Category Archives: Rest In Peace [安らかに眠れ]

Mellow Tunes ~ Vol.138【Luther Vandross & Gregory Hines】

日一日と日没が早くなり、夜が長くなってきました。
気温もぐっと下がってくるこれからの季節は、「HOTな珈琲」そして「メロウな音楽」が、もっともしっくりくるシーズンです。

 

 

こういう季節になると、いやでも自然に選んでしまうのが、80年~90年代初期の頃に聴いていた、スロウまたはスロウ・ミディアムな「Slow Jam」の名曲の数々。秋から冬にかけては、特にベストマッチなカテゴリーといえますね。季節や時間に関係なく、常にそんな音楽を流していた、実店舗の「Mellows」時代がとても懐かしく思い出されるのも、この季節ならではのことかもしれません。

そんな訳で今回ご紹介するのは、既に故人となってしまった二人の男性によるDUET作品です。
亡くなって既に12年が経過する「Luther Vandross」は、僕の中では最もリスペクトしている「R&B」分野のアーティストといって差し支えありません。ルーサーのような本物の「Soul Singer」に出逢うのは想像以上に簡単ではなく、没後ずいぶんと時間が経過しましたが、未だに彼を超える「歌い手」を見つけられずにいます。ただ歌が上手いだけのシンガーなら、いるにはいるんですけどね。「SOUL」をリスナーやオーディエンスに伝えられるとなると、なかなか見つからない。このままだと、自分が生きている内に、ルーサーのようなシンガーに出逢うことは、もうないのかもしれません。ただひとつだけ確実なのは、同じ時代に生きて、彼の音楽や才能に触れることができたこと自体に感謝しないといけないのかもしれません。

マライア・キャリージャネット・ジャクソン等々、女性アーティストとのデュエット作品には多くのヒット曲を持つルーサーですが、男性アーティストとのデュエットは、1986年にリリースされた本作品だけだったような気がします。「US Billboard Hot R&B Singles Chart」で1位を獲得した “There’s Nothing Better Than Love” は、同時代に「役者・ダンサー・振付師・歌手」と大変マルチな才能を発揮した「Gregory Hines」(グレゴリー・ハインズ)との、美しいメロディを持ったバラッドです。

 


Luther Vandross, Gregory Hines –
“There’s Nothing Better Than Love” (1986)

 

ルーサーより2年ほど先に他界したグレゴリーですが、二人とも50代で逝ってしまったことが、今となってはとても悔やまれます。とはいえ、こうして作品が世に残り次の世代に継承されていくというのは、アーティストならではのこと。羨ましい限りです。

天国でも美しいハーモニーを聴かせてくれているでしょうか。

R.I.P. – 安らかに眠れ

 

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Mellow Tunes ~ Vol.135【Ray Charles】

ますます混沌とする「国際情勢」や「国会周辺」でのドタバタなど、気になることは色々ありますが、そんなこととは裏腹に、秋の空を眺めれば、毎日のように表情豊かな雲たちがこの季節でしか見せてくれないショーを繰り広げています。特に夕刻の空の表情は、ほんの30秒から1分くらいで様子がだいぶ変わるもので、大変興味深いものがあります。

 

 

さて、今は亡き「Ray Charles」(レイ・チャールズ)の本作品なども、こんな秋になると、聴きたくなる曲のひとつです。
Baby Grand” は、「ピアノ・マン」として僕らの世代では永遠に記憶されていくに違いない Billy Joel(ビリー・ジョエル)のペンによる、1986年にリリースされたビリーのアルバム「The Bridge」に収録された美しいバラッドです。
ビリー曰く「Ray Charles was my hero when I was growing up」 と、全盲の「ソウルの神様」と讃えられた「レイ・チャールズ」に、小さな頃から憧れ続けた彼が、共に「Grand Piano」を弾きながら歌うその共通のスタイルに、愛する『Baby Grand』(小型グランド・ピアノ)へのリスペクトを込めた賛歌ともいえるのが、本作品 “Baby Grand” です。たった一夜で書き上げたという、この楽曲へのビリーの入魂ぶりは、当時のPVを観てもよく伝わってきます。

 


  Billy Joel ft. Ray Charles – “Baby Grand”
(album: The Bridge – 1986)

 

レイ・チャールズが他界して早13年。こんな「Soul Man」は、もう二度と出てこないでしょうね。2004年に彼が他界した直後に公開された伝記映画『Ray/レイ』は、「アカデミー音響賞」そして驚異的な演技力と歌唱・演奏力をもってレイを演じた Jamie Foxx(ジェイミー・フォックス)は「アカデミー主演男優賞」を受賞したけれど、レイ本人は映画の完成を待つことなく夜空の大きな星となってしまいました。
映画については過去記事でも一度触れたことがありますが、この映画作品は米国における「アフリカン・アメリカン」に対する壮絶な人種差別に関する深く悲しく辛い過去や歴史を学ぶのにも、よいきっかけともなる非常に貴重な作品なので、興味も持たれた方はぜひともご覧になってみるとよいかもしれません。今では身近となった「Jazz / Soul / R&B / Blues / Gospel」といったカテゴリーの黒人音楽が、そういった出自を同じくする源流から流れ出て枝分かれしていった背景や歴史を、分かりやすく捉えることができるかもしれません。参考までに、映画のトレイラーをUPしておきましょう。それと、感動的なシーンも。

 

Ray (2004) – Trailer

 

Ray (2004) – Best Movie Scene
 

 

それから余談ですが、「Southern All Stars」 は桑田氏が放った不朽のバラッド『いとしのエリー』を、1989年にレイ・チャールズがカヴァーした『Ellie My Love』も素晴らしかったですね。
当時「SUNTORY WHISKY – WHITE」のCMソングとして、レイにオファーしたことで実現した企画でしたが、桑田氏が『嬉しかった。嬉しいを超えている』とコメントしたのは、かなり有名な話です。

 


Ray Charles – “Ellie My Love” (1989)

 

R.I.P. – 安らかに眠れ

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.132【Puff Johnson】

徐々に進みつつある秋の深まりとともに、ふと見上げた空に浮かんだ初秋の雲たちをぼんやり眺めていると、身近であるとかそうでないとかに関係なく、今は亡き人たちに想いを馳せることが多くなってくる気がします。たぶん、歳を取ったせいかもしれません。
しかし、この時期の『ゆきあいの空』の数々は、表情が豊かで本当に感慨深いものがあり、写真として残しておくべき、美しい天空ショーの季節の幕開けです。

 


 

「Puff Johnson」(パフ・ジョンソン)という名の、米国の女性R&Bシンガーの存在を知っている人がいったいどれくらいいるでしょうか。おそらくご存知の方は、相当なブラック・ミュージック愛好家と想像されますが。
1996年に彗星の如くデビューし、そのたった一枚だけのオリジナル・アルバムを遺して、4年前に癌との闘病の末40歳で生涯を閉じた、伝説の歌姫といっても過言ではないでしょう。エモーショナルで透き通った天性のヴォーカルは、クラッシックなSOULミュージックを歌わせたら、きっと凄いカヴァー・ソング・アルバムが誕生したのではと思えるくらい、少し遅咲きな数十年に一度出るかどうかの天才シンガーでした。

デビュー・アルバム「Miracle」の総合プロデュースを任されたのは、当時勢いのあったドラマー出身の「Narada Michael Walden」(ナラダ・マイケル・ウォルデン)でした。US R&B CHART 61位といった結果を見る限り、大きな成功ではなかったとはいえ、本アルバムにはスロウ・ミディアムでメロウな秀作が多数収録されていました。今回取り上げる『Love Between Me & You』も、そんな作品のひとつです。

 

Puff Johnson – Love Between Me & You
(album: Miracle – 1996)
 

 

R.I.P. – 安らかに眠れ

 

 

AC Tunes ~ Vol.59【Walter Becker – R.I.P.】

なんてことだ、米国と言わず世界中のミュージシャンやアーティストの多くが憧れ続け、そして20世紀の音楽史上多大な影響を聴く者に与え続けた、偉大なバンド(ユニット)である『Steely Dan』「Walter Becker」(ウォルター・ベッカー)が、67歳で9月3日に天に召されてしまった。

 

 

9月に入ってのあまりに急な訃報に、学生時代からの音楽好きの友人KUBO氏と共に、なんだかこの現実にお互いうまく対応できず、戸惑いを隠せないでいる。かねてから「自分たちの完璧なサウンドはライブでは再現不可能なので、コンサートをやることはない」と断言していた彼らのLIVEを現実のものとして見る為に、僕らのような世界中の熱心なファンは、バンドの絶頂期を経て本人たちのLIVEへの意識が変わるまでに、それから10年以上の歳月を費やすことになった。やがて社会人となり家庭や子供を持った後に、武道館で見たウォルターの姿に、まさに「ギター職人」という印象が強く残ったのを記憶している。折りしも今月下旬に「Nightflyers」と名付けたバンドを伴って来日予定のフェイゲン氏だけれど、幾つかのメディアでの追悼声明を正式にリリースしたものの、それはもう想像を絶するほどに、大きな心の痛手となっていることだろう。
[ウォルターの逝去した9/3以降の北米でのLIVEツアー、そして来日公演も中止が決定したそう。フェイゲン氏の急病ということだけれど、心配だ…]
 

Vocalを務めることから、相方の「Doanld Fagen」(ドナルド・フェイゲン)の存在の方が昔から話題になりがちとはいえ、スティーリー・ダンの音楽は「Becker/Fagen」のどちらが欠けても成り立たないのは、古くからのファンなら皆納得の事実だ。技術的なことはともかく、ウォルターのギターとベースから繰り出される音は、他の誰もが真似のできない独特の、そうまさに「ONE & ONLY」のサウンドだった。高校生の頃に初めて出逢った彼らのその「音世界」に衝撃を受け虜になり、社会人になってもう人生を折り返した今となっても、彼らの音楽は僕らにとっては宝石のように、いまでもキラキラと輝きを放つ。フェイゲンがソロ・アルバムを出す際も、ウォルターの名前はクレジットされていなくても、間違いなくいつもアイディアを共有していたんだろうと思う。そのくらい、互いにとって欠かすことのできないパートナーであったはずだ。

 

 

どの曲を取り上げようかもう何日も悩んで、なかなか決まらずにいたけれど、やはりROCKでありながらJAZZのように難解な転調を繰り返し、すべての聴く者を虜にした歴史的名盤『Aja』からタイトル作品『Aja』を取り上げないわけにはいかない。この8分を超える美しくも壮絶な狂気を包括する楽曲を、過去にいったい何度ターン・テーブルの上でリピートしたことだろうか。もちろんそれはレコード盤からCDへ、そしてiPodになってからも同じ作業を繰り返している。思えば、収録作品同様に評価を高めた「アジアを象徴する」ジャケット写真に起用された、「山口小夜子」さんも10年前に他界された。こうして時代は移ろっていくものなのだろうか。なんだか、ちょっともの悲しい。

 


Steely Dan – “Aja” (album: Aja – 1977)

 

そしてもうひとつ、「Aja」と同時期に録音が進められた、彼らとしてははじめての映画のテーマ曲である『FM(No Static at All)』を聴きながら、亡きウォルターへ哀悼の意を表したい。
うねるベース・ライン、緊張感を増幅するようなイントロのギターの響き、どちらもウォルターが紡ぎ出す音の魔法と表現しても過言ではないだろう。

2年前の秋に、NYはマンハッタンの「エンパイア・ステイト・ビル」で、アンテナが設置され電波塔も兼ねる同ビルの「FM放送開始50周年記念事業」に於いて、FMラジオ局から流れる彼らの楽曲『FM』と、ビルを美しく照らし出すライト・アップがシンクロしたイベントが開催された。(詳細過去記事参照)

 


Steely Dan – “FM(No Static at All)”
Empire State Building Steely Dan Light Show (2015 in NY)

 

折りしも、今日は決して忘れてはいけないあの忌まわしき「アメリカ同時多発テロ」が発生した『9.11』から、ちょうど16年という月日が経過した。16年前の今日、空港勤務だった僕らが送り出した米国行きの自社機を含め他社の航空機も、テロ発生直後に発令された「非常事態宣言」と連邦航空局の命令によりアメリカ国内の民間航空路の封鎖の影響で、大半が成田にリターンしてきたのを、まるで昨日の出来事のように鮮明に記憶している。海の向こうの出来事とはいえ、明らかにパニック状態に陥った。今となっても、思い出すだけでも身震いがするようだ。

ウォルター・ベッカー氏、そして16年前のあの日、彼の地でテロの巻き添えとなってしまった多くの犠牲者の方々、どうか安らかにお眠りください。

R.I.P.

 

 

 

AC Tunes ~ Vol.57【Chuck Loeb ~ RIP】

穀物や野菜等農作物への影響が不安視される、天候不順が続いた8月の関東地方でしたが、間もなく夏も終わりを迎えますね。

 

ここで残念な訃報を一つ。7月最後の31日、米国はNYをベースに、かつての「FUSION」、今で言うところの「Smooth Jazz」のカテゴリーに於いて、長らく第一線で活躍していたギタリストでありプロデューサーの Chuck Loeb (チャック・ローブ)が、ここ数年間患っていた癌で逝去しました。1955年生まれ、まだ61歳だったそうです。
フュージョン全盛時は「Steps Ahead」で、最近では「Bob James」率いる「Fourplay」への参加、そしてプロデュース業と平行して自身のアルバムをリリースと、病気と闘いながらの音楽活動を余儀なくされていました。
振り返ってみれば、ずっと長いこと聴いてきたアーティストにしては、このブログでの紹介は彼が過去にプロデュースした「Donald Harrison」の作品を一度取り上げただけでした。ジャズ・ギターのレジェンドでもあるジム・ホールから直接指導を受けるなどした、その卓越したテクニックによるチャック特有のギターの音色には、いつも人柄を窺わせる優しさが漂っていたように思います。

前作より3年振りの2016年にリリースされ、遺作となってしまったアルバム『Unspoken』より、心穏やかになるアルバムタイトルでもあるハート・ウォーミングな楽曲『Unspoken』を聴きながら、追悼いたしましょうか。そうそうたる参加アーティストの中でも、中盤で入ってくるブライアン・カルバートソン (Brian Culbertson)のピアノ・ソロの音色が、まるで花を添えるかのように、ひたすらに美しい作品となりました。

 

Chuck Loeb “Unspoken” – featuring Brian Culbertson
(album: Unspoken – 2016)
 

 

 

チャック・ローブのギターの音色は、「濃淡」の差こそされ、いつまでも「Ever Green」であることには違いありません。

R.I.P.  –  安らかに眠れ

 

 

Mellow Tunes ~ Vol.130【Prince】

不安定なお天気の続く今年のお盆休みですが、とにもかくにも涼しいのはいいことです。
想定外の涼しさが続くので、夏季としては異例の更新状況となっています。

 

 

前回の記事からの流れで、昨年他界した「紫の殿下」こと Prince(プリンス)をご紹介する、真夏の第二夜です。
前回取り上げた『Somewhere Here on Earth』もそうでしたが、彼の持つまるで万華鏡のような変幻自在の感性と才能には、改めて度肝を抜かれることが多々あります。デビュー当時からのファンの方々にしてみれば、別段不思議なことではないのでしょうが、自分のように故人となってからプリンスの多種多様な遺作に触れる人間にとっては、まさに「天才」と呼ばれることに誰も異論を挟まないレヴェルのアーティストであったと、認めざるを得ないでしょう。

一般的に知られた作品をこのサイトで紹介してもつまらないので、今回取り上げるのはこちら。プリンスが1990年頃に立ち上げた自身のレーヴェル「The New Power Generation (NPG)」から2002年にリリースされた前編ピアノの弾き語りのアルバム『One Nite Alone…』の幕開けを飾る、アルバムタイトルにもなっている1stトラックの『One Nite Alone…』が素晴らしい。美しくも儚げなピアノのイントロから始まり、徐々にファルセットのヴォーカルが入ってくる構成のバッラドです。
レコーディングでは恐らく意図したものと思われますが、(過去記事でも何度かご紹介済みですが)あの偉大なジャズピアニストの Keith Jarrett(キース・ジャレット)がかつて世界を驚愕させた、20世紀の伝説のライブとして名高い【The Köln Concert】「Part I」の演奏を彷彿させるような、ピアノのペダルを踏み込む音までも捉えており、いってみればプリンスによるキース・ジャレットへのオマージュなのではと思わざるを得ません。どうぞリンクをクリックして聴き比べてみてください。
それはそうとして、あらゆるカテゴリーの音楽をスポンジのように吸収し自分自身の色へと変えていく、「プリンス」という音楽家の果てしなき才能には、圧倒されっぱなしです。

 


Prince – One Nite Alone…
(album: One Nite Alone… – 2002)

 

ジョニ・ミッチェルの名曲『A Case Of U』のカヴァーをピアノの弾き語りで演奏しているのも特筆もので、とにかく美しい出来のアルバムとなっております。
尚、本アルバムは現在世界的に入手が困難となっており、オークション等でしか手に入らないようです。一方「Live」ヴァージョンのBOXセットでしたら入手可能なようです。

本当に世界は惜しい才能を失いました。残念です。