Jazz Standard の中でもとりわけクラッシックで美しい作品、“My Funny Valentine” を取り上げてご紹介している企画の第三夜です。
Rickie Lee Jones(リッキー・リー・ジョーンズ)は、これまでずっと紹介しなきゃって思っていたアーティストの一人です。
L.A.はじめ米国西海岸で1970~80年代に大きなムーブメントというかうねりを持って、世界中を席巻したWest Coast ROCKの華やかな時代に、女性ながらもまさに「いぶし銀」のような存在感を放ったのがリッキー・リーでした。二度と出現することのないだろうと思われるほどの稀有なシンガーソングライターと言っても、当時をともに生きた世代の皆さんであれば、誰も異論を挟む人はいないでしょう。
その時代の米国の若者の多くがそうであったように、彼女も19で故郷シカゴを捨て放浪しながら西海岸に流れ着いて、そこで後に恋仲となるトム・ウェイツと出逢ったことは、その後の彼女の作風にも大きな影響をもたらすことになりました。破天荒なようでいながらも、まるでガラス細工のようにどこまでも繊細な彼女の作品とヴォーカル・スタイルに、心奪われ胸をわしづかみにされた方々も少なくないはずです。
「Rickie Lee Jones (邦題:「浪漫」)- (1979)」「Pirates – (1981)」 とアルバム二作品続けて大きなヒットを飛ばした直後、1983年に『ちょっと一休みさせてよ・・』とばかりにJazz色を強く打ち出したカヴァー作品を集めてこっそりとリリースしたのが、今日ご紹介するプライヴェートな「10インチのアナログ盤」『Girl At Her Volcano』(アルバム邦題:マイ・ファニー・バレンタイン)です。日本国内盤のアルバムタイトルが変更されてしまうほど、本作中に収録された彼女の歌う“My Funny Valentine”は出色の出来といえるでしょう。このミニアルバムは、ライブ録音とスタジオ録音の両音源から構成されており、“My Funny Valentine”については貴重なライブ音源となっています。イントロと歌い出しのところでは奇声をあげて彼女を煽っていた聴衆が、グイグイと彼女のディープな世界に引き込まれていく様が、手に取るようにハッキリと分かるのがものすごく印象的です。まあ、とにかく聴いてみてください。
Rickie Lee Jones / “‘My Funny Valentine” (album: Girl At Her Volcano – 1983)
Rickie Lee Jones – My Funny Valentine Live @ Roxy LA 1982
リッキー・リー、やっぱり表現力がきわめて素晴らしいアーティストですね。このアナログ盤のアルバムは、今でも僕の大事な宝物の一つです。またじっくりと聴いてみようかな。
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Rickie Lee Jones
(album: Girl At Her Volcano – 1983)