これまでも色々と紹介してきていますが、かつて70年代後半~90年代の音楽シーンを牽引してきた大物アーティストが、次から次へとJAZZやアメリカン・スタンダーズ作品を収録したアルバムを、還暦を過ぎてからリリースするケースが最近になってなんだかやけに増えてきているような気がします。
以前からも主張しているように、やはりかつて一時代を築いたアーティストやシンガーといった人たちは、老いても現在の自分をどう表現すればその「魅力」を伝えることができるのかを、とてもよく知っているなあって、ちょっと感心してしまうこの頃です。
かつて「ブラック・コンテンポラリー」とカテゴライズされたフィールドでたいへん人気のあった元「LTD」というR&Bグループのリードヴォーカリストとしても有名な Jeffrey Osborne(ジェフリー・オズボーン)も、30年以上に渡るキャリアのこのタイミングで、スタンダード作品を散りばめたアルバム『A Time For Love』を、かつてプロデュースを手がけていたジョージ・デューク(故人)と再び組んでのリリースとなっています。
過去記事でも何度も紹介しましたが、イーグルスのグレン・フライが発表した「After Hours」に近い雰囲気の作品で、今年に入ってすぐ静かにリリースされていたようです。
グレンの歌う「The Shadow of Your Smile」もすこぶる渋くてよいですが、かつてのブラコン・スターのジェフリーのヴァージョンもなかなかの味わいです。ちょっとコブシを効かせたような独特のヴォーカルスタイルは健在で、バックに流れる控え目なギターは、ポール・ジャクソン・Jr によるものです。相変わらずの Smooth なギター・プレイです。
Jeffrey Osborne / “Shadow of your smile” (album: A Time For Love – 2013)
こういった実力派と言われたアーティストのスタンダーズへチャレンジした作品が、今後も多くリリースされてくるような気がします。その背景にあるのは、きっと『美しく、耳に馴染むメロディ』への回帰といった現象があるんじゃないでしょうか。そんな気がしてなりません。
https://amzn.to/4aLSqRJ
Jeffrey Osborne
(album: A Time For Love – 2013)