日一日と日没が早くなり、夜が長くなってきました。
気温もぐっと下がってくるこれからの季節は、「HOTな珈琲」そして「メロウな音楽」が、もっともしっくりくるシーズンです。
こういう季節になると、いやでも自然に選んでしまうのが、80年~90年代初期の頃に聴いていた、スロウまたはスロウ・ミディアムな「Slow Jam」の名曲の数々。秋から冬にかけては、特にベストマッチなカテゴリーといえますね。季節や時間に関係なく、常にそんな音楽を流していた、実店舗の「Mellows」時代がとても懐かしく思い出されるのも、この季節ならではのことかもしれません。
そんな訳で今回ご紹介するのは、既に故人となってしまった二人の男性によるDUET作品です。
亡くなって既に12年が経過する「Luther Vandross」は、僕の中では最もリスペクトしている「R&B」分野のアーティストといって差し支えありません。ルーサーのような本物の「Soul Singer」に出逢うのは想像以上に簡単ではなく、没後ずいぶんと時間が経過しましたが、未だに彼を超える「歌い手」を見つけられずにいます。ただ歌が上手いだけのシンガーなら、いるにはいるんですけどね。「SOUL」をリスナーやオーディエンスに伝えられるとなると、なかなか見つからない。このままだと、自分が生きている内に、ルーサーのようなシンガーに出逢うことは、もうないのかもしれません。ただひとつだけ確実なのは、同じ時代に生きて、彼の音楽や才能に触れることができたこと自体に感謝しないといけないのかもしれません。
マライア・キャリーやジャネット・ジャクソン等々、女性アーティストとのデュエット作品には多くのヒット曲を持つルーサーですが、男性アーティストとのデュエットは、1986年にリリースされた本作品だけだったような気がします。「US Billboard Hot R&B Singles Chart」で1位を獲得した “There’s Nothing Better Than Love” は、同時代に「役者・ダンサー・振付師・歌手」と大変マルチな才能を発揮した「Gregory Hines」(グレゴリー・ハインズ)との、美しいメロディを持ったバラッドです。
Luther Vandross, Gregory Hines –
“There’s Nothing Better Than Love” (1986)
ルーサーより2年ほど先に他界したグレゴリーですが、二人とも50代で逝ってしまったことが、今となってはとても悔やまれます。とはいえ、こうして作品が世に残り次の世代に継承されていくというのは、アーティストならではのこと。羨ましい限りです。
天国でも美しいハーモニーを聴かせてくれているでしょうか。
R.I.P. – 安らかに眠れ
Luther Vandross, Gregory Hines –
“There’s Nothing Better Than Love”
Luther Vandross
(album: The Essential Luther Vandross – 2015)