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Mellow な Christmas Movie 【大停電の夜に】

12月に入ると、いつもの数倍のスピード感でいろんなことがせわしなく進んでいいきますね。年明けに控える「お正月」という文化を持った日本人にとっては、そういう意味では本当にドタバタと実に慌しい特別な時節といえます。

『Mellow なクリスマス・ソング ~ 2016』シリーズもVol.6まできたところで、少し小休止。今回はお店の営業当時、一度だけお店を訪ねてくださったお客様から教えてもらった、クリスマスに因んだ映画とその時のエピソードをご紹介をしようかと思います。

歳も僕と同年代のその男性のお客様Tさんは、大手製薬会社の営業マネージャーをされており、開業当時から当ブログをご覧になってくださっていて、いつか必ず『Mellows』を訪ねてみたいと常々思ってくださっていたとのことでした。5月のとある平日の閉店間際に、大雨の中お一人で来店され、お店の看板の照明を消した後も何時間もかけて、お互いが好きな音楽の話に没頭したのを、もう4年が経過した今でも忘れずに覚えています。

そんな取りとめもない会話の中で、「マスターが “Mellows” をOPENする大きな契機となったという、Bill Evans Trio (ビル・エヴァンス・トリオ) “My Foolish Heart”に同じような影響を受けて、製作された日本の映画があるのは知ってますよね?」と訊かれ、まったくそんな情報を持っていなかった僕は、「えっ、そんな作品があるんですか?それはすぐにでも観ないと‥」といったやり取りがあったのでした。

 

その作品が、2005年のクリスマスシーズンに公開された映画『大停電の夜に』だったのです。翌日、お店の営業が終わって仕込みや掃除を終えて、お店のカウンターにようやっと腰を下ろし、前の晩に駆け込みでレンタルしてきたそのちょっと季節はずれなDVDを、淹れたての珈琲をすすりながらひとりじっくりとPCで鑑賞したのでした。ただのちっぽけな喫茶店のマスターと映画監督との違いはあれど、この楽曲に対しての「根っこにある想いは同じだなぁ」と、強く同調しましたね。

映画『大停電の夜に』の公式サイト上に出ている「源孝志」監督が本作品を制作するにあたっての重要なキーワードの中に、Bill Evans Trio による“My Foolish Heart” [album: Waltz For Debby]という、JAZZの不朽のスタンダードとして知られている美しい楽曲の存在が語られています。監督自身が学生時代にバイトしていた京都のジャズクラブでこの曲と出逢って以来、ずっと心に温めておいたものが、この映画の冒頭でそれは美しく印象的に再現されることになるわけです。
(以下、監督のコメントから)

“My Foolish Heart” は、『大停電の夜に』の優しくて切ない恋人たちに似ているかもしれない。きっとこの曲のせいで奇跡が起こる。結局のところ、それを伝えるために、僕にはこの曲しかないと思った。(監督:源孝志)
映画『大停電の夜に』公式サイトはこちら

 

 


大停電の夜に
 

[story]
12月24日、クリスマス・イブの夜を迎えたばかりの東京の街からすべての光が一瞬にして消え、東京にかつてない暗闇が訪れた。東京を含む首都圏全域が大規模な停電に見舞われてしまったのだった。かつての恋を待ち続けるバーのマスターと向かいのキャンドル・ショップの女店主。妻と愛人の間で揺れるサラリーマン。秘めた想いに迷っていた主婦。エレベーターに閉じ込められた中国人のベルボーイとOL。地下鉄の中の元ヤクザと妊婦。天体望遠鏡を覗く少年と病院の屋上に佇む少女。行灯の前で向かい合う老夫婦。その夜、12人の男女の秘めた想いが、静かに動き出す…     (出典: allcinema)

 

それぞれの主人公たちにあるそれぞれの人生に、“My Foolish Heart” が余韻を持って響き渡る感じと、観た後のほわっとしたなんとも言えぬ感覚が印象的な作品となっています。観る人も、おそらくその中の“誰か”に、そっと寄り添いたくなることでしょう。ぜひご覧になってみてはいかがでしょう。