不安定なお天気の続く今年のお盆休みですが、とにもかくにも涼しいのはいいことです。
想定外の涼しさが続くので、夏季としては異例の更新状況となっています。
前回の記事からの流れで、昨年他界した「紫の殿下」こと Prince(プリンス)をご紹介する、真夏の第二夜です。
前回取り上げた『Somewhere Here on Earth』もそうでしたが、彼の持つまるで万華鏡のような変幻自在の感性と才能には、改めて度肝を抜かれることが多々あります。デビュー当時からのファンの方々にしてみれば、別段不思議なことではないのでしょうが、自分のように故人となってからプリンスの多種多様な遺作に触れる人間にとっては、まさに「天才」と呼ばれることに誰も異論を挟まないレヴェルのアーティストであったと、認めざるを得ないでしょう。
一般的に知られた作品をこのサイトで紹介してもつまらないので、今回取り上げるのはこちら。プリンスが1990年頃に立ち上げた自身のレーヴェル「The New Power Generation (NPG)」から2002年にリリースされたピアノの弾き語りをメインしたアルバム『One Nite Alone…』の幕開けを飾る、アルバムタイトルにもなっている1stトラックの『One Nite Alone…』が素晴らしい。美しくも儚げなピアノのイントロから始まり、徐々にファルセットのヴォーカルが入ってくる構成のバラッドです。
レコーディングでは恐らく意図したものと思われますが、(過去記事でも何度かご紹介済みですが)あの偉大なジャズピアニストの Keith Jarrett(キース・ジャレット)がかつて世界を驚愕させた、20世紀の伝説のライブとして名高い【The Köln Concert】の「Part I」の演奏を彷彿させるような、ピアノのペダルを踏み込む音までも捉えており、いってみればプリンスによるキース・ジャレットへのオマージュなのではと思わざるを得ません。どうぞリンクをクリックして聴き比べてみてください。
それはそうとして、あらゆるカテゴリーの音楽をスポンジのように吸収し自分自身の色へと変えていく、「プリンス」という音楽家の果てしなき才能には、圧倒されっぱなしです。
Prince – One Nite Alone…
(album: One Nite Alone… – 2002)
ジョニ・ミッチェルの名曲『A Case Of U』のカヴァーをピアノの弾き語りで演奏しているのも特筆もので、とにかく美しい出来のアルバムとなっております。
尚、本アルバムは現在世界的に入手が困難となっており、オークション等でしか手に入らないようです。一方「Live」ヴァージョンのBOXセットでしたら入手可能なようです。
本当に世界は惜しい才能を失いました。残念です。
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Prince
(album: One Nite Alone… – 2002)