春がやって来そうで来ないような、北朝鮮が米国と会談を持つ予定だとか、永田町では国政がひっくり返るほどの政局が混乱を極めている最中で、海の向こうの米国カリフォルニアからとても残念な「訃報」が舞い込んだ。
TOWER RECORDS (タワー・レコード)の名物創業者としてよく知られた、偉大な「Russ Solomon (ラス・ソロモン)」氏が、現地時間3月4日に、カリフォルニア州サクラメントにある自宅で、静かに息を引き取った。TVで第90回アカデミー賞授賞式を視聴中に、心臓発作を起こし、そのまま帰らぬ人となったという。92歳だったそうだ。
ABC7 News – SF Bay Area
ある意味自分にとっては、大好きなアーティストが逝去したのと等しいくらい、残念なことでならない。思えば大学生だった80年代、キャンパスが近かったこともあり、学校帰りはバイトに行く前に必ず週に3・4回は、東急ハンズの先にある宇田川町の旧店舗まで足繁く通ったものだった。
いつの間にやら店員さんとも親しくなり、会えばこちらの好みの新譜をそれとなく教えてもらったりしたことも、度々あったことを懐かしく思い出した。TOWERで入手できないものは、学校裏手の南青山・骨董通りにひっそりと存在しマニアが集結した伝説のレコード・ショップ「パイド・パイパー・ハウス (Pied Piper House)」か、TOWERのすぐ近くにあった「CISCO」だとか、それでも見つからないときは御茶ノ水の「disk union」辺りを、レコードを求めて彷徨っていた時代が、本当に懐かしい。とはいえ、お目当てのものは大体タワーで見つけられたものだった。
自分が会社員を20年以上続けた末に、独立して音楽にこだわりを持ったカフェをOPENしたのも、そして閉店した今でもこんな「音楽主体のブログ」をずっと続けているのも、若い頃に並々ならぬお世話になった「TOWER RECORDS」の存在抜きには、何ひとつ語れないものだ。つまりはラス・ソロモン氏の音楽ビジネスに対する尋常ではない情熱による影響もあって、「Mellows」が誕生し、そしてこのサイトがこうして存在しているともいえるのだ。
1990年代に入って、日本国内ではレコード会社をグループに持つ音響機器メーカーの「SONY」の主導で、海外諸国に比べると市場から一気にアナログ・レコードが駆逐され、あっという間に「CD」の時代に移行してしまった感が強い。その頃から、TOWER だけでなく、「CDショップ」という空間にうまく馴染めない自分がいて、いやでも出没頻度は減っていったものだった。
その後の「iPod」に代表される Digital Audio Player への移行に伴う「配信」の時代の到来が、結果的に街の「レコード屋」であるとか「CDショップ」を廃業に追い込んでいくわけだけれど、TOWER RECORDS ももちろん例外ではなかった。そのことは過去記事で一度大きく取り上げさせてもらったので、時間のあるときにでも、ぜひご一読願いたい。
“All Things Must Pass: The Rise and Fall of Tower Records”
世界中の人々にあらゆるカテゴリーの音楽に触れる機会を与えてくれ、「No Music, No Life.」の精神を教えてくれた偉大なラス・ソロモン氏のご冥福を、謹んでお祈りしたいと思う。そして心より御礼を申し上げたい。
R.I.P. Mr. Solomon…