理想のブレンド珈琲を探し続けて、もう何ヶ月になるだろうか・・・
しかし『珈琲』の世界とは、うまく例えようもないけれど、一見すると透明に見えて、でも深遠で底の見えない、まるで地底湖のような気がしてならない・・・ そして誰が言ったのか、『珈琲は嗜好品』『いちばんおいしい淹れ方など存在しない』『ブレンドには正解はない』等々、その深い世界観はとどまる所を知らない・・・ その類の多くの書物にも最後に結論付けられているのは、『自分がそれを好きかどうか』に尽きると。うーん、ますますわからなくなってくる・・
つい先日、遠く九州にあるロースターさんから、数種類のブレンド珈琲のサンプル豆を送っていただきました。
どれも美味しく戴いたのですが、その中に1位落札ではないのですが、 “COE”(Cup Of Excellence)を受賞した豆をベースにしたブレンドがありました。世界的な珈琲豆のコンテストで、カッピング(試飲)等の厳正な審査を経て落札されていく、あの最高級の品質を誇ると言われる品評会で入賞した豆が入っているわけです。いわゆる「スペシャルティ」とか「スペシャリティ」とも表現される、世界で僅か2~3%程度しか流通していないレベルの、まるで黒いダイヤのような珈琲豆のことです。
未だかつて嗅いだことのないフルーツのようなアロマが、ネルで蒸らしている段階からドリップに移行した瞬間に、また別のフルーツの香りに変化していく。ある意味、衝撃的な出会いでした。恥ずかしながら、”COE”というクラスの豆を自分で挽いてドリップする機会がこれまでなかったので、『これはただ事ではない』というのが実感でした。
品種によっては、国際的なオークションで国内の一部のグループによる無謀とも取られかねない買付けなどもあるようですが、何も”COE”の1位受賞のものでなくとも、品評会に出品されてくる段階で、それなりどころか相当の品質の高さが保証されているのだと思います。それはともかくとして、びっくりするほどの初めての”COE”豆の味わいでした。やっぱり格別に美味しい珈琲には、それなりに円熟した大人の音楽が似合います。少々こじつけですが・・(笑)
時々紹介しますが、Boz Scaggs というミュージシャンは、まさにその見本のような人です。
今回紹介するのは、2001年にリリースされた “Dig” というアルバムからのとてもJazzy & Bluesyな一曲です。このアルバムに収められたこの“Miss Riddle”という作品からその2年後に、BOZはJazzスタンダードアルバムを発表するに至るわけで、まさにそのきっかけともなった作品とも思えます。
途中で聴ける ROY HARGROVE のトランペットのソロは、恐ろしいほどのセクシーさです。抑え気味のスタイルで謳い上げる BOZ のヴォーカルも Roy のラッパの音も、枯れてゆく男のダンディズムの極致といえるでしょう。
ぜひとも、極上のブレンドとともにじっくりと味わいたい一曲です。
Boz Scaggs / “Miss Riddle” from the album “Dig”