、日没が少しずつゆっくりとなってきているような気がします。日没と日の出の直前は、空気が澄んでいるので、空の様子が相変らず美しいですね。

 

 

さてさてドタバタと例年の「暮れ」独特のリズムに忙殺されているうちに、あっという間に2017年も暮れてゆこうとしています。皆様、今年も相も変わらず、当ブログへの定期的なご訪問、ありがとうございました。

かつての実店舗「Mellows」のOPEN準備期間(2010年末)より継続している元マスターによる当Blogですが、これまでの投稿数が計700を超えており、おそらくほとんどの記事にその都度なんらかの「音楽作品」の紹介をしているので、もうずいぶんと沢山の楽曲を取り上げてきたことになります。
ここ数年は年末に、その年にご紹介した作品やアーティストの中から、【Best Mellow Tunes】として、作品のリリース時期に一切関係なく、その時点でよいと感じた「アーティスト」であり「作品」を、時代やカテゴリーに拘ることなく選択しています。新しいものだけがよいと言うのは大間違いで、残念なことに出逢う機会がないままに、自分の中で過去に流されていった作品の中に、キラッと光るダイヤのような作品と、長い時間を経てめぐり逢うことは、決して少なくありません。大抵の音楽好きの方であれば、容易にご理解いただけると思いますが、あくまで「私的なBEST」ですので、誤解なきようご了承ください。

敢えて順位はつけませんが、今年2017年に初めて出逢ったり、過去の作品群を掘り起こし作業中に再会したりした中で、『Mellow Tunes 』『AC Tunes』シリーズの記事としてUPした中からの、「アーティスト」や「楽曲」のご紹介となります。今回は、「Play List」にしてみましたので、続けてご視聴いただけます。

 


【Best Mellow Tunes – 2017】
(From “cafe Mellows” ~ Master’s Blog【ANNEX】)

 

また各々の楽曲やアーティスト関連の記事は下記の通りです。気になったアーティストがいましたら、ぜひご参照ください。

 
AC Tunes ~ Vol.43 【Rumer】

Mellow Tunes ~ Vol.122【Incognito】

Mellow Tunes ~ Vol.111 【Bruno Mars】

Mellow Tunes ~ Vol.129【Prince】

Mellow Tunes ~ Vol.141【Sevyn Streeter】

Mellow Tunes ~ Vol.142【Avant ft. Keke Wyatt】

 

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AC Tunes ~ Vol.62【Brian Culbertson】

ここ10年くらいになりますか、「秋」がすっぽり抜け落ち、夏の終わりから一足飛びに「冬」がやってくるような、そんな印象が年々強くなってきています。国際社会が本気で足並みを揃えて「温暖化対策」に本腰を入れて掛からないと、日本の美しい四季もとても曖昧なのになりかねません。モミジを愛でることのできるこの国の「秋」は、未来永劫守ってゆきたいものです。

 

 

 

 

さて、はっと気付けばもう「X’mas」のディスプレイやイルミネーションをあちこちで見かける季節となってきました。ということは、2011年の実店舗OPEN時から継続中の恒例の企画、「Mellow なクリスマス・ソング」のシーズン到来ということになりますが、次回あたりから回数限定で記事をUPしていく予定です。現在思案中ですので、もうしばらくお待ちください。

例年このシーズンはクリスマス・ソングの連続投稿になってしまうので、その前にしばらくUPしていなかった Adult Contemporary な作品をご紹介している「AC Tunes」シリーズの更新です。

Brian Culbertson は米国はイリノイ州出身の現在44歳になる、いわゆる「Smooth Jazz」と呼ばれるカテゴリーにおいて、とても人気のあるキーボーディストとして知られています。父親もミュージシャンでトランペッターだった背景から、幼少の頃よりピアノだけでなくトロンボーン・ドラムス・ベース等の楽器に触れ、後に黒人音楽である「Jazz/R&B/Funk」に傾倒し、白人でありながらもそれはそれは「Mellow & Funky」な鍵盤演奏スタイルなのが特徴のアーティストです。唯一やらないのが「VOCAL」くらいのもので、昨年逝去した「PRINCE」同様に、大変器用なマルチ・ミュージシャンのブライアンです。

PCモードで閲覧されていれば、右側のウィジェット部に貼り付けてますが、ゲスト・ヴォーカリストに「Will Downing」を迎え、2005年に彼がリリースした Super Mellow な作品「It’ On Tonight」は、言ってみれば本ブログのテーマ曲のような位置付けといって構いません。プレイ・スタイルはとびきり「メロウ」で「エモーショナル」で「スムーズ」で、そして黒人ミュージシャンの面々が腰を抜かす程に本領発揮のFUNKチューンといい、本当に引き出しの多い才能溢れるアーティストだと思います。
そんなブライアンが、キャリア初期の1997年にリリースしたアルバム「Secrets」から、彼の創り出すサウンドの特徴がよく表れている、『You’ll Never Find』をご紹介します。

 


Brian Culbertson – “You’ll Never Find”
(album: Secrets – 1997)

 

ブライアンのサウンドが肌に合うと感じた方は、よろしければ過去記事もご覧ください。また、来年早々2/14「Valentine’s Day」に New Album 『Colors of Love』のリリースが予定されています。乞うご期待。

 

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AC Tunes ~ Vol.61【Ronny Smith】

いつもご訪問ありがとうございます。
「秋の長雨」がここ数日間続いていて、地球温暖化の傾向と共に、暑かった夏からいきなり冬に季節が転換してしまうような、「秋」がなんだか抜け落ちてしまったような季節の巡り方に、ここ数年驚かされることが多くなりました。日本の四季の中でももっとも美しい季節だけに、できるだけ一日でも長くそんな季節を愛でていたいものです。そうは言うものの、自然界の植物たちは、きっちりと徐々に秋の彩りの準備に取り掛かっているようです。

 

 

 

 

 

Ronny Smith(ロニー・スミス)が8月にリリースした最新アルバム「Shake It Up」に、雨のSE(効果音)のイントロから始まる「雨の日」にとても似合う作品『In The Rain With You』が収録されています。来シーズンの「雨の季節」にでも取り上げようかと思っていたのですが、こんな「秋の長雨」の時期にもよく似合うと思ったので、今回ご紹介することにしました。メランコリックなトランペットの音色も、メロウなギターに負けず劣らず、素敵な響きです。
こちらの「メロウなギター弾き」については、既になんどかご紹介しているので、詳細は割愛しますが、興味のある方は LINK をご覧ください。

 


Ronny Smith – “In The Rain With You”
(album: Shake It Up – 2017)

 

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AC Tunes ~ Vol.60【Michael McDonald】

9月も中旬に入り、季節はといえば、夏と秋が行ったり来たりして、なんだか忙しい様子です。日中は残暑がきつく感じる日もあるくらいですが、最近よく見上げる空の様子は、やはり秋のものに変化してきています。心なしか、夏のそれよりは「空が高く」見えるもので、しかも「雲」の様子も実に多種多彩で、ぼんやり眺めていて飽きのこない空模様は、やっぱり「秋」のものなんだと、しみじみと感じる今日この頃です。

 

 

前回は天に召されて間もない、「Walter Becker」(ウォルター・ベッカー)の訃報に関する記事をUPしました。気がつけばいつの間にか、創始者コンビである「Becker/Fagen」両氏のみが残る二人だけのバンド(ユニット)となって久しかった、『Steely Dan』(スティーリー・ダン)という世界の音楽史上稀有なスーパー・バンドには、かつて多くのミュージシャンが一時的に在籍していたことでも有名です。当ブログでも何度も取り上げてきた、Michael Mcdonald (マイケル・マクドナルド)も、活動後期の「The Doobie Brothers」(ドゥービー・ブラザーズ)のメイン・ヴォーカリストである以前に、初期のスティーリー・ダンに関わったその一人だということは、音楽好きの方であれば皆さんよくご存知の事実。そのマイケルが、このタイミングで9/15になんと「9年振り」の新譜『Wide Open』をリリースすることになるとは、誰もが予想していなかったことでしょう。やはり不思議な縁で、彼らはどこか繋がっているんだろうなと、そんなことをふと思いました。

 


Michael McDonald – “Wide Open” Trailer

 

亡くなったウォルターとは年齢が1・2歳しか離れてはいないマイケルは、白人でありながらも黒人アーティストと遜色ない声とセンスを持ち合わせた「Blue-Eyed Soul」の代表格と言われて久しく、現在65歳となった今でも持ち前のソウルフルなヴォーカルはいまだに健在です。
1983年だったと記憶してますが、当時「SUNTORY」がメイン・スポンサーとなって、西海岸を中心に活躍するAOR系の大物アーティスト(BOZ SCCAGS / JOE WALSH)を招いたコンサートで、一緒に来日したマイケルのライブを体験したことがありますが、実にエネルギッシュでなによりその「ソウルフル」な彼特有のヴォーカルに心酔したことをよく覚えています。彼が2003年・2004年と立て続けにリリースした『MOTOWN』『MOTOWN TWO』、そして2008年にリリースの『Soul Speak』といった作品群では、いまではソウル・スタンダードとなった楽曲の数々を、マイケル自身の解釈でレコーディングしており、彼の愛する黒人音楽へのオマージュとリスペクトで満ち溢れた素晴らしい作品となっています。過去記事でも紹介していますが、ぜひとも聴いていただきたい名盤たちです。マイケルにしても、ドナルド・フェイゲンにしても、まだまだ時代を引っ張っていけるだけのパワーを持ち合わせていると思うので、ぜひとも現役を続けて欲しいところです。

 


Michael McDonald – Find it in Your Heart
(album: Wide Open – 2017)

 

 

AC Tunes ~ Vol.59【Walter Becker – R.I.P.】

なんてことだ、米国と言わず世界中のミュージシャンやアーティストの多くが憧れ続け、そして20世紀の音楽史上多大な影響を聴く者に与え続けた、偉大なバンド(ユニット)である『Steely Dan』「Walter Becker」(ウォルター・ベッカー)が、67歳で9月3日に天に召されてしまった。

 

 

9月に入ってのあまりに急な訃報に、学生時代からの音楽好きの友人KUBO氏と共に、なんだかこの現実にお互いうまく対応できず、戸惑いを隠せないでいる。かねてから「自分たちの完璧なサウンドはライブでは再現不可能なので、コンサートをやることはない」と断言していた彼らのLIVEを現実のものとして見る為に、僕らのような世界中の熱心なファンは、バンドの絶頂期を経て本人たちのLIVEへの意識が変わるまでに、それから10年以上の歳月を費やすことになった。やがて社会人となり家庭や子供を持った後に、武道館で見たウォルターの姿に、まさに「ギター職人」という印象が強く残ったのを記憶している。折りしも今月下旬に「Nightflyers」と名付けたバンドを伴って来日予定のフェイゲン氏だけれど、幾つかのメディアでの追悼声明を正式にリリースしたものの、それはもう想像を絶するほどに、大きな心の痛手となっていることだろう。
[ウォルターの逝去した9/3以降の北米でのLIVEツアー、そして来日公演も中止が決定したそう。フェイゲン氏の急病ということだけれど、心配だ…]
 

Vocalを務めることから、相方の「Doanld Fagen」(ドナルド・フェイゲン)の存在の方が昔から話題になりがちとはいえ、スティーリー・ダンの音楽は「Becker/Fagen」のどちらが欠けても成り立たないのは、古くからのファンなら皆納得の事実だ。技術的なことはともかく、ウォルターのギターとベースから繰り出される音は、他の誰もが真似のできない独特の、そうまさに「ONE & ONLY」のサウンドだった。高校生の頃に初めて出逢った彼らのその「音世界」に衝撃を受け虜になり、社会人になってもう人生を折り返した今となっても、彼らの音楽は僕らにとっては宝石のように、いまでもキラキラと輝きを放つ。フェイゲンがソロ・アルバムを出す際も、ウォルターの名前はクレジットされていなくても、間違いなくいつもアイディアを共有していたんだろうと思う。そのくらい、互いにとって欠かすことのできないパートナーであったはずだ。

 

 

どの曲を取り上げようかもう何日も悩んで、なかなか決まらずにいたけれど、やはりROCKでありながらJAZZのように難解な転調を繰り返し、すべての聴く者を虜にした歴史的名盤『Aja』からタイトル作品『Aja』を取り上げないわけにはいかない。この8分を超える美しくも壮絶な狂気を包括する楽曲を、過去にいったい何度ターン・テーブルの上でリピートしたことだろうか。もちろんそれはレコード盤からCDへ、そしてiPodになってからも同じ作業を繰り返している。思えば、収録作品同様に評価を高めた「アジアを象徴する」ジャケット写真に起用された、「山口小夜子」さんも10年前に他界された。こうして時代は移ろっていくものなのだろうか。なんだか、ちょっともの悲しい。

 


Steely Dan – “Aja” (album: Aja – 1977)

 

そしてもうひとつ、「Aja」と同時期に録音が進められた、彼らとしてははじめての映画のテーマ曲である『FM(No Static at All)』を聴きながら、亡きウォルターへ哀悼の意を表したい。
うねるベース・ライン、緊張感を増幅するようなイントロのギターの響き、どちらもウォルターが紡ぎ出す音の魔法と表現しても過言ではないだろう。

2年前の秋に、NYはマンハッタンの「エンパイア・ステイト・ビル」で、アンテナが設置され電波塔も兼ねる同ビルの「FM放送開始50周年記念事業」に於いて、FMラジオ局から流れる彼らの楽曲『FM』と、ビルを美しく照らし出すライト・アップがシンクロしたイベントが開催された。(詳細過去記事参照)

 


Steely Dan – “FM(No Static at All)”
Empire State Building Steely Dan Light Show (2015 in NY)

 

折りしも、今日は決して忘れてはいけないあの忌まわしき「アメリカ同時多発テロ」が発生した『9.11』から、ちょうど16年という月日が経過した。16年前の今日、空港勤務だった僕らが送り出した米国行きの自社機を含め他社の航空機も、テロ発生直後に発令された「非常事態宣言」と連邦航空局の命令によりアメリカ国内の民間航空路の封鎖の影響で、大半が成田にリターンしてきたのを、まるで昨日の出来事のように鮮明に記憶している。海の向こうの出来事とはいえ、明らかにパニック状態に陥った。今となっても、思い出すだけでも身震いがするようだ。

ウォルター・ベッカー氏、そして16年前のあの日、彼の地でテロの巻き添えとなってしまった多くの犠牲者の方々、どうか安らかにお眠りください。

R.I.P.