web statisticsblog statistics

Mellow Tunes ~ Vol.131【Joe】

夏もそろそろ終わり。ここしばらく続いた雨のせいか、蝉たちの合唱がやけに耳にまとわり付くここ数日間です。

 

そろそろ秋に向けて、ブログで紹介する音楽を探そうと思って古い作品を聴いていたところ、MAZE (メイズ)のアルバム群に耳が惹きつけられました。

Frankie Beverly(フランキー・ビヴァリー)率いる【MAZE ft. Frankie Beverly】は、1970年代から2000年頃に至るまで米国内においては、あの Earth,Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイア)と双璧を成す、とても人気のある FUNK/SOUL バンドでした。アース同様に一部のメンバーが亡くなったり高齢化といった事情もあり、2000年代に入ってからは一時期は活動を控えたり、ここ数年は米国全土をゆっくりとツアーで回っているようです。日本国内では、バンドの最盛期でさえプロモーションがほとんど行われず、アースと比較するとまったくと言っていい位、知られていないのが実情です。その辺りのことは過去記事で書いていますので、そちらをご参照ください。

現代R&Bの世界において、僕自身にとっては今後の「R&B」の方向性に一筋の明るい光を与えてくれるのが、【JOE】こと Joe Thomas の存在です。かつて過去記事でも書いたことがありますが、彼は多様化してしまった現代の「R&B」の状況を冷静に分析していて、「R&Bはかつて、とても品があって、スタイリッシュで、エレガントで、恭しかった。俺はR&Bに品格を取り戻したい。」と、アルバム『DoubleBack: Evolution Of R&B』の製作発表時に、語っていたこともあるほどです。

この人くらいの実力派アーティストになると、ほんとにごまかしの一切効かないステージ・パフォーマンスを見せてくれるものです。もちろんそれは、バックで演奏するミュージシャンの面々の力量も同様で、すごくテクニカルなことをサラっとやってのけてしまうものです。
2011年に来日した際の Billboard Live TOKYO でのアンコールで披露されたのが、今では MAZE の代表作とも言われる『Can’t Get Over You』のカヴァーでした。約14分に及ぶメンバー紹介も含めた熱演は「驚愕」の一言です。

 


Joe – Can’t Get Over You
(Live at Billboard Live TOKYO – 2011)

 

2009年にリリースされた『Silky Soul Music: All-Star Tribute to MAZE ft. Frankie Beverly』(タイトル長い)では、多くの第一線のR&Bアーティストが集結した MAZE へのトリビュート・アルバム中、この『Can’t Get Over You』を、JOEは「俺以外に誰が演るっていうんだ」とばかりに、原曲に忠実なアレンジで、本家「フランキー」を凌駕してしまうほどに再現して見せました。もう流石という以外にありません。

 


Joe – “Can’t Get Over You” Maze ft. Frankie Beverly Cover
(album: Silky Soul Music: All-Star Tribute to MAZE ft. Frankie Beverly -2009)

 

ホーン・セクションを携えた編成のバンドであれ、アコースティックなアンプラグドのシチュエーションであれ、自身のとびきりのヴォーカル・ワークといつもながらの美しいコーラス・ワークもしかり、ほんとに手を抜かないプロとしての姿勢に感心いたします。

 


Joe – “Baby” – Last.fm Original Showcase Live
(album: DoubleBack: Evolution Of R&B – 2013)

 

「Last.fm」の showcase Live は、どの曲も素晴らしい演奏で、YouTubeにも沢山UPされているので、ぜひご覧になることをお薦めいたします。