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AC Tunes ~ Vol.28【Don’t Dream It’s Over】

hkここ日本では台風が去ったものの、近隣の「香港」では学生を中心とした香港の民主化を訴える大規模なデモが長期化の様相を見せ、また遠く中東の「イスラエル」と「パレチナ・ガザ地区」では報復による戦争が絶え間なく続いています。そしてさらに遠く、西アフリカの地で蔓延する致死率の極端に高い「エボラ出血熱」の更なる拡大が懸念されています。
香港が英国の統治から中国に返還された際に、社会主義と民主主義が共存する「一国二制度」を取り入れたこと自体に無理があるといえばそれまですし、中東のエンドレスな争いも、根っこにあるのは「宗教的価値観の相違」であることは紛れもない事実であって、これらはどちらも長い歴史的背景を抜きには論じることができません。
一方「エボラ出血熱」に関しては、まさにダスティン・ホフマン主演の映画「アウト・ブレイク」の状況が現実に起きているわけで、こちらは目で直接確認のできない未知のウィルスとの闘いであり、人類の英知を結集させてなんとしてでも抑え込まねばならないとWHOも躍起になっています。

‚ª‚ê‚«‚Ì’†‚ð‘–‚éŽqいずれにしてもそれらの地域では、大義であったり自身の信念に基づいてそれぞれの敵対する政府・国家・病気と戦っている多数の当事者の方々がいることでしょう。「自由」や「平和」「安全」といったものを実現することの難しさを考えるにつけ、いつの時代でもそうなのかもしれませんが、現代は本当に混沌とした時代なんだと思います。

 

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本来このブログの趣旨は、かつての実店舗「cafe Mellows」営業当時の方針と変わることなく、訪問される方々が「音楽などを聴きながら、珈琲片手にリラックスできる場所を提供する」というのがポリシーとなっています。なので、あまり政治や経済など難しい話題に触れることはできるだけ避けているのですが、個人的に気になる事柄だったのと、今回取り上げる楽曲がそんなことを感じさせる作品なので、時事的な話題にすこしだけ触れてみました。

1986年にニュージーランド国籍のリーダー Neil Finn(ニール・フィン)率いるオーストラリアのバンド「Crowded House(クラウデッド・ハウス)」が放った『Don’t Dream It’s Over』というミディアムスロウなバラッドは、曲の美しさは言うまでもなく、詩の内容が少し抽象的ではあるけれど、挫折や失望の中にあっても「夢見ることを忘れずに希望を捨てるんじゃない」といった万人に対するメッセージソングとして受容され、世界的な大ヒットとなりました。リリースから30年近い時を経てもいまなお支持されているのにも、そんなところに理由があるのかもしれません。(原詞/訳詞はこちら)

 


Crowded House / “Don’t Dream It’s Over”  (album: Crowded House – 1986)

 

Crowded House(クラウデッド・ハウス)はすでに解散してますが、ソロとして活動している作者のNeil Finn氏が「Don’t Dream It’s Over」の最新ライヴ映像を自身のYouTubeチャンネルで公開していて、パフォーマンスの音源および映像はチャリティ作品として自身のショップサイトにてDL発売中だそうで、その収益はパレスチナ自治区ガザで戦争被害にあった人々を支援する国際赤十字に寄付されるとのことです。

「Don’t Dream It’s Over」は、これまでいくつかのアーティストによってカヴァーされていますが、中でも「kiss Me」の大ヒットで有名な米国のバンド「Sixpence None The Richer(シックスペンス・ノン・ザ・リッチャー)」のカヴァーは、原曲をほとんどいじることなく忠実にリメイクした素晴らしい作品となっています。こちらもぜひ視聴してみてください。

 


Sixpence none the richer / “Don’t dream it’s over”  (album: Divine Discontent – 2002)

 

そして余談ですが、前回のAC Tunes ~ Vol.27でお伝えしましたが、重い病状により発売が全世界的に延期となったDiana Krall(ダイアナ・クラール)の新譜にも、なんとこの曲「Don’t Dream It’s Over」がカヴァーされているんですね。それも歴代のポップス・ロックの名曲揃いのカヴァー・アルバムの中で大トリのラストを飾る作品として位置付けられているようです。おそらくこれは、今という時代がこの楽曲を必要としてしているせいなのかもしれません。

 

Diana Krall – Don’t Dream It’s Over (Clip)