Category Archives: “Mellow Classics” series

Mellow Classics ~ Vol.15【Joao Gilberto ~ R.I.P.】

「雨の季節」がまだ続いている。
近隣では、例年「梅雨明け」と同時に「初夏」の訪れを知らせる、愛らしい「蓮の花」がそろそろ咲き始める頃。
そんな季節に、遠い海の向こう南米ブラジルから、「アントニオ・カルロス・ジョビン」(Antonio Carlos Jobim) と並び「ボサノヴァ」の創始者として知られる、伝説的なギタリストであり歌手でもあった「ジョアン・ジルベルト」(Joao Gilberto) が、88歳で旅立ったとの訃報が届いた。

 

 

盟友「ジョビン」と共に「ジョアン」は、1950年代後半に伝統的なサンバとモダン・ジャズを融合した新たなジャンルの音楽を創造し、1963年には「ジョビン」と当時の「ジョアン」の妻だった「アストラッド・ジルベルト」(Astrud Gilberto) をヴォーカルに迎えて、Jazzサックス奏者の「Stan Getz」(スタン・ゲッツ) とのコラボ・アルバム『Getz/Gilberto』のレコーディングを行なった。アルバムリリース後の翌1964年には200万枚以上の売り上げを記録し、音楽史上最も売れた「ジャズ・アルバム」の一作品となり、また「グラミー賞最優秀アルバム賞」を受賞した初の外国作品となった。
かつて実店舗営業当時の「Mellows」でも、暑い夏の日の午後、日陰になったデッキテラスで、アルバム『Getz/Gilberto』に収められた心地よい楽曲の数々が、やや控えめに流れていたのを記憶されている方がどれほどいるのかは、僕にはもはや知る術もない。

 


Track#1 – “Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)”
Track#2 – “Para Machuchar Meu Coracao”
Track#3 – “The Girl from Ipanema”

Joao Gilberto, Astrud Gilberto, Stan Getz, and Antonio Carlos Jobim
(album: Getz/Gilberto – 1963)

 

職場にいるブラジル出身の30代前半のスタッフに「ジョアン・ジルベルトが亡くなったらしいよ」と伝えると、キョトンとした表情で見つめられた。どうやら僕の「ポルトガル語」的な発音ができていなかったことと、もはや「ボサノヴァ」はブラジルの庶民にとっては「過去の音楽」という位置付けらしい。「ジョアン」や「ジョビン」の名前は認識してはいるけれども、「ボサノヴァ」は若い世代にとっては「おじいちゃん・おばあちゃんが聴く音楽」であり、日本国内でいう「演歌」の位置付けに近い印象があると、ポツリと語ってくれた。
夏の気怠い午後、リオの海岸を想像しながら海辺のテラスで風に吹かれて冷たい飲み物でも、なんてステレオ・タイプなシチュエーションは、もはや「フランス」を筆頭に欧州はじめ他国に居住する「ボッサ好き」な人々による、一方通行のノスタルジックな想いの産物なのかもしれない。なんだかそう考えると、ちょっと淋しい。
音楽の楽しみ方って、好きなものを好きなだけ浴びるように聴けばいい。それが僕の持論なのは、どんな時代でもブレることはない。いいものは、無理をしなくとも、自然に後世に伝えらえていくものなのだから。

Rest In Peace, Joao …. 美しい音楽の数々をありがとう…
安らかに眠れ

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どんな巡り合わせなのなのだろうか、このタイミングで、来月8月下旬よりドキュメンタリー映画『ジョアン・ジルベルトを探して』が公開される。

 

映画『ジョアン・ジルベルトを探して』予告編
 

《Info》
ブラジルの伝説的ミュージシャン、ジョアン・ジルベルトの行方を追うドキュメンタリー。フランス人監督ジョルジュ・ガショが、ジルベルトに会えないまま本の出版直前に命を断ったジャーナリストの夢を実現するため、ジルベルトゆかりの人々や土地を訪ねる。ミウシャ、マルコス・ヴァーリ、ジョアン・ドナートらミュージシャンが出演。
 
《Story》
「イパネマの娘」などの名曲で知られ、日本でライブを行ったこともあるミュージシャンのジョアン・ジルベルトは、2008年夏のボサノヴァ誕生50周年記念コンサートを最後に公の場から姿を消す。彼に会おうとリオデジャネイロに出向いたてん末をつづった本の出版直前に自殺したドイツ人ジャーナリストの旅に共鳴したジョルジュ・ガショ監督が、ジルベルトに会うためにブラジルに向かう。

(出典: シネマトゥデイ)

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.14【Diane Keaton】

いつもご訪問ありがとうございます。
すでに終わった「G20」の頃から、列島各地で梅雨前線が活発化しているようです。
まだもう少し続きそうな「雨の季節」ですが、風情のある雨の風景はよいのですが、何事に於いてもほどほどがよろしいかと思いますが、なかなかうまくいかないものです。

 

 

さてこんな雨の季節になると、雨の中わざわざ外へ出かけるよりも、むしろ自宅やお部屋で「音楽」や「映画」などを鑑賞される方も沢山いらっしゃるのでは。

今回の「懐かしい一曲」は、先般の記事でも少し触れましたが、僕が中学2年の頃に公開され、1977年のアカデミー賞を総なめと言っていいくらいの「4部門」のオスカーを獲得した、十代の頃より敬愛する「Woody Allen」(ウディ・アレン)監督・主演の映画『Annie Hall』(アニー・ホール)から、主演女優である「Diane Keaton」(ダイアン・キートン)による劇中歌を取り上げてみたいと思います。

 

 

僕ら50代以上の世代においては、「ウディ・アレン」「ダイアン・キートン」というのは、当時の米国映画界における役者としての「ゴールデン・コンビ」であり、また「ファッション・アイコン」的な存在でした。その他のアレン監督の作品がそうであるように、彼とは切っても切れない「New York」を舞台に描いた恋愛コメディの本作品の中で、二人の着こなす「ラルフ・ローレン」の、とりわけダイアンの「マニッシュ」な着こなしは、当時世界中でトレンドの最先端になりましたね。映画のロケ地である「ブルックリン」や「コニー・アイランド」を、作品の公開から10年が経過した頃に、大ファンの僕が訪れたのは言うまでもありません。「フォルクス・ワーゲン・ビートル」の「カブリオレ」も、あの頃人気が再燃するというきっかけにもなっていました。

 

 

Some Scenes from “Annie Hall” (1977)
“Seems Like Old Times” performed by Diane Keaton
 

初めて「アレン監督」作品に触れた方はみな一様に驚きますが、劇中で歩道を通行中の人々であったり、映画館で鑑賞している「観客」に向けて語り掛けてゆく、あのオリジナリティに溢れ、途切れることのない「シームレス」な撮影技法による一連の流れは、まったくもって「見事」としか言いようがなく、登場人物をアニメ化したパートなども含め、当時中学生の僕はとても斬新な表現方法に腰を抜かすほどでした。
「フィジカル」よりも「メンタル」な側面を重要視。徹底したアイロニカルでシニカルな作風は、「難解」な映画作品として受け取られることも多く、アクションものやファンタジーとかが好みの層からは「鬱陶しい」と敬遠されるアレン監督の作品群ですが、そういった人たちは放っておけばいいのですよ。「Jazz」が嫌いな人でなければ、彼の製作する映画も理解できるはずだと感じているのは、きっと僕だけではないでしょう。なにせ映画の主人公同様に、シネマの都「Hollywood」がある「西海岸」の「L.A.」には行きたがらず、アカデミー賞授賞式の日は、自身の愛する「東海岸」の「New York」のジャズ・クラブで、まるで他人事のように、一晩中クラリネットを演奏してたような人ですからね。そんなところが、「Jazz」的で、彼の最大の魅力でもあります。

 
いくつかの大好きなシーンのプレイリストの最後に、映画タイトルでもある『アニー・ホール』役を演じ、女優志望でナイト・クラブのシンガー役で主演の「ダイアン・キートン」が歌う、「メロウなスタンダード・ナンバー」の『Seems Like Old Times』が、この映画をより味わい深いものに仕立て上げていたのは、観ていただければよく分かりますね。

 

 

 

まだご覧になっていない方は、どうぞご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

[追記]
映画への情熱が途切れることのない、とにかく多作家の「ウディ・アレン」ですが、僕は全作品とまでは言い切れないものの、国内では視聴・入手が困難なごく一部の旧作品を除き、彼のほぼすべての作品を中学生の時分から長いこと鑑賞してきました。21世紀に入り、アレン監督自身は出演してはいないものの、『アニー・ホール』以来の大傑作と評価の高い、2011年 アカデミー脚本賞を受賞した 『ミッドナイト・イン・パリ』の出来が、お世辞抜きに最高に素晴らしいので、こちらもぜひお薦めしたい作品です。内容は、ノスタルジックなファンタジー作品です。ある意味、本人が主演していない「現代版アニー・ホール」的な位置付けの作品と言えるかもしれません。アレン監督自身にとっても、これを超える作品を制作するのはもはや至難の業かもしれません。『ミッドナイト・イン・パリ』はそれほどの名作といえるでしょう。

[あらすじ]
俳優「オーウェン・ウィルソン」が演じる、 映画脚本家で処女小説の執筆に悪戦苦闘中の物語の主役「ギル・ペンダー」は、婚約者の「イネス」 (レイチェル・マクアダムス) とその裕福な両親とともに、パリを訪れる。パリ滞在中のある日の夜中、主人公は街の一角でアンティーク・カーに乗った男女からパーティーに誘われる。そして着いた先は、ジャン・コクトー主催のパーティー会場。フィッツジェラルド夫妻、ヘミングウェイ、ダリにピカソといった、あまたの文化人たちが目指し集った、「黄金時代」と称された1920年代の「パリ」に、主人公の「ギル」はタイム・スリップしたのだった。

 


映画『ミッドナイト・イン・パリ』予告編

 

『ミッドナイト・イン・パリ』「Amazon Prime」でも今なら無料視聴できるようなので、お時間のある時にでもぜひ。
また、アレン監督の作品には、ある意味予習・復習も重要だったりする作品も少なくありません。そんな慎重派の方にはまずはこちらの映画評論家の解説をどうぞ。

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.13【Luther Vandross】

いつもご訪問ありがとうございます。
明日から2日間予定されている大阪での「G20」のために、世界各国から要人たちの来日ラッシュで、関西空港はかなり慌ただしい様子ですね。加えて、「台風3号」が発生し、「梅雨前線」を刺激しているようです。
当サイトにも、京都を中心に多くの関西方面のブログ・リーダーの方々にご訪問いただいておりますが、影響が最小限であることを祈っております。

 

 

さて、通常モードに戻り、「Vol.13」となる「Mellow Classics」ですが、今回は「7月1日」で没後14年が経過する、『Luther Vandross』(ルーサー・ヴァンドロス)の作品を取り上げます。
僕自身としても、最愛の「R&B/Soul シンガー」と申し上げることに、一切の躊躇もありません。それくらいの、類い稀な実力と実績を伴った、R&B/Soul界のスーパー・スターでした。
まさに相棒と呼ぶに相応しい盟友であり、スーパー・ベーシスト「Marcus Miller」(マーカス・ミラー)と共作した名曲は数あれど、1996年にリリースされたアルバム「Your Secret Love」に収録された『Nobody To Love』のメロウネス溢れる作風は、やはりこのコンビだからこそ生まれたのだと、そんなふうに感じます。

 

 

Luther Vandross / “Nobody To Love”
(album: Your Secret Love – 1996)
 

「ルーサー」亡き後、「Luther Follower」と一般的に呼ばれるよく似たテイストのアーティストは出てはくるものの、やはりあれだけの「シンガー」はそうそうに世に現れるものでないという現実を、彼の死後15年近い時を経て、「失ってしまったものの大きさ」を日々再確認している自分に気づくことが、しばしばあります。
今更多くのことを語ったところでしかたありませんので、よろしければ「ルーサー」関連の過去記事等をご参照いただけると幸いです。

 

R.I.P. Luther …

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.12【Billy Joel】

いつもご訪問ありがとうございます。
そして、今日初めて当サイトを訪れてくださった、かつての「40年前」の中学時代の「同級生の皆さん」、お元気でお過ごしでしょうか?
(今回は、僕の「中学時代」の同級生の皆さんへ向けての、私的で特別な投稿です。普段からご訪問いただいておりますブログ・リーダーの皆様におかれましては、プライベートな投稿記事内容になりますが、どうかご容赦くださいませ)

 

 

懐かしい記憶を辿りながら、想い出を語り合うには最適な、こんな「雨の季節」に、なんと最初でしかも「40年振り」の同窓会が、今週末に故郷の埼玉県内で開かれるということで、びっくりいたしました。ほんとうに皆さんお久しぶりです、そして「クラス会」ではなく「学年」による大規模な「同窓会」の開催、おめでとうございます。
県内でも指折りの「マンモス中学校」と言われていたように、「9クラス編成」で同級生も「360名」以上もいましたから、中には一度も言葉を交わすこともなく、疎遠になってしまった方も少なくなかったと記憶しております。この度、実行委員の小林さん(旧姓)から電話で連絡を頂戴し、せっかくお誘いいただいたのですが、あいにく週末が多忙な組織での仕事柄、残念ながら参加できずに申し訳ありません。「恩師の方々」も今回多数ご出席と伺っておりますが、在学中は、大変お世話になりました。

高校卒業後は、進学そして就職に伴い、地元を離れてしまったので、かつての地元の旧友ともかなり疎遠になってしまい、返す返す申し訳ありません。現在僕は、特に何かの縁やゆかりがあったわけではありませんが、茨城県南エリアに位置し、近くに筑波山や霞ケ浦を見渡せるような、水と自然に恵まれたのんびりとした地域に居を構えております。社会人になって5~6年は都内に勤務してましたが、25年ほど前になりますが長男が生まれてすぐに、勤務先のある千葉県成田市から、更に広々とした環境を求めてこちらに引っ越してきました。米国系貨物専門航空会社に長く勤務していた関係で、利根川を渡り「成田空港」まで毎日、なんだかんだで20年以上通いました。そして早期退職後、数年の自営業の後、現在はまた多忙な組織の一員として、会社員生活に戻っております。(詳細については、後々お暇な時にでも、当ブログを時系列で読んでいただければ幸いです。)

 

 

思い返せば、部活なども楽しかったですが、その頃はなにより「洋楽」に夢中で、文字通りラジオに噛り付いていた中学生時代、当時15歳だった頃の僕の夢は、「New York に移住」して仕事をすることでした。その当時とても憧れて大好きだった「N.Y.のシンボル」であり「街の吟遊詩人」と崇められた「ピアノ・マン」こと、『Billy Joel』(ビリー・ジョエル)の音楽だとか、ニューヨークを舞台にした映画『アニー・ホール』をはじめ、敬愛する「ウディ・アレン」監督の映画作品に触れる度、いつもいつもそんなことを意識していました。

そんな夢の実現に向け大学卒業後には、米国駐在希望を快諾してくれた会社に入社し、その翌年念願だったN.Y.駐在の内示を頂戴した矢先に、父親が54歳という若さで急逝。家族間の諸般の事情から、届くはずだった「夢と希望」は、僕の掌からスルリと抜け落ちていきました。今になって振り返っても、タイミングと強い意志というものが、最も重要だということを、今更ながら痛感しています。
自身のその後のことも含め、長い人生において、いい時もあれば、よくない時もあると、還暦まで五年を切った今、自身の半生を時折振り返ることが多くなってきたように思います。同年代ですからね、それぞれに立場は違えども、おそらく皆さんも、同じような感想をお持ちなのではないでしょうか。

さて、40年振りということで、前置きが少々長くなり過ぎました。
「何か同級生にメッセージを」というご依頼でしたので、あいにく流行りの「SNS」はやりませんが、たまたまこんな「発信の場」を持ちあわせておりましたので、懐かしい同級生の皆さんへのご挨拶の場に代えさせていただければ幸いと存じます。

中学生だったあの頃から「40年」が経過し、Soul/R&B, Jazz をはじめとする『Black Music』(黒人音楽) が主になりますが、その間あらゆるカテゴリーの素敵な音楽たちとの出逢いがありました。とはいえ、「もしレコード(アルバム)を、一枚だけ無人島に持っていけるとしたら‥」という問いに対して即答できるのは、14~15歳で出逢ったこのアルバムしか考えられないんですね。「Billy Joel」『The Stranger』には、きっとみんなも夢中になったはず。

 

 

 

Track 1 – “The Stranger”
Track 2 – “Just the Way You Are”
(album: The Stranger – 1977)

 


Track 1 – “My Life”
Track 2 – “Honesty”
(album: 52nd Street -1978)
 

『Just The Way you Are』

いいフレーズですね。年齢を重ねた今だからこそ、余計に理解できるのかもしれません。
「Billy Joel」 の『The Stranger』のアルバム・ジャケットは、あれから約30数年後には、今はもうない最愛の実店舗『Mellows』の一番目立つ場所に、念願通り飾ってあげることができました。スペースが許せば、『52nd Street』もそうしてあげたかったかな。

 

在りし日の「Mellows」にて (2011-2012)

 

みんな、好きな音楽がまだ身近にありますか?もしそうでなかったら、時々このサイトにふらっと立ち寄ってみてね。みなさんの今の生活に、「ちょっと何かが欠けている」と感じているならば、もしかすると、それは「音楽」かも。

 

体調管理の難しい季節であり、またそんな年代ですからね。皆さんくれぐれもご自愛ください。そして、どうかお元気で。最後に、実行委員会のみなさん、本当にお疲れ様でした。

 

Masaaki Masuda

 

[ ご感想などは、メールでお寄せください ]
master@cafemellows.com

 

 

Mellow Classics ~ Vol.11【Brandy】

いつもご訪問ありがとうございます。
「雨の季節」がやって来て、我が家の庭の片隅の「アジサイ」の色彩も、一雨ごとに色濃くなっていくようです。

 


 

「温故知新」をテーマに「メロウなクラシック・R&B/ソウル」作品群に光を当てようといった意図の新コーナー「Mellow Classics」シリーズですが、早いものでもう「Vol.11」となりました。

今回取り上げるのは、1994年に若干15歳でメジャーデビューを飾った『Brandy』(ブランディ)が、デビューから4年後の1998年にリリースされた2作目のアルバム「Never Say Never」に収録された、『Have You Ever?』というメロウなバラッド作品です。
同アルバムからは、同時期にデビューし二つ年下の『Monica』(モニカ)とのデュエット作品「The Boys Is Mine」が、既に「Billboard Hot 100」で13週連続1位という快挙を成し遂げ、結果グラミーまで受賞といった状況下でシングル・カットされたのが、『Have You Ever?』でした。

ソング・ライティングは、前記事の『Taylor Dayne』の『Love Will Lead You Back』と同じく、「Diane Warren」(ダイアン・ウォーレン)で、作品のプロデューサーを務めるのはあの「Hit Man」こと「David Foster」(デイヴィッド・フォスター)という鉄壁の布陣によるものだけに、それは素晴らしくメロウなバラッドが世に放たれることになりました。もちろん「ブランディ」自身の人気・実力もあって、結果としてまたもや「Billboard Hot 100」を制覇することとなりました。

 


Brandy – “Have You Ever”
(album: Never Say Never – 1998)

 

「Diane Warren」(ダイアン・ウォーレン)は、カテゴリーに拘ることなく他の多くのアーティストにも楽曲を提供していますが、これまでチャートNo.1を獲得した作品群と比較すると、少し抑え気味な印象の本作品は、作曲家としての「ダイアン」の新たな魅力を再認識させる作品となったような気がしています。それにしても、「Love Song」を書かせたら天下一品、本当に美しい曲を書きますね、彼女。名実ともに、20世紀を代表する作曲家です。

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.10【Taylor Dayne】

いつもご訪問ありがとうございます。
気付けばあっという間の「6月」。そろそろ「雨の季節」の到来。
不快な湿気だとかいろいろありますが、僕は子供の頃から、この国特有の「雨の季節」が嫌いではありません。

 

 

理由としてはいくつかありますが、まずは好きな植物の代表格の「紫陽花」「花菖蒲」といった梅雨時に美しく咲き誇る花々を、雨の降る中ぼーっと眺めているのが、幼少の頃よりとても好きで、そんな時間は自分にとって、本当に愛おしい時間なのです。そして、傍らには好きな「音楽たち」と、「梅雨寒」にすこしばかり感謝したくなるような「一杯の温かい珈琲」があれば、そこは至極の空間となります。きっとお分かりいただける方も多いのでは。

さて、5/27と6/3と二週に渡りON-AIRとなりました、「山下達郎」氏がゲストに招かれた『松尾潔のメロウな夜』ですが、日本中の多くの音楽好きな方々がお聴きになられたことと思います。
旧知の仲であるお二人のトークは、終始和やかであり、松尾さんの「音楽ライター」時代に磨き上げられた天才的な「インタヴュー」の手法が、普段は聞けないような「達郎さん」の貴重なエピソード等を引き出しており、「さすがだな」と、唸ってしまう2回の放送でした。本当に貴重なお話が聴けて嬉しかったです。

そんな、リスペクトするお二人に敬意を表して、放送が終了するまでの間、しばらく更新をストップしておりましたが、そろそろ再開いたしましょう。

今回で早「Vol.10」となる『Mellow Classics』シリーズですが、いつもは黒人アーティスト・作品の紹介が多いのですが、今回は白人のアーティストのご紹介です。

『Taylor Dayne』(テイラー・デイン)は、僕と同世代の1962年生まれの、米国ニューヨーク・ロングアイランド出身の、1980年代後半から90年代にかけて活躍した、女性ポップシンガー。女優としての活動経験もある「テイラー」ですが、ラジオ等でヴォーカルだけを一聴すると、そのハスキーでソウルフルな声に、黒人女性シンガーだと感じることになんら不思議なことはありません。MVを視聴して初めて、「えっ、白人シンガーなの」と、認識を新たにすることがあってもおかしくありませんね。

そんな彼女が、1990年に放った「全米チャート1位」を記録したシングル『Love Will Lead You Back』ですが、作品のリリースから30年が経過した現在、改めて聴けば聴くほどに、美しいバラッドなのを痛感します。現代では、こういったスケール感の大きい楽曲がヒットしたりラジオなどから流れてくることがほとんどなくなってきているのが少々残念ですが、音楽とは「時代を映す鏡」みたいなものなので、それも仕方のないことなのでしょう。

 


Taylor Dayne – “Love Will Lead You Back”
(album: Can’t Fight Fate – 1989)

 

女性の立場でのロマンティックで切なく、そして壮大なバラッドを書かせたら誰にも負けない、本作品のソング・ライターである「Diane Warren」(ダイアン・ウォーレン)は、もともと同じ「Arista」レーヴェルで売り出し中だった「ホイットニー・ヒューストン」を想定して書いた作品だったという、その後のこぼれ話は有名です。当時の社長「Clive Davis」(クライブ・デイヴィス)の、「『テイラー』がレコーディングすべき作品」との英断により、結果として「テイラー」としてもアルバム『Can’t Fight Fate』からの、彼女自身としても「全米チャートを制覇した」最大のヒット作品として、POPS史に名を刻むことになりました。

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.9【Melvin Edmonds ~ R.I.P.】

帰宅してすぐに、先週お休みだった松尾さんの「メロウな夜」が今日は聴けてうれしいなと、番組の内容はどんな感じだろうかと思い、放送前の松尾さんの Twitter を拝見したら、まさかの『Melvin Edmonds』(メルヴィン・エドモンズ) の「訃報」で、しばし絶句してしまった...

【Melvin Edmonds Of After 7 Has Passed Away at age 65】

気を取り直すも慌てて海外の「R&B」系統のウェブサイトを見て回れば、そんな見出しで溢れているじゃないか...

 

 

『Melvin Edmonds』
R&Bが好きな人であれば知らぬ人はいないグループ『After 7』の、弟『Kevon Edmonds』と共にグループを立ち上げた設立者であり、初代メンバーの一人だ。「メルヴィン」「ケヴォン」も言わずと知れたあの超大物プロデューサー『Babyface』(ベイビー・フェイス) こと『Kenneth “Babyface” Edmonds』の実兄なのは、敢えて語るのも野暮なくらいだ。二人の友人である『Keith Mitchell』(キース・ミッチェル) を加えて結成された3人組のグループ『After 7』は、実弟の「Babyface」と相方の「Antonio “L.A.” Reid」による時代を席巻したプロデュース・チームの力添えもあり、キャッチーなメロディに美しいハーモニーとコーラスで、1989年のメジャー・デビュー後、たちまち世界中の人々を魅了していった。

 


After 7 – “One Night”
(album: After 7 – 1989)

 


After 7 – “Till You Do Me Right”
(album: Reflections – 1995)

 

『Edmonds Brothers』というよりは『Edmonds Family』と表現するほうが、より適切な時代になってきているのは、もはや異論の余地はないだろう。「メルヴィン」にとっては「復帰作」であったのと同時に、今となっては「遺作」となってしまった、2016年にリリースされたアルバム『Timeless』から翌年シングル・カットされた『Too Late』のMusic Video に登場する、『Edmonds Family』の面々の絆と結束の固さを、Videoを通して僕らファンは垣間見ることができる。
そして、父「メルヴィン」の闘病中からメンバーに加わり、『After 7』を解散させることなく父の代役を立派に務め上げ、そしてその意思を継承してゆこうという気概を感じさせる、誰あろう「メルヴィンの息子」『Jason Edmonds』(ジェイソン)の「歌声」に、僕は感動を禁じ得ない。だいぶやせ細ってしまった様子だったけれど、儚くも美しいスロウ・ジャム『Too Late』の Music Video の中で、ファミリーに囲まれて実に楽しそうに歌う「メルヴィン」特有の、「松尾さん流」に言うところのあの「塩辛声」もしっかり聴くことができる。特別出演となった「Babyface」とフィーチャリング・ヴォーカリストとして招かれた「Kevon」の甥っ子「David Edmonds」(デイヴィッド) の歌声を一聴すれば、このファミリーに神から与えられた「GIFT」の存在を無視することは、とてもとても難しい。

 


After 7 – “TOO LATE” Featuring David Edmonds & Kenny “Babyface” Edmonds
(album: Timeless – 2016)

 

以前にこの作品を過去記事で取り上げた際にも触れたけど、いつも「松尾さん」が言及してるように、こと「R&B / Soul / Jazz」をはじめとする「Black Music」の世界では、『Bloodline』(血統)の濃さは未来永劫継承されてゆくものなのだと、改めて痛感してしまう。「メルヴィン」の存在した時代の『After 7』における最期のアルバム『Timeless』は、文字通り僕らファンにとってはこれからも、永遠に「タイムレス」な存在であり続けるに違いない。

まだ社会人として「駆け出し」の青臭い20代だったあの頃、仕事や人間関係で躓いたりして上手くいかない自分を、いつも励まし、そして癒してくれた、そんなスーパー・メロウなコーラス・グループだった。
自分にとっての「メロウな夜」というラジオ番組がそうであるように、彼らの音楽の「優しさ」であり「励まし」は、昔も今も、そしてこれからも一向に変わることはない。
今夜は、ラジオを聴き終えたらば、彼らの作品をまとめて聴こうかな。

ありがとう、メルヴィン...

Rest In Peace, Melvin …

 

そして、その息子「ジェイソン」よ、ありがとう。『After 7』のハーモニーはいつだって「Ever Green」なのだから。

 

After 7 “I Want You” Live @ SiriusXM // Heart & Soul
 

天国の「マーヴィン・ゲイ」も唸る、「リオン・ウェア」作曲の本家「I Want You」のイントロのサンプリングから始まる「After 7」「I Want You」の熱演は、聴く者の心を熱くする。頑張れ「ジェイソン」。

 

※「Babyface」関連記事はこちら