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AC Tunes ~ Vol.13 【Ruben Studdard】

今日は久しぶりの雨降りで肌寒いくらいでした。
さてさて、久々の AC Tunes の更新です。

 

HitMan-CoverStoryかつて若い頃にAORをよく聴いてきた世代の人たちにとって、「David Foster(デイヴィッド・フォスター)」という人物は、カナダ出身の超大物音楽プロデュサーとしてよく知られた存在です。とりわけ1980年代全般に渡る、彼の米国での Rock/Pops/Black Contemporary/映画のサントラ などジャンルの垣根を越えた音楽界における功績はとにかく華々しく、彼のアレンジにかかるとどんな楽曲でもあっという間にキラキラと輝く作品へと変貌してゆくその様は、まるで手品でも見ているかのような感じさえしていました。アルバムに彼の名前がプロデューサーやアレンジャーとしてクレジットされているだけで、作品や内容がすでにギャランティーされていると言われたほどで、それは世界的にも「レコード」の売上に多大な貢献をした大物でした。
個人的な感想ですが、総合的な音楽プロデューサーとして考えてみれば、70年代が「バート・バカラック」の時代ならば、80年代はまさに彼「デイヴィッド・フォスター」の時代であったと言っても決して過言ではないでしょう。

そんな彼がなんとJAZZの名門レーベルの一つでもある『Verve(ヴァーヴ)』TOPに就任したそうで、配信の時代となって久しい音楽産業界ですが、昨今のCDの売上不振を打破するだけのノウハウを持つ彼が今後の米国音楽産業界を変えていくきっかけとなるやもしれません。

ruben_studdard_01_01今日ご紹介する『Ruben Studdard(ルーベン・スタッタード)』はフォスター氏の「懐刀」となるべく、自身のキャリアとしては5作目(ゴスペル・アルバムは除く)となる新作を、彼の大々的なプロデュースのもとに今年の2月にリリースしてきました。米国最大のオーディションTV番組「American Idol」の優勝者としての経歴から実力は認められてはいても、正直いまひとつ胸に響いてくるものがなく、しょせん「ルーサー・ヴァンドロスの歌真似が上手いだけ」という印象が拭えず、本来持ち合わせた優れた個性を発揮できずにいるような印象を、僕自身は持っていました。

ところが今回フォスター氏の全面プロデュースによる『Unconditional Love』は、なんと収録された楽曲のほとんどが Pops/Rock/Soul のスタンダードな作品ばかり。しっとりとしたスロウ・ミディアムなアレンジの名曲が多い中、ポール・マッカートニーの名曲 “My Love” を斬新な Funk チューンに仕上げてみたり、ボズ・スキャッグス“Love, Look What You’ve Done To Me” を歌わせてみたりと、それは「マジシャン」であり「ヒット・キング」であるフォスター氏の力量が余す所なく発揮されていて、ルーベンもようやっと自分自身の Vocal スタイルを確立できたような「自信」を伺わせる作品となったようです。故に、このアルバムはきっと売れることでしょう。

中でも、「カーペンターズ」の大ヒットで広く知られている、バカラック・メロディーの金字塔でもあり世界中の人々から愛され続けている作品 “They Long To Be (Close To You)” は出色の出来映えで、なんと間奏のハーモニカ・ソロはあの Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)が参加ですよ!!
とにかく聴いてみてください。

 


Ruben Studdard / “They Long To Be (Close To You)”
(album: Unconditional Love – 2014)

 

※アルバム全編を通しての動画はこちらへどうぞ