Category Archives: Rest In Peace [安らかに眠れ]

Coffee Break ~ Vol.13 「George Floyd ~ R.I.P.」

2020年5月25日にミネアポリス近郊で白人警察官に殺害された、善良な一市民であるアフリカ系アメリカ人男性「George Floyd」(ジョージ・フロイド)の死によって、コロナ禍の状況下であるにも関わらず、この事件に対する大規模な抗議活動が、ミネアポリスから全米中に広がりを見せている。

 

 

「公民権運動」からすでに半世紀が経過しているものの、この米国社会に根差した問題は、未だに解決策が見つからないでいる。
これまでも、ことあるごとに様々な記事の中でも触れてきたけれど、長い人生の中で「Soul / R&B / Gospel / Jazz」等々、黒人音楽に魅了されながら日々を生きていると、「なぜこんなにも心に響く音楽が生まれたのだろうか」と、必ずそんな疑問に出くわすタイミングがあるもの。少しずつ、すこしずつ、彼らの悲しい歴史を学ぶことから始めるのは、賢明な選択だと思う。そして、同じカテゴリーの音楽を愛する人々なら、きっと皆そうだと信じたい。

 


Peaceful George Floyd protests marred by bursts of violence | USA TODAY

 

33歳という若さで急逝した不世出のシンガー・ソングライター「Donny Hathaway」(ダニー・ハサウェイ)が、今よりずっと黒人への人種差別が激しかった時代に、「差別に怯えず、胸を張って生きよう。誇りを忘れずに日々を過ごそう。きちんとした毎日を過ごそう。そしていつか僕らみんな、自由になれる」といった、当時としては Super Positive な内容の、「ダニー」が娘の「Lalah」(レイラ)に捧げた希望溢れる作品が、言わずと知れた『Someday We’ll All Be Free』だ。
いま一度、噛みしめるように聴いてみたい。

 


『Someday We’ll All Be Free』(1973)
Track-1: Donny Hathaway (original)
Track-2: Bobby Womack feat. Wilton Felder
Track-3: Marcus Miller feat. Lalah Hathaway
Tarck-4: Alicia Keys (Live A Tribute To Heroes 911)

 
Lyrics:

Hang onto the world as it spins, around.
Just don’t let the spin get you down.
Things are moving fast.
Hold on tight and you will last.
Keep your self-respect your manly pride.
Get yourself in gear,
Keep your stride.
Never mind your fears.
Brighter days will soon be here.
Take it from me someday we’ll all be free
Keep on walking tall, hold you head up high.
Lay your dreams right up to the sky.
Sing your greatest song.
And you’ll keep, going, going on.
Just wait and see someday we’ll all be free.
Take it from me, someday we’ll all be free.
Take it from me someday we’ll all be free.
Take it from me, take it from me, take it from me.

Lyrics: Edward Howard
Song writing: Donny Hathaway

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.38【Bill Withers ~ R.I.P.】

世界中が「コロナ禍」で騒然としている中で、長い R&B/Soul の歴史の中でも、レジェンド中のレジェンドとして幅広いジャンルの多くの現役アーティストからも、熱狂的なリスペクトを集めてきた『Bill Withers』が、3/30日に米国・LAで亡くなった。享年81歳。患っていた心臓の病気に起因するものだということを伝え聞き、コロナ・ウィルスによるものでなかったことが、多くファンのにとっては、ある意味唯一の救いかもしれない。

 

 

振り返れば、高校2~3年の頃に凄まじい勢いで流行した、人気サックスプレイヤー「Grover Washington Jr.」のアルバム「WINELIGHT」に収録された20世紀の傑作『Just the Two of Us』が、僕自身にとって「ビル・ウィザーズ」との出逢いだった。
AM/FMラジオはもちろん、ふらっと入った喫茶店で、不定期に輸入盤のレコード探しで実家のある埼玉から都内に出かけた先の「渋谷」や「お茶の水」辺りの路上でも、後に都内の大学に通う日々のとにかくいたる場所で、『クリスタルの恋人たち』とちょっと赤面してしまいそうな邦題の付いた『Just the Two of Us』は、数年間は街のBGMであるかのように、常に耳に入ってくる作品だったことを、今でも鮮明に記憶している。
FUSION 音楽が大流行していた当時から、大好きだったサックス・プレイヤーの「ナベサダ」こと「渡辺貞夫」氏の、レコーディングやツアー・メンバーとしてクレジットされていた「ラルフ・マクドナルド」「リチャード・ティー」「スティーヴ・ガッド」「エリック・ゲイル」らを筆頭に、若き日の「マーカス・ミラー」を含めNY の第一線級のスタジオ・ミュージシャンたちがこぞって参加した「グローヴァー・ワシントン・ジュニア」の最大ヒットアルバムとなった「WINELIGHT」とは、そんな意味でも僕自身にとってはとにかく特別な想いのあるアルバムだ。そして、「ビル・ウィザーズ」の「唯一無二」のヴォーカルに出逢った衝撃は、当時多感な18歳前後の自分にとっては、ある意味その後「Soul」「Jazz」といった黒人音楽への扉を開かれたような、そんな印象が今となっては強く残っている。

 


Track-1: Grover Washington Jr. – Just the Two of Us (feat. Bill Withers) – 1980
Track-2: Toshi Kubota Ft.Caron Wheeler – Just The Two Of Us – 1991

「久保田利伸」氏の同楽曲のカヴァーについては、「松尾さん」のラジオ番組「メロウな夜」での談話・エピソードが印象的です。ぜひご一読を。

 

多くの音楽好きな人々が同じ道を辿るように、僕自身「ビル・ウィザーズ」の音楽を遡っていくうちに、実質的にはとても短いといわれる彼の活動期間である約15年間にリリースされた、10作にも満たないアルバムすべてに触れることになるわけだけど、R&B/Soul の歴史を辿るロード・ムービーをずっと鑑賞しているような感覚を持たずにはいられない。

そんな彼が遺してくれた、“Ain’t No Sunshine” (1971), “Grandma’s Hands” (1971), “Use Me” (1972), “Lean on Me” (1972), “Lovely Day” (1977)といった誰しもが挙げる名曲の数々の中でも、僕がいちばん愛して止まないのが『Hello Like Before』。古くは「ナンシー・ウィルソン」だとか、最近では「ホセ・ジェイムズ」だとか、多くのアーティストによるカヴァーも発表されているけれど、やはりオリジナルの持つ素晴らしさにはなかなか抗えないもの。

 


Track-1: Bill Withers – “Hello Like Before”
(album: Making Music – 1971)
Track-2: Bill Withers – “Let Me Be the One You Need”
(album: Menagerie – 1977)

 

Soul Music の素晴らしい世界へと導いてくれたレジェンド「ビル・ウィザーズ」の、ご冥福を心よりお祈りします。素敵な音楽の数々を、ありがとうございました。

Rest In Peace, Bill ..

『Bill Withers』についてご興味を持たれた方は、よろしければ過去記事などもご覧ください。

 

我が国の名ばかりリーダーとは違って、こんな時にこんなメッセージを出せる、元米国大統領の「バラク・オバマ」氏の偉大さに、改めて感動。

 

さて現実の世界では、まさに「緊急事態宣言」前夜でありますが、仕事を休むことができないので、この辺りにしておきます。Key Word は『Stay Home』ですよ。

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.15【Joao Gilberto ~ R.I.P.】

「雨の季節」がまだ続いている。
近隣では、例年「梅雨明け」と同時に「初夏」の訪れを知らせる、愛らしい「蓮の花」がそろそろ咲き始める頃。
そんな季節に、遠い海の向こう南米ブラジルから、「アントニオ・カルロス・ジョビン」(Antonio Carlos Jobim) と並び「ボサノヴァ」の創始者として知られる、伝説的なギタリストであり歌手でもあった「ジョアン・ジルベルト」(Joao Gilberto) が、88歳で旅立ったとの訃報が届いた。

 

 

盟友「ジョビン」と共に「ジョアン」は、1950年代後半に伝統的なサンバとモダン・ジャズを融合した新たなジャンルの音楽を創造し、1963年には「ジョビン」と当時の「ジョアン」の妻だった「アストラッド・ジルベルト」(Astrud Gilberto) をヴォーカルに迎えて、Jazzサックス奏者の「Stan Getz」(スタン・ゲッツ) とのコラボ・アルバム『Getz/Gilberto』のレコーディングを行なった。アルバムリリース後の翌1964年には200万枚以上の売り上げを記録し、音楽史上最も売れた「ジャズ・アルバム」の一作品となり、また「グラミー賞最優秀アルバム賞」を受賞した初の外国作品となった。
かつて実店舗営業当時の「Mellows」でも、暑い夏の日の午後、日陰になったデッキテラスで、アルバム『Getz/Gilberto』に収められた心地よい楽曲の数々が、やや控えめに流れていたのを記憶されている方がどれほどいるのかは、僕にはもはや知る術もない。

 


Track#1 – “Corcovado (Quiet Nights of Quiet Stars)”
Track#2 – “Para Machuchar Meu Coracao”
Track#3 – “The Girl from Ipanema”

Joao Gilberto, Astrud Gilberto, Stan Getz, and Antonio Carlos Jobim
(album: Getz/Gilberto – 1963)

 

職場にいるブラジル出身の30代前半のスタッフに「ジョアン・ジルベルトが亡くなったらしいよ」と伝えると、キョトンとした表情で見つめられた。どうやら僕の「ポルトガル語」的な発音ができていなかったことと、もはや「ボサノヴァ」はブラジルの庶民にとっては「過去の音楽」という位置付けらしい。「ジョアン」や「ジョビン」の名前は認識してはいるけれども、「ボサノヴァ」は若い世代にとっては「おじいちゃん・おばあちゃんが聴く音楽」であり、日本国内でいう「演歌」の位置付けに近い印象があると、ポツリと語ってくれた。
夏の気怠い午後、リオの海岸を想像しながら海辺のテラスで風に吹かれて冷たい飲み物でも、なんてステレオ・タイプなシチュエーションは、もはや「フランス」を筆頭に欧州はじめ他国に居住する「ボッサ好き」な人々による、一方通行のノスタルジックな想いの産物なのかもしれない。なんだかそう考えると、ちょっと淋しい。
音楽の楽しみ方って、好きなものを好きなだけ浴びるように聴けばいい。それが僕の持論なのは、どんな時代でもブレることはない。いいものは、無理をしなくとも、自然に後世に伝えらえていくものなのだから。

Rest In Peace, Joao …. 美しい音楽の数々をありがとう…
安らかに眠れ

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どんな巡り合わせなのなのだろうか、このタイミングで、来月8月下旬よりドキュメンタリー映画『ジョアン・ジルベルトを探して』が公開される。

 

映画『ジョアン・ジルベルトを探して』予告編
 

《Info》
ブラジルの伝説的ミュージシャン、ジョアン・ジルベルトの行方を追うドキュメンタリー。フランス人監督ジョルジュ・ガショが、ジルベルトに会えないまま本の出版直前に命を断ったジャーナリストの夢を実現するため、ジルベルトゆかりの人々や土地を訪ねる。ミウシャ、マルコス・ヴァーリ、ジョアン・ドナートらミュージシャンが出演。
 
《Story》
「イパネマの娘」などの名曲で知られ、日本でライブを行ったこともあるミュージシャンのジョアン・ジルベルトは、2008年夏のボサノヴァ誕生50周年記念コンサートを最後に公の場から姿を消す。彼に会おうとリオデジャネイロに出向いたてん末をつづった本の出版直前に自殺したドイツ人ジャーナリストの旅に共鳴したジョルジュ・ガショ監督が、ジルベルトに会うためにブラジルに向かう。

(出典: シネマトゥデイ)

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.13【Luther Vandross】

いつもご訪問ありがとうございます。
明日から2日間予定されている大阪での「G20」のために、世界各国から要人たちの来日ラッシュで、関西空港はかなり慌ただしい様子ですね。加えて、「台風3号」が発生し、「梅雨前線」を刺激しているようです。
当サイトにも、京都を中心に多くの関西方面のブログ・リーダーの方々にご訪問いただいておりますが、影響が最小限であることを祈っております。

 

 

さて、通常モードに戻り、「Vol.13」となる「Mellow Classics」ですが、今回は「7月1日」で没後14年が経過する、『Luther Vandross』(ルーサー・ヴァンドロス)の作品を取り上げます。
僕自身としても、最愛の「R&B/Soul シンガー」と申し上げることに、一切の躊躇もありません。それくらいの、類い稀な実力と実績を伴った、R&B/Soul界のスーパー・スターでした。
まさに相棒と呼ぶに相応しい盟友であり、スーパー・ベーシスト「Marcus Miller」(マーカス・ミラー)と共作した名曲は数あれど、1996年にリリースされたアルバム「Your Secret Love」に収録された『Nobody To Love』のメロウネス溢れる作風は、やはりこのコンビだからこそ生まれたのだと、そんなふうに感じます。

 

 

Luther Vandross / “Nobody To Love”
(album: Your Secret Love – 1996)
 

「ルーサー」亡き後、「Luther Follower」と一般的に呼ばれるよく似たテイストのアーティストは出てはくるものの、やはりあれだけの「シンガー」はそうそうに世に現れるものでないという現実を、彼の死後15年近い時を経て、「失ってしまったものの大きさ」を日々再確認している自分に気づくことが、しばしばあります。
今更多くのことを語ったところでしかたありませんので、よろしければ「ルーサー」関連の過去記事等をご参照いただけると幸いです。

 

R.I.P. Luther …

 

 

 

 

Mellow Classics ~ Vol.9【Melvin Edmonds ~ R.I.P.】

帰宅してすぐに、先週お休みだった松尾さんの「メロウな夜」が今日は聴けてうれしいなと、番組の内容はどんな感じだろうかと思い、放送前の松尾さんの Twitter を拝見したら、まさかの『Melvin Edmonds』(メルヴィン・エドモンズ) の「訃報」で、しばし絶句してしまった...

【Melvin Edmonds Of After 7 Has Passed Away at age 65】

気を取り直すも慌てて海外の「R&B」系統のウェブサイトを見て回れば、そんな見出しで溢れているじゃないか...

 

 

『Melvin Edmonds』
R&Bが好きな人であれば知らぬ人はいないグループ『After 7』の、弟『Kevon Edmonds』と共にグループを立ち上げた設立者であり、初代メンバーの一人だ。「メルヴィン」「ケヴォン」も言わずと知れたあの超大物プロデューサー『Babyface』(ベイビー・フェイス) こと『Kenneth “Babyface” Edmonds』の実兄なのは、敢えて語るのも野暮なくらいだ。二人の友人である『Keith Mitchell』(キース・ミッチェル) を加えて結成された3人組のグループ『After 7』は、実弟の「Babyface」と相方の「Antonio “L.A.” Reid」による時代を席巻したプロデュース・チームの力添えもあり、キャッチーなメロディに美しいハーモニーとコーラスで、1989年のメジャー・デビュー後、たちまち世界中の人々を魅了していった。

 


After 7 – “One Night”
(album: After 7 – 1989)

 


After 7 – “Till You Do Me Right”
(album: Reflections – 1995)

 

『Edmonds Brothers』というよりは『Edmonds Family』と表現するほうが、より適切な時代になってきているのは、もはや異論の余地はないだろう。「メルヴィン」にとっては「復帰作」であったのと同時に、今となっては「遺作」となってしまった、2016年にリリースされたアルバム『Timeless』から翌年シングル・カットされた『Too Late』のMusic Video に登場する、『Edmonds Family』の面々の絆と結束の固さを、Videoを通して僕らファンは垣間見ることができる。
そして、父「メルヴィン」の闘病中からメンバーに加わり、『After 7』を解散させることなく父の代役を立派に務め上げ、そしてその意思を継承してゆこうという気概を感じさせる、誰あろう「メルヴィンの息子」『Jason Edmonds』(ジェイソン)の「歌声」に、僕は感動を禁じ得ない。だいぶやせ細ってしまった様子だったけれど、儚くも美しいスロウ・ジャム『Too Late』の Music Video の中で、ファミリーに囲まれて実に楽しそうに歌う「メルヴィン」特有の、「松尾さん流」に言うところのあの「塩辛声」もしっかり聴くことができる。特別出演となった「Babyface」とフィーチャリング・ヴォーカリストとして招かれた「Kevon」の甥っ子「David Edmonds」(デイヴィッド) の歌声を一聴すれば、このファミリーに神から与えられた「GIFT」の存在を無視することは、とてもとても難しい。

 


After 7 – “TOO LATE” Featuring David Edmonds & Kenny “Babyface” Edmonds
(album: Timeless – 2016)

 

以前にこの作品を過去記事で取り上げた際にも触れたけど、いつも「松尾さん」が言及してるように、こと「R&B / Soul / Jazz」をはじめとする「Black Music」の世界では、『Bloodline』(血統)の濃さは未来永劫継承されてゆくものなのだと、改めて痛感してしまう。「メルヴィン」の存在した時代の『After 7』における最期のアルバム『Timeless』は、文字通り僕らファンにとってはこれからも、永遠に「タイムレス」な存在であり続けるに違いない。

まだ社会人として「駆け出し」の青臭い20代だったあの頃、仕事や人間関係で躓いたりして上手くいかない自分を、いつも励まし、そして癒してくれた、そんなスーパー・メロウなコーラス・グループだった。
自分にとっての「メロウな夜」というラジオ番組がそうであるように、彼らの音楽の「優しさ」であり「励まし」は、昔も今も、そしてこれからも一向に変わることはない。
今夜は、ラジオを聴き終えたらば、彼らの作品をまとめて聴こうかな。

ありがとう、メルヴィン...

Rest In Peace, Melvin …

 

そして、その息子「ジェイソン」よ、ありがとう。『After 7』のハーモニーはいつだって「Ever Green」なのだから。

 

After 7 “I Want You” Live @ SiriusXM // Heart & Soul
 

天国の「マーヴィン・ゲイ」も唸る、「リオン・ウェア」作曲の本家「I Want You」のイントロのサンプリングから始まる「After 7」「I Want You」の熱演は、聴く者の心を熱くする。頑張れ「ジェイソン」。

 

※「Babyface」関連記事はこちら