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Mellow Tunes ~ Vol.65 【chic & mellow 編⑨ / The Tony Rich Project】

日ごと季節が徐々に冬にシフトしていくような印象がありますが、こんな季節にはやっぱり温かい珈琲が欲しくなってくるもの。できれば傍らには優しさや情感溢れるちょっとメロウな音楽があると、人生がすこしばかり豊かになるような、そんな気がしています。

chic & mellow 編も気がつけば今回で9回目。以前から一度は取り上げなきゃと思っていたのが、The Tony Rich Project(トニー・リッチ・プロジェクト)その人なんですが、一人で活動しているにもかかわらず、なぜか「project」なんですね。ネーミングに関する真意のほどはよく分かりませんが、あの大物プロデューサーの Babyface 主宰の LaFace Records より1996年にデビューアルバム「Words」を発表し、翌年グラミーの Best R&B Album を受賞するという快挙を成し遂げた逸材です。
もともと彼はその溢れるソングライティングの才能を買われ、同レーベルの専属ソングライターとしてBoyz II Men, Johnny Gill, TLC, そしてToni Braxton などそれは時代を彩った多くのアーティストたちに曲を提供していました。
曲はデビューアルバムの一曲目、彼女を待つ深夜のカフェでのウェイターとの会話からイントロが始まる『Hey Blue』を取り上げてみました。彼の非凡な才能の片鱗を感じさせる、とても洒落た曲です。

 


The Tony Rich Project / “Hey Blue” (album: Words – 1996)

 

少し鼻にかかったような優しげな印象の彼のヴォーカルスタイルや楽曲のイメージが Babyface とかなり被るようなところもあり、同じレーベルに天才は二人必要なかったのか、レーベル内での意見の相違が元となり、2作目のアルバム「Birdseye」を残しトニーは「LaFace Records」を去ることになります。

その後数枚のアルバムをいくつかのレーベルを経てリリースし、今年になって5年ぶりとなるアルバム『Speak Me』を Hidden Beach Label より発表しました。才能の衰えは一切感じさせない相変わらずのトニー節を聴かせてくれています。もっと売れていいはずのアーティストなのですが、レコード会社が世界的に売れると確信したアーティストだけにしかプロモーションにお金を掛けない現代は、実力も才能のあるアーティストにとっては、今は不遇の時代と言えるのかも知れません。
そんな最新作より『Fade Away』もお楽しみください。

 


The Tony Rich Project / “Fade Away”  (album:  Speak Me – 2013)