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AC Tunes ~ Vol.17 【Tony Momrelle】

前回の記事では Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)の新譜から、僕ら「R50」から上の世代の人たちがどっぷりと洋楽に浸かっていた、1980~90年頃のサウンドを彷彿させる作品 “Love Never Felt So Good” を取り上げてみました。多くのブログ・リーダーの皆さんも YouTube 等で視聴していただいたことと思いますが、いかがでしたか?

この時代のサウンドは、POPS にしても ROCK にしても、ましてや SOULFUNK をひっくるめたいわゆる Black Contemporary なカテゴリーの音楽も、70年代から比較すると80~90年代にかけてかなり洗練された音作りに移行していった時期だったのではないかと、今となって改めてそう感じますね。その背景には日本の楽器メーカーが得意とするシンセサイザーや数々の電子楽器の開発であったり、それを活かすレコーディングやエンジニアリング技術の向上といったことが不可欠でした。
また同時に、Jazz から派生した Fusion などのカテゴリーで活躍した米国西海岸に集中していた一流の腕利きスタジオ・ミュージシャンやプロデューサーなどが、ジャンルの垣根を越えて様々なアーティストの作品にクロスオーバーして参加していたのが、とても特徴的な時代だったとも言えるでしょう。
Jazz界の大物 Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)が Soul/R&B界のマイケル・ジャクソンを、そしてそれまで抜群のジャズギターのテクニックを披露することだけに集中していた George Benson (ジョージ・ベンソン)に、元々定評のあった Vocal を乗せた都会的で洗練されたフュージョン・サウンドを創りあげて世に送り出したことなど、1980年というその時代の画期的で象徴的な出来事だったのではないでしょうか。
(興味のある方は、かつて「クインシーの右腕」であった Rod Temperton(ロッド・テンパートン)に関する過去記事をご参照ください。)

 

Amplified Soul
“Amplified Soul” Incognito

さて前置きが長くなってしまいましたが、Jean Paul “Bluey” Maunick(ジャン・ポール“ブルーイ”モニック)率いる、英国はロンドン・ベースのジャズファンク・バンドの『Incognito (インコグニート)』とは、そんな良き時代のサウンドを確実に再現し更にもう少し洗練されたアレンジで、デビュー以来35年に渡りコンスタントに良質な作品を世に発表し続けている、大人がいつも安心して新作を期待できる貴重なアーティスト(バンド)です。

今回取り上げる、英国出身の Tony Momrelle (トニー・モムレル) はその Incognito で10年に渡り Lead Vocal を務めてきたソウルフルな声を持ったVocalistです。多くの大物アーティストからの要請でツアーやレコーディングに多忙な身らしく、最近になってあの SADE のツアーからようやく開放され、Incognito が先だって日本先行でリリースしたニュー・アルバム『Amplified Soul』で、バンドへの久々の復帰となったようです。そちらもよいのですが、今回は彼が昨年リリースした本人名義のソロ・アルバム『Fly EP』から、良き80年代のサウンドが甦る楽曲 “Spotlight” をご紹介します。まさに Stevie Wonder が乗り移ったかのような素晴らしいヴォーカルに圧倒されてしまいます。

 


Tony Momrelle / “Spotlight” (album: Fly EP – 2013)

 

音楽もカルチャーも『80年~90年代』にSpotlight(スポットライト)が当たっているようです。嬉しいことです。