Mellow Tunes ~ Vol.124【Can’t Hide Love】

いつもご訪問ありがとうございます。
7月に入ってからというもの、なんだかんだと慌しい日々が続き、今月になって初めての更新です。たいへんお待たせをいたしました。
先般実施された都議選で、僕が20歳で参政権を手にして以来一度も投票したことのない政権与党が、良識ある都民の皆さんの選択で、歴史的な惨敗を喫しました。いい気味です。国民の感情をないがしろにし、弱い立場の者の気持ちが分からぬ連中に、おおよそまともな政治ができるわけがありません。お坊ちゃま育ちのトップが身内にだけ異常なまでに甘く、国民に何を批判されているかさえも判断できない、学歴だけが自慢の議員ばかり集めていれば、遅かれ早かれこんな事態になるのは、容易に想像できていました。
自分は決して左寄りとかいうことではなく、その時代の与党の暴走を監視させるために、敢えてどこかの野党に大切な一票を投じることに決めています。参政権を手中にした若い世代の皆さんが、その貴重な一票で、政治が変えられるということを忘れないでいて欲しいと思います。なのでこの国を変えたいと思う人は、ちゃんと選挙に行きましょう。
かといってあまたある野党がちゃんとしているかといえば、そうでもありません。先進国家に見られるような「二大政党」による熱い戦いが、自分の生きている間に見られるのか甚だ疑問ではありますが、いつかそんな国家に育ってくれたらいいなと思うこの頃です。

 

 

さて連日真夏のような酷暑が続いておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。時折訪れる近隣のいくつかの公園でも、木々の緑の濃さが深くなるのとは対照的に、「アジサイ」の季節はもう終わりに近づいているようです。間もなく「梅雨明け」のニュースが聞こえてくることでしょう。夏の暑さと湿気と混雑が大嫌いなので、僕にとっては厳しい季節の到来です。正直なところ、夏祭りとかも大の苦手です。なので、頭の中で頑張って「秋風」を吹かせるような、秋冬の景色をイメージしたりしています。毎年この時期にお伝えしてますが、例年に習い、当然ブログの更新もそれなりにスロウ・ペースになりますので、どうかご容赦ください。

 

 

先日ふと昨年亡くなった Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド&ファイア)の偉大なリーダーであった Maurice White(モーリス・ホワイト)のアルバムを聴いていたら、ついでにアースの作品も聴くことになり、個人的には彼らによるご機嫌な「Disco Tunes」よりも、モーリスと一緒に1970年代に多くのメロウで美麗なメロディを作り出した故人のソングライター『Skip Scarborough(スキップ・スカボロウ)』による作品群が、やっぱり好きなんですね。結構そんなご同輩も多いのではないでしょうか?
今回ご紹介する『Can’t Hide Love』ですが、オリジナルはソング・ライターのスキップ・スカボロウ(Skip Scarborough)が、Creative SourceというLAベースのR&B Vocalグループのために1973年に書き下ろした曲で、アースへの提供作品ではありませんでした。ほとんどヒットしなかった本作はオリジナルのリリースから2年後に、モーリスの眼鏡に適い、ほとんど原曲の雰囲気を残さぬまま、モーリスの手による大胆なアレンジを施したスケールの大きな楽曲へと変貌を遂げました。

 


Earth,Wind & Fire – Can’t Hide Love
(album: Gratitude – 1975)

 

1975年にリリースされ、アースにとって初の全米チャート1位に輝いたアルバム『Gratitude』に収録された『Can’t Hide Love』は、ミディアム・スロウな作品によるアースの魅力をリスナーに対して改めて見せつけることとなりました。
21世となった現代においても、『Can’t Hide Love』は多数のアーティストによるカヴァーやリメイク、そしてHIP-HOP系アーティストによるサンプリング等、本作品が世に出てから輝きが失われることは皆無です。

アースからは少し遅れて、1982年にリリースされた Dionne Warwick(ディオンヌ・ワーウィック)のアルバム「Friends In Love」に収録された『Can’t Hide Love』のカヴァーは数あるカヴァー作品の中でも、とても好感の持てるアレンジに仕上がっている気がします。当時隆盛を極めたスーパー・プロデューサーコンビの Jay Graydon(ジェイ・グレイドン)と David Foster(デイヴィッド・フォスター)による全面的なバック・アップによって製作されたアルバムには、当時考えられる最高レヴェルのスタジオ・ミュージシャンたちが用意され、それは贅沢な音のつぶてが詰まったアルバムとなっています。本作品の中で、控えめなプレイであるにも拘らず物凄い存在感のジェイ・グレイドン氏のギターの音色にはもう降参するしかないですね。
この頃が、本当に音楽にとって「いい時代」だったような気がしてなりません。

 


Dionne Warwick – Can’t Hide Love
(album: Friends In Love – 1982)

 

どちらにせよ、やはりソングライターである「スキップ・スカボロウ」の才能を抜きには語れない、20世紀に遺された偉大な作品と言えるでしょう。

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.123【Midnight Rain】

「雨の季節」らしい日が続いている中、あっという間に今年も半年が終わってしまいました。
時間が過ぎてゆくのは、ほんとに早いものです。列島の南の方から明けていく、こんな「雨の季節」も残りわずか。僕の暮らす「水」に恵まれたこちらの地域では、この季節特有の光景を目にすることができて、湖や水郷地域周辺で暮らす人々の生活は、地球上の歴史の中で太古の時代から、「水」との関わり合いが他の地域と比べてとても密接なのを特に感じます。

 

 

自営業を営む知人が、事業の多角化を視野に、ここ数年で霞ヶ浦周辺地域で特産品のレンコンの生産を始めました。産物が何であれ、農産物を一から作り出すという行為は、それは生産性の高い立派な仕事であって、大変素晴らしいことだと思います。レンコンの品質の高さと生産量では日本一と言われる地域ですので、頑張って夢を手に入れて欲しいと願うところです。
 


僕の住む地域からは対岸に位置する北部エリアには、そんな「ハス田」の一等地が湖岸沿いに延々と果てしなく続いていて、初めて見る人はそのスケールの大きさに、まず間違いなく度肝を抜かれるものです。

 

 


数日前仕事が休みだった梅雨の晴れ間に、湖岸沿いのハス田を横目にゆっくりと車を走らせ、対岸エリアにある湖を一望できる森林公園に出掛けてみました。
少し標高の高い森林公園には、湖面を渡ってくるこの時期独特の南風が吹き抜け、とても涼しくて梅雨の時期とは思えないほどさらっとしています。沢山の種類の「アジサイ」が咲いていて、なんともこの時期らしい風景が広がっていました。前日の深夜から降り続いていた雨の影響で、樹木たちの緑の濃さといい、植物たちもなんだか生き生きとした印象でした。帰り道の途中で、今年初めて見る「ひまわり」を発見しました。移り住んでずいぶんと時間が経過しましたが、改めて自然の恵みが豊かな土地なんだということに気付かされる、そんな季節です。
 

 

以下ギャラリーにしてみましたので、よろしければBGMと共に画像をお楽しみください。
(少々データが重いので、上手く表示できない際は、ページの再読込みをお願いします)

 

Mellow Tunes ~ Vol.122【Incognito】

いつもご訪問ありがとうございます。
梅雨時ですが、みなさんどんな風にお過ごしですか。いつもいただく珈琲なども、昨日はICE、今日はHOTでと、チョイスが忙しい時期かもしれません。梅雨明けには、まだまだ時間が掛かりそうな気配ですが、近隣の公園の植物たちはそれなりに元気な様子です。

 


 


 

さて今回でVol.122となる「Mellow Tunes」シリーズですが、いつものように時代・年代に囚われることなく、そのとき取り上げたいと感じた作品を、これからも変わらずご紹介していきたいと思います。

「Incognito」(インコグニート)は、モーリシャス出身のバンド・リーダー Jean Paul “Bluey” Maunick (ジャン・ポール “ブルーイ” モニック)率いる、英国はロンドン・ベースのジャズファンク・バンドですが、いつの時代も我々大人が安心して聴くことのできる良質なサウンドを提供してくれる貴重な存在です。

バンド結成26年目となる2005年にリリースされた彼らの11作目となるアルバム、その名も『ELEVEN』のラストに収録された『As Long As It’s You』は、それはそれはメロウな楽曲です。作品やアルバムごとに、適正とされるヴォーカリストやミュージシャンを配置する「ブルーイ」のやり方はこれまでもずっと変わらずですが、本作品のヴォーカリストとしてフィーチャされた英国人女性シンガー「Imaani」 (イマーニ)の起用は、メロウな楽曲の良さといい、結果としてベストな相乗効果をもたらしたのではないでしょうか。

 


Incognito – “As Long As It’s You”
(album: ELEVEN – 2005)

 

やっぱり、Mellowな音楽がこの季節にはよく馴染むものですよ。
「Incognito」についてはこれまでも色々紹介していますので、詳しくはぜひ過去記事をご覧ください。)

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.121 【Hiram Bullock】

降ったかと思えばすぐに晴れて暑い日が続いたりと、とかくこの梅雨時の空模様の変化は忙しい様子です。街のあちこちで見かける「アジサイ」たちだけが、なんだか元気一杯のように見えるのは、気のせいでしょうか。

 

 

 

これから夏に向かう季節になると、いつも思い出すギタリストがいます。
Hiram Bullock (ハイラム・ブロック)が亡くなって、早いものでこの夏で9年という月日が経とうとしています。父親が米国軍人だった関係で大阪で生まれ、後に天才ギタリストとして世界に名を馳せたハイラムは、大の日本贔屓でもよく知られていました。かつてJT(日本たばこ産業)がメインスポンサーとなって1977年~1992年まで毎年7月に「よみうりランド」をメイン会場に実施されていた日本で最大の野外ジャズ・フェスティバルの『LIVE UNDER THE SKY』の後期では、毎年のように来日し独特のステージ・アクトで、多くのFUSION/JAZZファンを楽しませてくれたものでした。(過去記事参照)

2008年に52歳という若さで、活動のベースとなっていたNYにおいて喉頭癌で亡くなるまでの晩年は、健康管理に困難を極めたのか想像を超える程の肥満化にも苦しんでいたようでした。
過去記事でも書きましたが、ハイラムはファンキーなプレイとは裏腹に、実は素晴らしくメロウなギター弾きでもありました。この「Never Give Up」という作品でも堪能できる、彼の爪弾く「ストラトキャスター」からしか出てこない独特の音色や響きは、いまだに僕の心を掴んで離しません。アルバムや楽曲を聴く度に、NYの風をいつも運んでくれた貴重な天才ギタリストでした。本当に存命でないのが、残念でなりません。

 

Hiram Bullock – “Never Give Up”
(album: Way Kool – 1982)

 

かつてジョン・カビラ氏「J-WAVE」の朝の番組を担当していた頃は、オープニングでハイラムの曲がいつも流れていましたっけ。レコード会社出身のジョンさんも、きっと大好きなアーティストだったのでしょう。「Window Shoppin’」もハイラムが世に送り出した傑作のひとつです。ファンにとっては、「One and Only」でいつまでも「Ever Green」なアーティストです。

 


Hiram Bullock  – “Window Shoppin'”
(album: From All Sides – 1986)

 

 

AC Tunes ~ Vol.54 【Stereophonics】

いつもご訪問いただきありがとうございます。
なんだかこの頃初めて訪問してくださる方も増えてきているようで、最近は一日で2,000PVほどのアクセスが世界中からあることも珍しくなくなってきました。とにかく「SNS」が苦手な体質な僕は今後もまったくやる予定も無いのですが、「fb」のグループのメンバー皆さんでのシェアによるご支援など、感謝・感謝であります。こんなブログですが、どうかごゆるりとお付き合いください。

 

 

さて明日は夏至を迎えるそうで、ここ数日はちょっと「梅雨の中休み」という感じでしょうか。これからやってくる暑い季節が苦手なので、僕にとっては夏は例年耐え忍ぶ季節となります。

車のナビに接続されたままの愛用の「iPod Classic」のホイールをくるくると回していたら、なんだか偶然にこの曲を選びました。
今回ご紹介する英国はウェールズ出身のバンド「Stereophonics」の代表曲でもある『Maybe Tomorrow』は、2005年度のアカデミー賞における作品賞を受賞した米国映画『CRASH』のラストシーンからエンド・ロールを飾る、大変心が揺さぶられる楽曲です。

この映画、国家がほぼ単一の民族で成り立っている日本では、「ほとんど理解されないのでは」といった危惧が映画配給会社にもあったようで、事実大半の日本人が見ていないだろうと思われる、オスカー受賞作品の一つなのではないでしょうか。
本作品は「人種のるつぼ」と表現される米国における様々な人種が交錯する群像劇で、日本国内に居住していては想像もできないような「人種の壁」「宗教観」そして「偏見」が緻密に描かれております。特定の主人公は設定していなくて、いわゆるグランドホテル形式で作品は展開していきます。
過去にも多くの映画が存在しますが、白人と黒人の主従の関係を描いた過去の歴史モノとは異なり、雑多な移民で成り立つ現代の「アメリカ合衆国」という国家における身近で根深い問題を、この作品は見事に炙り出して見せています。西海岸のLAに居住する、白人と黒人はもとより日系・韓国系・中国系・ヒスパニック系・不法入国の難民たち、そして「9.11」以降誤解を受け易いアラブ系も含め、そこにはお互いを理解できない、しようとしない多種多様な登場人物の仕事や家族関係等が緻密に描写されています。一つの車の衝突事故を起点として、人々の偏見から生まれる「衝突 = CRASH」を描いており、その一方で多角的に物事を見ることで、その差別や偏見が変わることを伝えようと、この作品の脚本・制作・監督のすべてを担当した「ポール・ハギス」は訴えています。
個人的には、獲得後10年が経過する本作品を超えるオスカーの作品賞受賞映画には、まだ出会えていないと言えるくらい、衝撃と感動そして魂を揺さぶられた作品でした。
同じ島国でも多民族化が進んでいる「英国」と違い、ほぼ単一民族で構成された島国である「日本」に居住していると、なかなか理解できない「テロリズム」の根源について考るきっかけとなる作品とも言えるでしょう。また同時に、是非はともかく現大統領が選出されたのにも、こうした根の深い感情や現実が存在しているという背景を、くっきりと浮き彫りにした貴重な作品だと考えられます。

 

“CRASH” Movie Trailer

 

 

Maybe Tomorrow (Stereophonics) “Crash” Movie Soundtrack
 

カリフォルニア南部に位置する都市や沿岸部では降るはずのない雪が、クリスマスの夜のLAの街に降りしきる感動的なラストで、朗々と流れ出す『Maybe Tomorrow』「たぶん明日は、自分の居場所がみつかるだろう」自分自身に言い聞かせるような「So maybe tommorow, I’ll find my way home ~」というサビのフレーズと、ラストシーンのマッチングがあまりに秀悦で、最初に見た時は感動の余りDVDを何度も観返すことになりました。
監督のポール・ハギスが描き出す社会性の高いテーマと作品の完成度の高さ故に、もっと沢山の人たちに観てもらいたい映画です。ご覧になっていない方は、機会があればぜひ一度鑑賞してみてください。
本年度(2016)のアカデミー賞作品賞を逃したものの、大半の賞を総なめした、同じ「LA」を舞台とする『La La Land』が夢や希望・挫折を織り交ぜながらもファンタジックなミュージカル仕立ての世界を描いたような作品とは、明らかに対極に位置する作品ではありますが、米国という大国の「光と影」を見るようで、何とも感慨深いものがあります。

 

AC Tunes ~ Vol.53 【Donald Fagen】

天気もそうですが体調もいまいち安定しないので、こんな時の音楽の選択には結構神経質になったりもすることがあるんですが、なんだかそんな時に聴くと落ち着くアーティストがいたりします。

 

 

Donald Fagen(ドナルド・フェイゲン)なんかも、僕にとっては昔からそんな存在のアーティストの一人です。彼については、相棒のWalter Becker(ウォルター・ベッカー)との母体ユニットである「Steely Dan(スティーリー・ダン)」のことも含めて過去に記事をいくつかUPしてますので、詳細は割愛いたします。(ご興味ある方はこちらへどうぞ)

 

 

過去にリリースされたドナルド・フェイゲン名義の4作のソロ・アルバムにはそれぞれ、独自のテーマがあって、今回紹介する2006年にリリースされた3作目のアルバム『Morph the Cat』は、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件だとか、フェイゲン氏の実母の死等を経験した後に発表された本作品は、「老年期における沈思と死」がテーマとなっているものです。1982年にリリースされた「ROCK/POPSの金字塔」と賞賛されて久しい1stソロ・アルバム『The Nightfly』が、若者による視点から見た、米国および危ういバランスで成立していた当時の国際情勢を鋭く描写したシニカルな作品が並んでいたのとは、かなり対照的な作品となっているのが特徴的と言えるでしょうか。当然のことながら、セールス面でも過去の4作品の中で、米国含め世界中のセールス・チャートでも10位台に入らなかった唯一のアルバムとなりました。

11年前の『Morph the Cat』リリース時は、収録作品の雰囲気や内容も含め「ちょっと暗いな‥」と思ったものですが、いざ自分が50代半ばを折り返す時期に入って聴くこのアルバムは、自分もいろんな経験を積んだことで、なんだかとても共鳴するというかフェイゲン氏の表現したいことが分かって来たような気がします。
今回取り上げる『The Great Pagoda of Funn』は、「7分39秒」という長さの大作で、同アルバムの中でも突出した出来の楽曲だと思います。Lyricに関しては、いつも同様に大変抽象的で難解のため省略しますが、トランペットのソロを吹く「Marvin Stamm」、そして後半圧巻のギター・ソロを披露した「Wayne Krantz」といった自身の楽曲の特徴に合わせたミュージシャンの選定に、まさに目利きであるフェイゲン氏の真骨頂を見せつけられます。

 


Donald Fagen – The Great Pagoda of Fun
(album: Morph the Cat – 2006)