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Mellow Classics ~ Vol.44【Quincy Jones / Ivan Lins】

8月に入って突然訪れた感の強い、かつてない遅い「梅雨明け」。その後の一ヶ月間というもの、気象庁の観測記録を遡ること1946年まで、このコロナ禍での2020年の日本列島の8月の平均気温は観測史上最も高かったそう。「そりゃあ、マスクも付けたままだし、暑かったわけだ」と、妙に納得。

 

 

ハッと気づけば、もう9月。今年もすでに「2/3」が終わってしまった。世界中で「Stay Home」を強いられたこの半年間、皆さんの周辺でも多くの事柄が停滞し、遅々として進んでいない状況なのではないでしょうか。
とはいえ、当たり前のように季節は巡っていきます。できれば、こんなコロナ禍の「暑すぎた夏」は、これきりにして欲しいと切に願うところです。

さて、9月に入った途端に、まるでスイッチを入れ替えたかのように、朝晩には涼しい風を感じることも多くなってきました。ようやく、R&B/Soul に限らずとも、音楽好きにとってはいよいよ「待望の秋の到来」です。芸術を鑑賞するには相応しい季節に、文化・芸能に携わる方々が一日も早く現場に戻れるような状況が訪れることを、心より祈念しております。

「9月」と言えば、もう当たり前のように、洋楽では「Earth, Wind & Fire」「September」、そして邦楽では「竹内まりや」さんの「セプテンバー」が定番ですが、ブログもこれが9月になって最初の更新なので一捻りして、世界中の音楽関係者からリスペクトを集める御大「Quincy Jones」(クインシー・ジョーンズ)の「9月」に因んだ作品を取りあげます。
南米ブラジルの至宝と呼ばれる音楽家の「Ivan Lins」(イヴァン・リンス)が、自身のベストセラーであり超ロングセラー・アルバムとして有名な「Novo Tempo」(1980) に収録された『Setembro』は、もちろんポルトガル語で、またエスペラントでも「9月」を意味しますが、イヴァンのオリジナルVer.をよりムーディーで幻想的な作品に、クインシーがアレンジしたカヴァー『Setembro (Brazilian Wedding Song)』が、1989年リリースのアルバム『Back On The Block』に収録されました。

 


Quincy Jones – Septembro (Brazilian Wedding Song)
(album: Back On The Block – 1989)

 

クインシーにとっては、盟友「サラ・ヴォーン」との最後のレコーディングとなったことや、同じく美しいコーラスを披露している「TAKE 6」のレコーディング中に、メンバーの「クロード・マックナイト」が弟の「ブライアン・マックナイト」をクインシーに初めて紹介したりと、いろんな出来事が起こったレコーディングだったと、後のベスト盤のライナー・ノーツでクインシーが回顧しています。

 


Ivan Lins – Setembro
(album: Novo Tempo – 1980)

 

クインシーは過去にも世界的な大ベスト・セラーとなった自身の代表作『The Dude』(1981年) の中でも、イヴァン・リンスの作品である『Velas』をカヴァーしているのは、クインシー・ファンのみならず、音楽ファンを自称する方であれば知らない方はいないはずですが、この作品のカヴァーでは数年前に故人となった世界一のJazzハーモニカ奏者でもあるご存知「Quincy Family」の一員「Toots Thielemans」(トゥーツ・シールマンス)を起用して、もう超絶に美しい楽曲へと昇華させていますね。僕もリリース以来、個人的にたいへん愛して止まない作品です。詳しくはお時間のある時にでも、「過去記事」などご覧ください。

 


Quincy Jones – Velas
(album: The Dude – 1981)