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Mellow Tunes ~ Vol.199 【JUJU×松尾潔×小林武史】

いつもご訪問ありがとうございます。
11月も後半に入り、例年より暖かいとはいえ、昼夜の寒暖差で植物や樹々たちの色付きも、確実に足早になっているような印象を受けます。

 

 
今日になって、「JUJU」がリリースした話題の作品『メトロ』の MV(フル・ヴァージョン)が「YouTube」にて公開となりました。リリース以前からずっと紹介したいと思っていたのですが、できれば「フル」で聴いていただくべき作品だと感じてましたので、ようやくこうして取り上げることができてうれしく思います。

当サイトを訪問してくださる方々はもちろんのこと、多くの方が既にご覧になっているかもしれませんが、秋の入り口頃からON-AIRが始まった「東京メトロ」のCM(松尾さんも出演)のバックで流れているのが、本作品『メトロ』なのは敢えて説明は不要ですね。この作品は現代の国内ミュージック・シーンを担う重要な二人の音楽プロデューサーである、「小林武史」氏と、このサイトではこれまでもずっと応援している「松尾潔」氏による、共同プロデュースというあまり例を見ないコラボレーション作品となりました。

『メトロ』を初めて聴いた時の印象ですが、楽曲のピアノのイントロが始まった時点で、「これはもう大変なことが起きている」とハッとしました。まだヴォーカルを聴いてもいないのに、そんなふうに感じる作品とは、洋楽・邦楽を問わずとも、まず数十年に一度くらいしか出逢うことがないもの。そして、情感を抑えながら歌い出した「JUJU」のヴォーカルが素晴らしい。ワン・コーラス聴いたところで確信したのは、これはまさしく「バカラック・メロディ」であるということでした。
松尾さんが先に詩を書き、その後に小林さんが曲を付けたという、現代では珍しい「詩先」という手法で出来上がった楽曲とのことですが、かつて1970年代のアメリカン・ポップス界の偉大なスターであった、僕も愛してやまない「The Carpenters」(カーペンターズ)を聴いてきた世代の方々であれば、「そうか」と気付かれた方も多いのでは。
偉大な音楽家「Burt Bacharach」(バート・バカラック)「Hal David」(ハル・デイヴィッド)の黄金コンビによってこの世に生み出された不朽の名曲でありスタンダード作品である、『(They Long to Be) Close to You』(邦題「遙かなる影」)にも相通ずる、今後も後世にしっかりと遺りそして歌い継がれていくであろう「名曲の誕生の瞬間」に、偶然同じ時代に生きた我々は運良く立ち会えたのかもしれません。誰もが口ずさめる「メロディ」と、誰もが身に覚えのある「歌詞」が融合し、シンプルでいて切なく、しかし希望を感じさせる、そんな「バカラック作品」と共通する「something」を、僕は強く意識しました。

 

JUJU 「メトロ」 Music Video
(2018/12/05発売 JAZZ ALBUM「DELICIOUS ~JUJU’s JAZZ 3rd Dish~」収録)


小林さん作曲のシンプルなのにスケール感が大きく変調するホーンセクションとストリングス、JUJUのヴォーカリストに徹し切った姿勢、そしてなによりも松尾さんの「歌詞」がすごい。「変わらなきゃ‥」「でもそんなに簡単に自分を変えられない‥」。自分自身ずっと何十年もそんなことで悩んでいたりするし、男女関係なくどんな世代の誰にでも心当たりのある、この「普遍的なテーマ」に共鳴しない人はいないでしょう。
かつて学生だった30年以上前の僕も、地下鉄千代田線で学校に通い、のちに社会人となって都内に勤務していた駆け出しの頃には、銀座線・東西線・半蔵門線に毎日揺られ、不特定多数の人々とすれ違い、多くの経験を積みながら、徐々に大人への階段を昇っていったのだと、後日制作され公開となった「メトロ」の Music Video を拝見して、そんなことを懐かしく思い出したりしました。Music Video では、そんな「歌詞」の世界観を、主演女優の方がとても上手く演じているように感じました。

作品の名義が『メトロ / JUJU X 松尾 潔 X 小林武史』となっている理由、よーく分かりますね。お三方にとっても、とても大切な作品となったのは間違いないことでしょう。
いやあしかし、松尾さん、歴史に残る作品を創りましたね。素晴らしいプロデュース・ワークに感服いたしました。

※<プロダクションノーツ「メトロポリスへのパスポート 松尾 潔」>こちらへ。