AC Tunes ~ Vol.5 【Bill LaBounty】

外気のひんやりした感じとは裏腹に、車の運転中などに太陽の暖かさが日増しに強くなってきているのを皆さん感じませんか。車窓からも「梅」の木々が沢山の花を咲かせているのをよく見かけるようになりました。そうこうしているうちに、あっという間に「桜」の季節がやってくるんでしょうね。春の季節の「花粉」以外のものは大歓迎なんですが‥

 

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さて今日は1980年代West Coast Rock の流れから派生したともいえ、その後とてもポピュラーなカテゴリーとなって、ここ日本国内でも大人気だった『AOR』の中心的な人物として広く知られている『Bill LaBounty(ビル・ラバウンティ)』の作品を紹介いたします。「This Night Won’t Last Forever」はじめ彼のヒット作品は数多く、シンガーとしてもソングライターとしても大変才能に恵まれたアーティストと言えるでしょう。

 

BL 02彼はこの時代に輝きを放った他のアーティスト同様に、「レコード」から「CD」へと時代が変化していった1990年代中期以降は、しばらく表舞台に出てくることはほとんどありませんでした。満を持して、2009年になって18年ぶりのニュー・アルバム『Back To Your Star』の突然の発表で、古くからのファンにそれは大きな驚きと喜びを与えました。かつて活動を共にしてきたRobby Dupree(ロビー・デュプリー)やLarry Carlton(ラリー・カールトン)らの協力を得て、Steely Dan 同様に実にベテランらしい「大人のための音楽」を創りあげてきたなといった印象を、一聴した瞬間に強く持ちました。

今回取り上げたのは最近の作品ではなく、1994年リリースのEdward Hopper のイラストをジャケットに使用したアルバム『The Right Direction』からのちょっとPOPな作品、『Mr. O』です。
作風にも十分に表れていますが前出のロビー・デュプリーとの共作で、短いけれどカッコよく印象的なギター・ソロはラリー・カールトンによるもので、言ってみればビルらしい作品となっています。

 


Bill LaBounty / “Mr. O” (album: The Right Direction – 1994)

 

ビルおじさんは、時代の期待に応えるかのように、なんと今年になって2月にも『Into Something Blue』をリリースするなど、彼だけに留まらず還暦をすでに過ぎた団塊世代の多くの大物アーティストたちが、まるで堰を切ったようにバンドの再結成をしたり新作を発表するなど、古くからのファンにとってはとても嬉しい状況が発生しているような、ここ数年の米国の音楽界の状況が伺えます。
これは恐らくかつての時代にあったような『レコードやCDの大量セールス』というものが見込めなくなり、iTunesAmazon『配信』の時代だからこそ、巨大レコード会社の言いなりになっていわゆる「売れる作品」を無理に作る必要がなくなったために生じてきた状況ではないでしょうか。WEBというインフラを通じて、自分たちの音楽を欲している人々にだけ届ければ成立するといった、現代ならではの新しい「送り手」と「受け手」の関係が成立してきたからならではの、象徴的な現象と言えるかもしれません。

大きな『レコード・ジャケット』を楽しむ喜びがなくなってしまったのはとても残念でなりませんが、かつての大好きだったアーティストたちが本当に自分のやりたい作品を小さなインディーズ・レーベルからでも発表できるようになったのは、嬉しい変化と捉えるべきなんでしょう。そう、時代は常に変わり、そしてまた巡るものですから。

 

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