春がやってきそうでなかなかやって来ない不安定な春先特有の気候の変化や、これといってUPしたいと思える作品がどうにも思い浮かばず、あっという間に3月ももう半ばとなってしまいました。更新を楽しみにされていた皆さんには申し訳ありませんでした。
「三寒四温」を繰り返しだいぶ暖かくなってきましたので、来週あたりにはもう「桜」も開花でしょうか。「桜」は大歓迎ですが、例年花粉の飛散には閉口してしまいます。(泣)
さて、最近聴いた作品でようやく記事を書く気になったアーティストが、今回ご紹介する、英国人のUKブルーアイド・ソウル・シンガー・ソングライターとして長いキャリアを誇るポール・キャラック(Paul Carrack)です。彼が今年1月にリリースしたばかりの最新アルバム『Soul Shadows』から、一つ作品を取り上げたいと思います。
現在64歳というミュージシャンとしての長いキャリアの中で、「エース」「スクィーズ」「マイク&ザ・メカニックス」、そして有名なところでは「エリック・クラプトン・バンド」でのキーボーディスト兼ヴォーカルとしての活躍で知られるポールですが、僕自身としては彼の存在は知っていたものの、なぜだかほとんど彼の作品を聴く機会に恵まれませんでした。
世界中で評価が軒並み高い今回のソロアルバム作品『Soul Shadows』ですが、いやあ正にこれは大人のためのサウンドで、円熟した「メロウネス」を感じさせるその独特の声とヴォーカルスタイルに心を動かされました。中でも4番目のトラック『Let Me Love Again』は白眉であり、余計な装飾がまったくないシンプルなメロディ自体の美しさと、アーティストの年齢や人生経験から滲み出るようなある種の「儚さ(はかなさ)」ににノックアウトされてしまいました。
必要最小限の控え目なストリングスをバックに朗々と言葉を紡ぎだす様ないぶし銀のヴォーカルに、胸を打たれます。こんな感じの音楽、ここ数十年遭遇していなかったような、そんな気さえする大人による大人のための作品です。アルバム全体の出来も素晴らしく、ブログ・リーダーの皆さんにもぜひともお薦めしたいアルバム『Soul Shadows』です。
Paul Carrack / “Let Me Love Again” (album: Soul Shadows – 2016)
余談ですが、次回で『Mellow Tunes』シリーズがようやく100回目を迎える予定ですが、なかなか候補が思い浮かばず難航しています。さて、どうしようかと思案中です。