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Mellow Tunes ~ Vol.248【松尾潔のメロウな夜間授業 [第3回]】

いつもご訪問ありがとうございます。
今週月曜日(1/20)に開催された、第3回『松尾潔のメロウな夜間授業』〜R&Bの愉しみ〜『ホイットニー・ヒューストンと「クライヴ・デイヴィス」』に出席するため、東京ミッドタウン日比谷の「ビルボードカフェ&ダイニング」へ行ってまいりました。残念ながら12月開催の「第2回~スティーヴィー・ワンダーとモータウン・レコード」編には多忙につき参加できませんでしたので、昨年の11/18に催された初回の公演「ベイビーフェイスと<メロウという名の魔法>」以来、今回で二度目の参加です。

 

 

初回と同様に、お集まりになった面々はやはり圧倒的に50代が中心。全講座通しで参加を予定されていらっしゃるような、熱心な「松尾さん信者」の方々で、今回も会場は超満員でした。

 

 

出典:abc – THE VIEW

3回目にして、もはやこの授業の基本である、アーティストの出自から始まり、今回はすでに故人となっている「ホイットニー」だけに、死に至るまでの彼女の駆け足で過ぎ去った人生とまるで寄り添うかのように、愛情たっぷりな松尾さんのお話が進んでゆきました。松尾さんが言う「光が強いと影も濃い」という言葉の通り、スターとして、また一人のアフリカン・アメリカン女性として、彼女のローラー・コースターのような人生に対する、松尾さん独自の切り口からの考察には、驚きと共に深い共感を覚えました。遺された彼女の楽曲の数々を、授業参加者全員がまるで慈しむかのように聴き入りながら、大物プロデューサー「クライヴ・デイヴィス」とのデビュー以前の邂逅から、グラミー前夜の死去に至るのまでの、長いようで短かかった彼女の生涯に、深いため息をつかれた方も少なくなかったことでしょう。

途中、ミュージカルで活躍されている「エリアンナ / Eliana」さんが飛び入り参加で、人生でもっとも影響を受けたアーティストの一人だという「ホイットニー」の『Greatest Love Of All』をアカペラで披露してくれて、参加者一同そのパフォーマンスに感動しきり。
そして更には松尾さんの盟友でもあり、国内のHip-Hopムーブメントの魁として知られるラッパーの「K DUB SHINE」さんが登場し、プロデューサーとしての「クライヴ・デイヴィス」の手腕に対する評価や、レーヴェルの栄枯盛衰であるとか、音楽ビジネス全般について彼独自の深い考察をロジカルに披露してくれ、こちらも大変勉強になりました。

後半の終盤には、恒例となった「TOP-20」のカウントダウンがあり、マチュアで和やかな雰囲気の中で授業は終了しました。
終演後には、「松尾さん」とすこしお話ができたこともあり、僕自身にとっても大変有意義な第3回の授業となりました。
 
以下は、松尾さんがご自身の Twitter にUPしてくださった、当日の【Whitney Houston – メロウTOP20】です。

個人的には、二人とも自分と「同学年」である「ホイットニー」と「ジョージ・マイケル」のデュエット曲If I Told You That』であるとか、特筆すべきは彼女の晩年にあたる低迷期に発表されたとはいえ「美メロ」なナンバー『One Of Those Days』に至っては、やはり「松尾さん」でしかチョイスできないような「他にはない」オリジナルな選曲集となっています。『One Of Those Days』Music Video には、今後の夜間授業でも登場予定の『ロナルド・アイズレー』がほぼ共演に近いかたちで出演していたりと、映画「ボディーガード」(原題:The Bodyguard)では全くもって伝えきれなかった「ホイットニー」の真の魅力を伝えるという意味においては、彼女にとっての最高傑作映画ため息つかせて』(原題:Waiting to Exhale)の有名なシーンをオマージュした Music Video に、往年のファンは皆むせび泣くしかありません。

映画『ため息つかせて』(原題:Waiting to Exhale)は、Amazon Prime Video でも、確か¥200以下で視聴できたはずなので、観賞を逃された方もまた観ようかなという方も、ぜひご覧になることをお薦めします。観ていただければ、なぜ松尾さんがあれほどまでに映画「ボディーガード」に対してちょっと手厳しい対応をされたその「真意」を、きっとお分かりいただけることでしょう。『I Will Always Love You』がちょっと苦手な僕は、松尾さんの意図するところが、とってもよく理解できましたので。
余談になりますが、そうですねぇ、昔から「Black Music」つまりは「黒人音楽」と呼称されるカテゴリーの音楽を、長いこと聴き続けていると、それは「米国」という国そのものが持つ「陰」の部分の悲しい歴史を、遡って知る必然性が出てきますね。「R&B/Soul」であれ「Jazz」であれ、これはもう避けて通れない、そして最低限知っておかねばならない、過去や歴史を探求する道程でもあるわけです。
平たく表現するのであれば、ホイットニーが「ボディガード」という映画に主演するにあたり、嫌でも対峙することになった「アフリカン・アメリカン」で破格の成功を収めた一人の女性としての「存在意義」というか、それこそ「ソウル(魂)」という「アイデンティティ」の在り方に、松尾さんは思い切って言及されたのだと、僕自身はそんな風に理解を深めました。

当日参加したくてもできなかった全国の多くの「メロ夜」リスナーの皆さん方の為に、全てカウント・ダウン形式で「YouTube 動画」による「プレイ・リスト」を編集させていただきました。よろしければ、どうぞご鑑賞ください。

 

 

『松尾潔のメロウな夜間授業』【Whitney Houston – Mellow TOP 20】

 

「Whitney Houston」関連の過去記事では、ホイットニーの主に初期の作品で関わったプロデューサー「KASHIF」「Michael Masser」なども取り上げております。ご興味のある方は、よろしければご一読ください。

 

次回の「松尾潔のメロウな夜間授業 〜R&Bの愉しみ〜」は
第4回 2/17(月)『キース・スウェットと「ニュー・ジャック・スウィング」』
です。

 

 

【雑記】Coffee Break ~ Vol.6「冬に咲く花」

やっぱり今年は暖冬なのだろうか。とはいえ、早朝の特に日の出前などには気温が0℃前後に下がることもあるので、なんだかんだ言っても冬らしい季節の真っ只中というべきなのだろう。

 

 

今朝の朝刊の「天声人語」を読んで、今は無き実店舗「Mellows」の開業当時のことをふと思い出した。
かつて、朝日新聞社の世界中に点在する海外支局長を歴任されたというヴェテラン記者の方が、東日本大震災直後に独立・開業したばかりの僕のことに興味を持たれて、取材に来られたことがあった。その時にはすでに一旦定年退職され、再雇用による地方支局所属の一記者として地元の話題などを自分の足で取材し、地方版紙面に掲載するコラムを担当されていた。取材当日、カウンター越しに珈琲を味わっていただきながら、結構な時間のインタビューを受けた。生い立ちから取材されたことには、正直驚いたものだった。その際、記者の方から、一つだけお願いをされた。「今のブログのスタイルを続けてほしい」と。
訊けば、取材を申し込まれるずっと以前から、数か月に渡る開店準備の期間中も、僕の「奮闘記」を読んでくださっていたという。流行りの「SNS」 のようなコミュニケーションよりも、あなたには今のスタイルが合ってるし、訪問者もそれを期待しているはずだからと。
「『天声人語』を小さい頃から読んでくださっているそうですね。それがよく感じられますよ。」と、リップサービスだとは分かっていても、その一言がすごく嬉しかった。その時に伺ったお話では、なんでも「天声人語」の担当者は不定期に代替わりはするものの、2007年頃からはそれまで「論説委員」一人だけで担当していた体制が、原則二人体制に変わり、交代でコラムを受け持つとのこと。朝日新聞社に記者として入社したからには、ほとんどの記者や編集者にとって、まさしくそこは出世などとは一切無関係の「憧れのポジション」だということだった。身近な先輩や後輩がその貴重なポストに抜擢される度に、臍を噛む記者・編集者が大半で、その方も退社までには一度は担当してみたいと切望されていたそうだが、念願叶わずだったとのこと。実力だけではなく、むしろ「運」やタイミングが重要なんだと仰っていたのが、とても印章深かった。

もう三十年以上も前に他界した父から口癖のように、「天声人語だけは読んでおけ」と言われ、いつの間にかそれが自分の「心の拠り所」となって、早いものでもう半世紀が経とうとしている。この話、天国の親父にしてあげたら、「だから言ったじゃないか」って、満面の笑みで反応してくれたと思う。親父の命日にあたり、そんなことを思った令和二年の年明け。

 

「天声人語」1/16/2020

 

 

Whitney Houston – “Exhale (Shoop Shoop)”
(album: Waiting To Exhale [Original Soundtrack Album] 1995)

 

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.16【Deborah Cox】

いつもご訪問ありがとうございます。
連日国内外を問わず、多くのアクセスを頂戴しておりますが、更新をお待たせしてしまい、ゴメンナサイ。
さて、現在発生中の「台風5号」ですが、日本列島各地への直接的な影響は比較的小さいようで、すこしばかり安心しました。そうは言っても、台風に刺激された梅雨前線は活発化していて、「梅雨明け」まではもうすこしばかり時間がかかりそうな気配が濃厚です。
近隣では、この時期にしか見ることのできない「蓮の花」の開花に、ドライブ中に視線を奪われる機会が多くなってきました。

 

 
「Mellow Classics」シリーズも気付けば、早いものでもう「Vol.16」になりました。今回取り上げるのは、「ポスト・ホイットニー・ヒューストン」としての呼び声も高く、1995年にメジャー・デビューしたカナダ出身のR&B女性シンガー『Deborah Cox』(デボラ・コックス)の作品です。1998年にリリースされた2ndアルバム『One Wish』からのシングル、『Nobody Supposed To Be Here』は、全米R&Bチャートはもちろん首位を、そして総合チャートでも2位まで上昇した、彼女のキャリアにおいても自身の最大のヒット作品となりました。「Whitney Houston」(ホイットニー・ヒューストン)の時もそうでしたが、人材発掘における、アリスタ・レーヴェルの当時のCEOだった「クライヴ・デイヴィス」の目利きぶりには、本当に舌を巻くばかりでした。

 


Deborah Cox – “Nobody’s Supposed To Be Here”
(album: One Wish – 1998)

 

R&B好きな人たちの間でも、美しいメロディを書くことで知られる「Montell Jordan」が「Anthony “Shep” Crawford」と共作した、このメロウで美しくも儚い「Love Ballad」は、リリースからちょうど20年という長い年月が経過した今でも、その楽曲の魅力が色褪せることが一向にありません。おそらくアメリカ南部の地でロケを行ったと思われる Music Video の映像も、メロウな楽曲を更に印象深いものにしていますね。

まだ寒い時期だったので、確か今年の2月頃の放送だと記憶してますが、このサイトでいつも応援しております「大人のためのラジオ・プログラム」『松尾潔のメロウな夜』で、「今夜の寝酒ソング」と銘打って松尾さんが選りすぐりの一曲をセレクトする、番組の「ラスト・ナンバー」でも、本作品を取り上げていらっしゃいましたね。まさに、20世紀を代表するソウルフルなバラッドと申し上げて差し支えないでしょう。

 

 

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.10【Taylor Dayne】

いつもご訪問ありがとうございます。
気付けばあっという間の「6月」。そろそろ「雨の季節」の到来。
不快な湿気だとかいろいろありますが、僕は子供の頃から、この国特有の「雨の季節」が嫌いではありません。

 

 

理由としてはいくつかありますが、まずは好きな植物の代表格の「紫陽花」「花菖蒲」といった梅雨時に美しく咲き誇る花々を、雨の降る中ぼーっと眺めているのが、幼少の頃よりとても好きで、そんな時間は自分にとって、本当に愛おしい時間なのです。そして、傍らには好きな「音楽たち」と、「梅雨寒」にすこしばかり感謝したくなるような「一杯の温かい珈琲」があれば、そこは至極の空間となります。きっとお分かりいただける方も多いのでは。

さて、5/27と6/3と二週に渡りON-AIRとなりました、「山下達郎」氏がゲストに招かれた『松尾潔のメロウな夜』ですが、日本中の多くの音楽好きな方々がお聴きになられたことと思います。
旧知の仲であるお二人のトークは、終始和やかであり、松尾さんの「音楽ライター」時代に磨き上げられた天才的な「インタヴュー」の手法が、普段は聞けないような「達郎さん」の貴重なエピソード等を引き出しており、「さすがだな」と、唸ってしまう2回の放送でした。本当に貴重なお話が聴けて嬉しかったです。

そんな、リスペクトするお二人に敬意を表して、放送が終了するまでの間、しばらく更新をストップしておりましたが、そろそろ再開いたしましょう。

今回で早「Vol.10」となる『Mellow Classics』シリーズですが、いつもは黒人アーティスト・作品の紹介が多いのですが、今回は白人のアーティストのご紹介です。

『Taylor Dayne』(テイラー・デイン)は、僕と同世代の1962年生まれの、米国ニューヨーク・ロングアイランド出身の、1980年代後半から90年代にかけて活躍した、女性ポップシンガー。女優としての活動経験もある「テイラー」ですが、ラジオ等でヴォーカルだけを一聴すると、そのハスキーでソウルフルな声に、黒人女性シンガーだと感じることになんら不思議なことはありません。MVを視聴して初めて、「えっ、白人シンガーなの」と、認識を新たにすることがあってもおかしくありませんね。

そんな彼女が、1990年に放った「全米チャート1位」を記録したシングル『Love Will Lead You Back』ですが、作品のリリースから30年が経過した現在、改めて聴けば聴くほどに、美しいバラッドなのを痛感します。現代では、こういったスケール感の大きい楽曲がヒットしたりラジオなどから流れてくることがほとんどなくなってきているのが少々残念ですが、音楽とは「時代を映す鏡」みたいなものなので、それも仕方のないことなのでしょう。

 


Taylor Dayne – “Love Will Lead You Back”
(album: Can’t Fight Fate – 1989)

 

女性の立場でのロマンティックで切なく、そして壮大なバラッドを書かせたら誰にも負けない、本作品のソング・ライターである「Diane Warren」(ダイアン・ウォーレン)は、もともと同じ「Arista」レーヴェルで売り出し中だった「Whitney Houston」(ホイットニー・ヒューストン)を想定して書いた作品だったという、その後のこぼれ話は有名です。当時の社長「Clive Davis」(クライブ・デイヴィス)の、「『テイラー』がレコーディングすべき作品」との英断により、結果として「テイラー」としてもアルバム『Can’t Fight Fate』からの、彼女自身としても「全米チャートを制覇した」最大のヒット作品として、POPS史に名を刻むことになりました。

 

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.128【Regina Belle】

毎日蒸し暑い日が続きますね。しかもノロノロ台風5号が列島を縦断中ということもあって、暑さだけでなく、防災への気配りもせねばならず、読者の皆様におかれましても、十分にお気をつけください。

 

 

 

時間のあるときは、新旧関係なくいろんな音楽を聴いています。iPod等のデジタル機器が身近な音楽再生ツールとなって久しいですが、音楽の聴き方や付き合い方がデジタル化されて以来、いろんな作品を、特に過去の作品を聴く機会がずいぶんと増えたような気がします。ともすれば記憶の奥の方へと追いやられそうなアーティストや作品も、アルバムのタイトル・楽曲はもちろんのこと、レコードやCDジャケットのヴィジュアルによる「検索機能」が充実してきたことで、記憶の彼方にあった過去の作品をささっと取り出して聴くことが可能になったのは、デジタル化時代の恩恵としか言い様がありません。「YouTube」を利用すれば尚更のこと、PVなど動画も視聴できるわけですから、なんともありがたい時代になりました。あくまで視聴する立場からの感想ではありますが。

 

さて、今回取り上げる Regina Belle(レジーナ・ベル)も、そんな聴き方で久しぶりに聴き返したアーティストの一人です。同時期に大人気を誇った Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)と拮抗するほどの歌唱力を持ち合わせていたにも拘わらず、当時既に時代のアイコンとなっていたホイットニーほどの話題性には乏しく、米国のブラック・ミュージック・マーケット外で大きなセールスを記録するような存在ではありませんでした。そういえば、二人とも僕と同じ年の生まれでした。
レジーナはアルバム『All By Myself』で1987年にデビュー後、3-4年おきにコンスタントにアルバムのリリースは続けています。大変才能豊かで器用なヴォーカリストで、自身のルーツともいえる「ゴスペル」はじめ「ジャズ」のカヴァー・アルバムなども過去に発表してきています。世界的に認知されたのは、Peabo Bryson(ピーボ・ブライソン)とデュエットした Disneyアニメ映画『アラジン』の主題歌 “A Whole New World” で、1994年にグラミーを受賞したことによるものでしょうか。

今回ご紹介する『After The Love Has Lost It’s Shine』は、レジーナの1stアルバムに収録され、大変優れた楽曲を提供することで R&B/Soul マニアの間ではよく知られたソング・ライターの 「Sam Dees」(サム・ディーズ)が書いた壮大なバラッド作品で、彼女のポテンシャルを最大限に引き出す結果に至りました。こういったシンプルで美しいバラッドは、時代を超越する見本のような作品ですね。

 


Regina Belle – After The Love Has Lost It’s Shine
(album: All By Myself – 1987)

 

それとデビュー作から2年後の1989年にリリースしたアルバム『Stay With Me』に収録されシングル・カットされた『Baby Come To Me』は、レジーナにとっても初の「US R&B」チャート1位を獲得するヒットとなりました。こちらも、彼女にとっては名刺代わりともいえる情感溢れるバラッドです。

 


Regina Belle – Baby Come To Me
(album: Stay With Me – 1989)

 

 

 

台風一過

 

 

 

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.106 【Kashif – R.I.P.】

Kashif (カシーフ)が亡くなってしまった。

グレン・フライ、モーリス・ホワイト、プリンス、ビリー・ポール、トゥーツ・シールマンス、ロッド・テンパートンと、2016年に入ってからというものの、続発する愛するアーティストの「またの訃報」に、大いに心が乱れ、ざわついて仕方がない。

kashif-01前回、10月に入ってすぐに他界された「ロッド・テンパートン」(Rod Temperton)の訃報記事をUPしたときと同じで、9月下旬頃に“KASHIF” “カシーフ” “HUSH Production” などのワードで Google 等のサーチ・エンジンによる検索結果により、世界中から当ブログへと辿り着いた読者の方が多かったようで、「80年代が今また見直されていることによるものだろうか?」と、「ロッド・テンパートン」の時のアクセスとは比較にならなかったので、大して気にも留めていなかった。
数日前になって、「カシーフが9/26にLAの自宅で死去しているのが発見された」というニュースを、米国のR&B愛好家のブログを通じて知ることになった。享年58歳、永く喘息を患っていたという。

カシーフといえば、80年代における「Black Contemporary」(通称:ブラコン) と呼ばれたカテゴリーにおいて、まさに世界を席巻した感のあるスーパープロデューサーであり、クリエイターであり、同時にシンガー・ソング・ライターでもあった。すでに他界した歌姫「Whitney Houston」(ホイットニー・ヒューストン)のあれだけの成功も、メジャーデビュー当時の彼の力と関与がなければ成し得なかったほどだ。後に台頭してくるカテゴリーの New Jack Swing(ニュー・ジャック・スウィング)の大波が押し寄せてくるまでは、当時キラ星のごとく都会的で洗練されたシセサイザーを多用した独自のサウンドで、まさに時代の最先端を独走していたと言っても誰も否定することはできないだろう。

彼の作品やアルバムはほぼすべて所有していて、アルバムごとに思い入れも強い。ただ一番記憶に鮮明なのは、今では音楽ブログとなってしまったこのブログの源泉となる、僕自身が創り出した最愛のお店『cafe Mellows』の閉店直前に行った最初で最後のイベント一夜限りの Open Cafeでのこと。当日夕方店を開ける前から寒い中待ってくださった沢山のお客さんをお迎えするにあたり、ブログ上で紹介してきた多数の楽曲をメインに当日だけのプレイ・リストを編集したものの、オープニングにどの曲を流すべきか悩みに悩んだ末に最終的に選択したのが、全盛期からしばしのブランクをおきリリースされたカシーフの楽曲だった。


KASHIF / “Lay You Down” – (album: Who Loves You? – 1998)

ミディアム・テンポでとびきりメロウな “Lay You Down” は、期待通りその日の夜のイベントのオープニングを華やかに飾ってくれた。店内に入ってくる一人ひとりのお客さんたちの高揚した表情が、ちょうど4年が経過した今でも忘れることができない。(過去記事参照
店内は満席で、常連さんは皆一様に寒いテラスで小さなストーブを頼りに暖を取らねばならぬほどの、北風の吹く寒い夜だったのを、写真家の先生のブログ記事を見て懐かしく思い出すことができた。

 

素敵な多くの作品を我々に届けてくれたカシーフだったけれど、現代における彼の復活を見届けてみたかった。孤児としてニューヨークで育った彼が、誰にあてて書いた作品なのかは定かではないけれど、彼の残した最高のバラッド『Send Me Your Love』を聴きながら、ご冥福をお祈りしたいと思う。

 


Kashif / “Send Me Your Love” – (album: Send Me Your Love – 1984)

 

 

 

 

Masterの今これが聴きたい ~ Vol.23【Michael Masser】

長かったのか短かったのか、例年に習い関東甲信越地方の「梅雨明け」の発表が、本日お昼前頃に気象庁よりありました。梅雨が終われば今度は長く暑い夏の到来。大人になってからというもの、もっとも苦手な季節が今年もやってきました。日本の夏らしい「風景」や「風情」は決して嫌いではないのですが、好きな方には恐縮ですが、心底蒸し暑い季節そのものが大嫌いなのです。
よって、更新も涼しくなるまではこれまで以上にスロウ・ダウンするのも毎年のことですので、どうかお許しください。涼しくなったらガンバリマス。

michael masser

Michael Masser

さて、久しぶりの「Masterの今これが聴きたい~」のコーナーですが、今回はつい先日米国より訃報が届いたばかりの、米国のポピュラー音楽界きっての偉大な作曲家でありプロデューサーでもある Michael Masser(マイケル・マッサー)の作品を取り上げたいと思います。74歳で他界された彼は、僕の個人的な印象としてですが、彼より一世代上の Burt Bacharach(バート・バカラック)そして彼より一世代下の David Foster(デイヴィッド・フォスター)という、米国のポピュラー音楽界を永きに渡ってリードしてきた偉大な二人の音楽家に挟まれた世代の音楽家といった立ち位置にいたような気がしています。『ソング・ライター』としての角度から見たこの三人の偉大な作曲家に共通するのは、そうですスケールの大きな『バラッド』(バラードではなく敢えて「バラッド」と表現いたします)の楽曲が多いという点に尽きます。
バカラック氏とフォスター氏については過去にも記事をUPしてますので、興味のある方はそちらもご覧ください。)

Gerry Goffin

Gerry Goffin

マッサー氏が作曲とプロデュースを手掛けた作品の多くは1970~80年代に集中しており、とりわけかつてキャロル・キングの夫としても知られている盟友の『Gerry Goffin(ジェリー・ゴフィン)』に作詞を委ねた楽曲にヒット作品が多く見られます。昨年6月にゴフィン氏が75歳で亡くなったそのちょうど一年後に、マッサー氏が逝ってしまったという事実を見聞きするだけでも、なんだかこの二人の偉大なソング・ライティング・コンビの強いスピリチュアルな結びつきを感じざるを得ません。

数あるこの二人のコンビによる作品群の中から、今回は年代順にこちらの三作品をご紹介。どれも当時は世界中で大変なヒットとなりましたね。曲調といい、ストリングスの使い方といい、そしてクライマックスへのもって行き方といい、似ているようではありますが、これほど壮大でスケール感のあるバラッド群はマッサー&ゴフィンにしか創出できない芸当だったのかもしれません。お二人のご冥福をお祈りします。

 

まずはこちら、友人・知人の結婚披露宴で何度聴いたことでしょう。なかなかこれほどの愛の賛歌は、この作品以降まだ出現してきていないくらいの壮大なスケールです。


Peabo Bryson & Roberta Flack / “Tonight I Celebrate My Love
(album: Born to Love – 1983)

 

そしてこちらは「クチパク」ではありますが、あくまで「Vocalist」に徹底した風情のベンソン氏の熱唱。天才的ジャズ・ギタリストなのにギターを持たない彼の映像は、非常にレアと言えます。


George Benson / “Nothing’s gonna change my love for you”
(album: 20/20 – 1984)

 

最後は以前にも一度過去記事で取り上げたこともある、カヴァー作品ではありますが今は亡き「Whitney Houston」(ホイットニー・ヒューストン)の偉大な遺作を。
彼女のご冥福も併せてお祈りいたします。

 


Whitney Houston / “Saving All My Love For You”
(album: Whitney Houston – 1985)

 

 

 

 

 

Mellow なクリスマス・ソング ~ 2014 Vol.4

世の中師走も中盤でだいぶ慌しくなってきました。加えて「クリスマス寒波」と表現するには少し早い、第一級の寒気団・低気圧の発達・停滞で、とにかくメチャクチャに寒いですね。もともと生まれが12月なので小さい頃から寒さには強い方ですが、これはにはちと閉口気味です。

whitney-one-wishさて今年の『Mellow なクリスマス・ソング』もあと数曲程度しかご紹介できないかもしれませんが、今回の Vol.4 では、今は亡き Whitney Houston(ホイットニー・ヒューストン)による『Have Yourself a Merry Little Christmas』を取り上げます。本作品は彼女のキャリアのピーク以降の2003年にリリースされた『ONE WISH – THE HOLIDAY ALBUM』とタイトルが付けられたアルバムに収録されており、当時の夫「ボビー・ブラウン」によるDVや自身の薬物依存・常習等々度重なるプライベートなトラブルで、SHOW BIZ の表舞台から一時姿を消していた時期に製作されたものです。タイトルの『ONE WISH』には、彼女の復活にかける思いなど多くの願いが込められた作品だったのではないかと推測するところです。

『Have Yourself a Merry Little Christmas』については、アルバム全体を通してプロデュースにあったっている Mervyn Warren が担当しており、クインシー・ジョーンズやデイヴィッド・フォスターなどに重用されるだけあって、ホイットニーに相応しいゴージャスなアレンジのカヴァーを実現しています。

 


Whitney Houston / “Have Yourself a Merry Little Christmas”
(album: One Wish – 2003)

 

かつて当ブログ内の訃報記事でも取り上げましたが、結局は止められなかったコカイン摂取による浴槽での溺死という、残念なかたちで彼女が世を去ってから早3年の月日が経過しようとしています。生きていれば僕と同じ歳の51歳。R&Bのシンガーとしては、これからますます円熟の域に差し掛かる頃のはず。個人的な感覚からすれば、20年に一度出るかどうかの天才シンガー。もちろん、ホイットニー亡き後のR&Bの世界に、彼女を凌駕するようなタレントは未だ出現していないような印象を持っているのは、きっと僕だけではないでしょう。