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Mellow Tunes ~ Vol.97 【R.I.P. Glenn…】

なんという2016年の幕開けだろうか。
年が明けてすぐに、Natalie Cole(ナタリー・コール)、David Bowie(デヴィッド・ボウイ)の訃報が続いたかと思えば、なんと今度はイーグルス(The Eagles)の中核となるメンバーの Glenn Frey(グレン・フライ)が数日前に他界したとのニュースが世界を駆け巡った。リウマチ性関節炎や肺炎による合併症と闘った末の残念な結果ということだけど、僕には到底受け入れられないニュースだ。

 

Glenn_Frey_-_After_Hours

 

glenn-frey-2016-billboard-650小学生の高学年の頃、国内のFM局だけでなく海の向こうの短波ラジオ放送から雑音混じりに聴こえてきたアメリカン・ロックのヒーロー「イーグルス」の二枚看板ヴォーカルの、上手いけどあくの強いドン・ヘンリーよりもデトロイト出身で黒人音楽に強く影響を受けたグレンのメロウで優しいヴォーカル・スタイルの方が、僕はずっと昔から好きだった。ソロになってから発表された「The One You Love」はもちろん、ロック色の強いメロディーよりもバラッドを歌わせたら、彼にかなうアーティストは、僕個人の中ではそれほど多くは存在しない。

Glenn Frey一念発起して独立開業した想いが沢山つまったお店「Mellows」を閉店した直後の辛くて悲しい時期を、そっと寄り添って付き合ってくれたのがグレンの今となっては遺作となってしまったスタンダード・ソングにチャレンジしたアルバム『After Hours』だった。一日にいったい何度このアルバムを聴いたことだろうか。今自分の命があるのも、このアルバムに救われたからといっても決して過言ではない。そして気が付けば、このブログをスタートしてから、過去記事でグレンの作品を無意識に何度も取り上げていた。やっぱり相当に影響を受けていたようだ。

近い将来いつかきっとリリースされるはずと、ずっと心待ちにしていた『After Hours – Part II 』は、やはりもう発表されることはないのだろうか..
『After Hours』製作時のトレイラーを見てたら、なんだか泣けてきた。

 


Glenn Frey – After Hours (Trailer) – 2012

 

ここ数日間は、心の中にぽっかりと大きな穴が空いたようで、この喪失感をどう表現すればよいのか分からないでいる。第二次大戦後の1945年以降に生まれたベビー・ブーマー世代には、音楽に限らずどの分野にも偉大なアーティストが多く存在するけれど、そういった人たちに関する悲しい知らせも増えてくる時代にいよいよ突入したことを実感する今日この頃だ。

 


Glenn Frey / “Here’s To Life”
(album: After Hours -2012)

Shirley Horn(シャーリー・ホーン)の代表作として知られる、ジャズのスタンダードとしては比較的新しい作品『Here’s To Life』だけど、個人的には傷心の中でどれほど癒され勇気を与えられたか分からないくらいの、グレン流の「人生の賛歌」となっている気がしてならない。
ああ、もうこれ以上は語るまい。もうキリがない。とにかく、残念でしかたがない。

Rest In Peace, Glenn..          合掌

 

“Here’s to Life”    (Artie Butler, Phyllis Molinary)

No complaints
And no regrets
I still believe in chasing dreams
And placing bets
But I have learned
That all you give
Is all you get
So give it all you’ve got

I had my share
I drank my fill
And even though I’m satisfied
I’m hungry still
To see what’s down another road
Beyond the hill
And do it all again

So here’s to life
And every joy it brings
So here’s to life
To dreamers and their dreams

Funny how the time just flies
How love can go
From warm hellos
To sad goodbyes
And leave you with the memories
You’ve memorized
To keep your winters warm

For there’s no yes in yesterday
And who knows what tomorrow brings
Or takes away
As long as I’m still in the game
I want to play
For laughs
For life
For love

So here’s to life
And every joy it brings
Here’s to life
For dreamers and their dreams

May all your storms be weathered
And all that’s good get better
Here’s to life
Here’s to love
Here’s to you

May all your storms be weathered
And all that’s good get better
Here’s to life
Here’s to love
Here’s to you

 

人生に不満もなければ
後悔もしていない
いまだ私は
夢を追い求め
そしてそれに賭けることを
誇りに思っている
私がこれまで
学んだことは
与えたものが
自分に返ってくるということ
そう、つまり
全力を尽くせということ

分け前を手に入れ
さんざん飲み明かしもした
そしてたとえ満足していても
私は尚も自分を満たしたく
丘の向こうにある別の道を眺めては
歩んでみたいと切望する

人生を一から
やり直してみたいと
人生に乾杯
そしてすべての喜びに祝杯を
だから人生に乾杯
夢追い人とその夢に幸あれ

おかしなほど
どうしてこんなにも時は はやく過ぎ去り
愛はあたたかな出会いから
悲しい別れへと変わってしまうのだろう
寒い冬を温めるための

幸せな記憶だけを人々に残して
去りし日に確かな答えは
見つけられない
明日という日に何がもたらされ、何を失うかなど
誰も知る由はない
だから人生というゲームが
続く限り
私は笑い、楽しみ
愛に生きたい

人生に乾杯
そしてすべての喜びに祝杯を
人生に乾杯
夢追い人とその夢に幸あれ

(日本語訳詞: 東エミ)