日を追う毎に、秋が深まっていくのをじわじわと感じる今日この頃です。
大型の台風を二つやり過ごし、このままあと一ヶ月で一気に冬へシフトチェンジしそうな印象を受けますが、どうでしょうか。
空気が澄んだ季節になると、なんだか時計仕掛けのように聴きたくなる音楽や作品って、いつもご訪問くださる皆さんにも、きっとあることと思います。僕の場合は、かつて実店舗の「Mellows」を立ち上げるきっかけとなった、自分にとって大切な Jazz のスタンダード・ナンバー『My Foolish Heart』が、そんな作品の一つです。敬愛する「Bill Evans」(ビル・エヴァンス)のトリオによる演奏の『My Foolish Heart』がいちばん好きなのは、僕が18歳でこの作品に出逢った頃から変わりませんが、ヴィクター・ヤング(Victor Young)が作曲しネッド・ワシントン(Ned Washington)が詞を書いたこの不朽のバラッドは、時代を超越して愛され、そして歌い継がれ、現在に至るというのは、よくご存知の通りです。
本作品に関しては、ブログ内のあちこちに記事を書いているので、詳細は過去記事をご覧いただくとして、今回は今年で84歳となる「ナベサダ」こと「渡辺貞夫」氏が、まだ30代半ばで米国への留学から戻った直後にレコーディングに臨んだと伝えられる、『Sadao Watanabe Plays Ballads』に収録されたカヴァーがまずひとつ。
渡辺氏のその後の世界的な活躍についてはもう敢えて説明する必要もないと思いますが、日本人でビル・ボードのジャズ・チャートの上位に食い込んだ実績を持つプレイヤーは、今でもそう多くは存在しません。
Sadao Watanabe – “My Foolish Heart”
(album: Sadao Watanabe Plays Ballads – 1967)
そしてもうひとつご紹介するのは、歴史のあるジャズ・フェスティバルの発祥の地として知られるスイスの「モントルー」出身のジャズ・ピアニスト、「Thierry Lang」(ティエリー・ラング)によるカヴァーです。とにかく「繊細」「リリカル」という響きのアレンジとプレイ・スタイルについては、エヴァンスの感覚に近いものを感じます。ただひたすらに美しいアレンジの『My Foolish Heart』に、聴く度に深いため息を漏らしてしまいます。
Thierry Lang – “My foolish heart”
(album: Thierry Lang – 1997)
「ティエリー・ラング」氏は伝説のロック・バンド「Queen」やVocalの「Freddie Mercury」(フレディ・マーキュリー)の作品をジャズにアレンジしたり、とても興味深いカヴァー作品をリリースしていますので、機会を改めて紹介したいと思います。
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Sadao Watanabe – “My Foolish Heart”
(album: Sadao Watanabe Plays Ballads – 1967)
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Thierry Lang – “My foolish heart”
(album: Thierry Lang – 1997)