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Mellow Classics ~ Vol.40【People Get Ready】

全米各地や香港などが騒然としている中、気付けばそろそろ国内では「梅雨の走り」あるいは「入梅」の季節に。日中はもう真夏日に達するほど、蒸し暑い日が続いたりと、なんだかお天気も忙しい。

 

 

世界中がまだコロナ禍から依然として平常時に戻れない中で、米国では一人の黒人男性「George Floyd」(ジョージ・フロイド)氏の死をきっかけとして、この事件に端を発した大小様々な抗議活動が、全米だけでなく世界の主要都市にまで波及している。
白人至上主義の現大統領の下、全米各地でのデモは一部過激さを見せてはいるものの、これまでのそれとは違った様子も窺える。「暴力だけに訴えても、何の解決にもならない」といった、一歩進んだ印象を、メディアによる報道のあちらこちらで感じ取ることができる。こういう時こそ、「SNS」の理想的な利用が望まれる。「fb」社のザッカーバーグ氏が言い逃れをするように、誰がその判定をするのかについてはまだまだ議論の余地があるけれど、過激で誤った使い方と判断されるアカウントや言動は、たとえそれが合衆国大統領のものであっても、日本国首相であっても、規制や削除されて然るべきだと思う。運営側には勇気をもって対応してもらいたい。

 

こんな時に脳裏をよぎるのが、「公民権運動」が活発だった頃より民衆に常に寄り添ってきた歌『People Get Ready』だ。作者の『Curtis Mayfield』(カーティス・メイフィールド)が在籍した「The Impressions」がオリジナルをリリースしヒットさせたのが1965年だから、世に出てすでに「55年」という途方もない月日が流れている。にも拘わらず、いまだその当時と変わらぬ黒人への人種差別が、米国の現代の日常に当たり前のように横たわっている。実にやるせない。
とはいえ、黒人アーティストだけでなく白人アーティストによるカヴァーも少なくない、人種を超えて多くの民衆に届くこの楽曲は、力強い希望に溢れたリリックとメロウなメロディと共に、これからも世紀や時代を超えて未来永劫歌われ続けていくのであろう。

 


“People Get Ready” (1965)
Track-1:  Curtis Mayfield
Track-2:  Seal
Track-3:  Marc Jordan

1965年にリリースされた、ゴスペルの影響が濃厚なこのスピリチュアルな楽曲は、信仰について歌ったというだけではなく、その当時の黒人の社会的地位向上を目的とした「公民権運動」と、切っても切れない関係となった。

“People Get Ready”
さあみんな 用意はできたかい。列車がやって来る。荷物も切符もいらない。神に感謝さえすれば、約束の地に連れて行ってもらえる。信仰心こそが扉の鍵。でも希望を持たない罪人に席はない。ただ主に感謝するだけ。

Lyric:

People get ready, there’s a train a comin’
You don’t need no baggage, you just get on board
All you need is faith to hear the diesels hummin’
Don’t need no ticket, you just thank the Lord

People get ready for the train to Jordan
It’s picking up passengers from coast to coast
Faith is the key, open the doors and board ’em
There’s hope for all among those loved the most.

There ain’t no room for the hopeless sinner
Who would hurt all mankind just to save his own
Have pity on those whose chances grow thinner
For there’s no hiding place against the Kingdom’s throne

So people get ready, there’s a train a comin’
You don’t need no baggage, you just get on board
All you need is faith to hear the diesels hummin’
Don’t need no ticket, you just thank the Lord

written by Curtis Mayfield

 

知っているご同輩の皆さんはもちろん、初めて触れた方も、『Someday We’ll All Be Free』と共に、ぜひあなたの大切な友人に教えてあげて欲しい。現実がそんな生易しいものではないのは分かっている。とはいえ、これらの作品を知っているかどうかということだけでも、人種差別撤廃に歩みを一歩進めることができるはずだから。