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昨晩(2/17)開催された、第4回『松尾潔のメロウな夜間授業』〜R&Bの愉しみ〜『キース・スウェットと「ニュー・ジャック・スウィング」』に出席するため、東京ミッドタウン日比谷の「ビルボードカフェ&ダイニング」へ行ってまいりました。僕個人としては、今回で三度目の参加となりました。
今では実店舗「Mellows」も閉店し、足掛け10年の歳月が経過した「Mellow Tunes」コーナーも、いつの間にか「Vol.250」にまでなってしまいました。ある意味区切りの「250回目」は、こちらの「夜間授業」出席時のレポートです。
昨晩から当サイトへの『松尾潔のメロウな夜間授業』という検索ワードでの「アクセス」が顕著になっておりまして、これはおそらく日本中の『メロ夜』リスナーの皆さんはじめ、参加したくても諸事情からそれが叶わなかった多くの松尾さんファンの方々の、「メロウな夜間授業」の様子について気になって仕方がないという、ご同輩方の熱い意志による現象だと考えるのが、至極妥当なようです。
幸運にも参加させていただくことのできた立場から、すこしでも授業の雰囲気だけでもお伝えできればと、今現在は多くの方同様に、自分も会社員の立場で時間の制約もありますが、今回の「夜間授業」の様子をご紹介いたします。
(ご覧の通り、当サイトは営利目的のためでなく、あくまで運営者である僕自身の価値感に基づき、多くのアーティストの作品等をご紹介させていただいております。それ故、参加できなかった方々へのフォローの意味合いがすべてですので、その点については松尾さんもきっとご理解いただけていると信じております。)
さて4回目の授業ともなると、「通しチケット」を保持されていらっしゃる方も多く、毎度おなじみのお顔触れといったことも、少なくない状況になってきたような印象があります。もとは見ず知らずの他人同士だった方々が、会場で何度か顔を合わせているうちに、皆さん大好きな「R&B/SOUL」という「共通言語」を用いた会話が成立しているような、傍観しているとそんな様子が会場のあちこちで見受けられます。「なんて大人な場なんだろう」という雰囲気で、毎回満たされています。メロウでユーモアに溢れた軽快なトークで、そんな「大人の社交場」の仕切りをしているのが、「メロウなソウル・バー」のマスターである「松尾潔」さん、といった図式がもはや完全に成立していますね。僕もかつてはカフェのマスターでしたので、そのプロデュース能力の高さには、もう脱帽ものですね。
「人類史上もっとも山羊に近い声を持つ男」と、愛情たっぷりに今夜の主役『Keith Sweat』(キース・スウェット)を形容するなど、これまでのどの授業にも増して、力の入り具合が違う印象の松尾さん。もう好き過ぎて「何から手を付けていいかわからない」くらいの「キース」への偏愛ぶりが、客席にもビンビンに伝わってきました。
同じN.Y.はハーレム出身で、後に『New jack swing』の革命児としてスターダムにのし上がる年下の「Teddy Riley」(テディー・ライリー)のプロデュースによって、『I Want Her』でデビューはしたものの、苦労人として知られる「キース」が元々目指していたのは、あくまで「オーセンティック」なスタイルの「R&B/SOUL」であり、「ミディアム/スロウ」や「スロウ・ジャム」を主体とした音楽であったはずだという解説のくだりには、出席者一同「そうだよね、やっぱりそうなんだよね」と、皆一様に腑に落ちたことと思います。表現はよくないけれど、「テディ」の類稀な才能を借りてデビューのきっかけとしたのは、「キース」の最初からの戦略であったのだと。
松尾さんがバリバリの音楽ライター時代に、何度「キース」本人にインタビューを試みたところで、「次の新作はどんな感じ‥」という問いに対する答えは、決まって『Same』と言い切るその潔さに関するエピソードは、僕も含め「キース」の熱烈ファンの間ではつとに有名ですね。以前にラジオの「メロ夜」に「久保田利伸」さんがゲスト出演した際にも、その話題でやたらとお二人で盛り上がっていたことをよく記憶しています。まさに「Changing Same」(変わりゆく、変わらないもの)を地で行くような「キース」を、偏愛する多くのファンが、本国はもとより、ここ「日比谷」にも「今まさに集っている」という状態が、僕としてはなんだかとても温かで嬉しい気分になりました。
今回で4限目となった「メロウな夜間授業」も、初回と二回目で予定の時間をオーバーしたことで、「運営側より、時間内でなんとか終わらせて欲しいとのお願いがあった」と、松尾さんよりお話がありました。この点については、どの企業においても、監督する役所から「働き方改革」などという世間ずれした坊ちゃん総理が掲げるちょっと意味不明なスローガンで尻を叩かれて、どこの会社や職場でも、皆一様に運用面で頭を痛めていますよ。Billboard Japan の運営会社である「阪神コンテンツリンク」さんも同じ波に呑まれているのは疑う余地も無く、従業員さんの残業等々労働環境面で色々苦慮されてらっしゃるはずです。この点に関しては、空転する国会を続けている情けない政治家たちへ、怒りの矛先を向けるしかありません。悪いのは、「Billboard」さんでも「松尾」さんでもありません。きっぱりと、そう申し上げます。なので、お客である我々も、双方のご苦労を理解することは大切ですよね。松尾さんが期待を込めて言及してましたが、「Season 2」の実現に向けて、お互いができることを考えるのも、こんな大人のカルチャーを継続させるには、必要なことですから。
さてさてそんな理由で、後半二部のもはや名物コーナーとなった感のある「メロウTOP20」でしたが、今回より厳選された「TOP10」へと変更となりました。とはいえそこは一流プロデューサーの松尾さん、その代わりに準備してくださったのが、2限目で「ゴスペラーズ」の「黒沢薫」さんから導入されたゲストを招くコーナーが、今回も極秘裏に準備されていました。
授業開始前に会場で、松尾さんが命名したあの『CHEMISTRY 御三家』揃い踏みの「お三方」のお姿を見つけた瞬間に、「これはきっと何か起こる」と確信したのは、やはり間違いではありませんでした。
前半一部では「Team CHEMISTRY」で主に編曲・アレンジを担当される『You Go Your Way』でお馴染みの「MAESTRO-T」こと『豊島吉宏』さんが登壇され、音楽プロデューサー、編曲家、作曲家の立場から、「ニュー・ジャック・スウィング」を音楽理論の見地からロジカルに解剖・解説をしてくださいました。当時世に出現した「N.J.S.」の打ち込みによるスネアの僅か一音だけを徹夜で解剖・解析したことや、結論として「N.J.S.」の歴史における「最初の作品」として後に語り継がれる、「キース」のデビュー曲『I Want Her』には、「N.J.S.」に欠かすことのできない要素が既にすべて内包されていたというのは、とても興味深いお話でした。
そして極めつけは、「TOP10」の発表に先立ち、なんと初回の「夜間授業」にもご出席されていた、キャリアのピークを迎えつつある「CHEMISTRY」の二人をがっちりと両脇から支えている『和田昌哉』さんと『川口大輔』さんのお二人が、後半二部にご登壇されました。
2001年にリリースされた「CHEMISTRY」の1stアルバムの制作時から、松尾さんが全幅の信頼を寄せる現代の国内POP MUSIC 界における最高水準にあると断言できる、音楽プロデューサー/シンガー・ソングライターとしてのお二人のご活躍は、以前に記事としてUPさせていただいた通り。
川口さんの流麗なキーボードのイントロからとてもナチュラルな流れで始まった、和田さんしか表現できない独特のフロウで満たされた「キース」の名曲『Make It Last Forever』は、歌い出しの数秒で会場の空気を一変させました。かつて「avex」へ売り込みの際に、アカペラで歌ったデモテープの一部にも収録したことがあるという、和田さんなりの解釈で歌い上げた『Make It Last Forever』は、本当に多くの人々を感動させました。感受性の高かった20代の頃以来ですよ、人の歌声で、頭のてっぺんから足のつま先まで鳥肌が立つのを感じたのは。「体中に電気が走った」という表現がありますが、それをたった一曲で体感したのですから、本物のヴォーカリストによる「歌声のチカラ」というのは途轍もないのだなと、50代後半になった今認識を新たにした、そんな貴重な数分間でした。そしてなによりも、「ずっと長く一緒に仕事をしてきたけれど、二人がコラボする姿を見て聴いたのは、これが初めて」といって、誰よりも松尾さんがいちばん感動していた様子がとても印象的でした。
この時のご感想を松尾さんだけでなく、毎回ご出席されているはずの、松尾さんお墨付きの、今もっとも熱い「R&B」系音楽ライターの『林 剛』さんもご自身の Twitter でコメントしてましたので、お二人の Tweet もご紹介しておきます。
昨夜の #メロウな夜間授業 にお越しの皆様へ心より御礼申し上げます。キース・スウェットしか流れない濃密な空間で、豊島吉宏、和田昌哉、川口大輔のお三方がご登壇というR&Bファン垂涎の時間となりました。
ぼくでさえ川口さんのピアノで歌う和田さんを観るのは初めて。才能って尊いギフトだなぁと!— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) February 18, 2020
松尾潔さんの #メロウな夜間授業(キース・スウェット回)にて、川口大輔さんのピアノで“Make It Last Forever”を歌われた和田昌哉さんの2019年シングル…会場でCDを入手。ライ(Rhye)を思わせるアートワーク、フランク・オーシャン〜ダニエル・シーザーの流れを汲む切なくも甘美なR&B。名曲! pic.twitter.com/R8j2wGoDi0
— RIN-GO (@hystys) February 18, 2020
「メロ夜」同様、そんな素敵で楽しい時間ほど早く過ぎてしまうもの。
終演に向けて、いよいよ「松尾潔が選ぶ【Keith Sweat – メロウTOP10】」が、カウントダウン形式での発表となりました。
ジェラルド・リヴァート好きな松尾さんだけに、Super Vocal Unit「LSG」の作品が複数入るのは予想してましたが、なんと言っても自分としては全くノー・マークだった「1位」の発表に驚きを隠せませんでした。会場の方も同様の反応でしたから。とはいえ、改めて帰路に就く車中で何度も聴き直した『Right And A Wrong Way』の「滋味深さ」といったらそれはもう・・・
格別の味わいであったという事実を、素直に吐露しておきたいと思います。この1位の発表を知れただけで、僕にとっては参加した甲斐がありました。
以下は、松尾さんがご自身の Twitter にUPしてくださったばかりの、当日の【Keith Sweat – メロウTOP10】です。
第4回『松尾潔のメロウな夜間授業』キース・スウェット編を受講されたみなさんに心からの感謝を。極私的メロウTOP10をあらためてご紹介します。
次回は3/16のマーヴィン・ゲイ。R&B/ソウル史上最高の色男の歌声につつまれる日比谷の夜をどうかお楽しみに!#メロウな夜間授業 #メロウTOP10#松尾潔 pic.twitter.com/qqhHHLNBRG— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) February 18, 2020
そして、参加できなかった全国の皆さんへ、「TOP10 プレイリスト」の準備が整いました。よろしければ、お楽しみください。
『松尾潔のメロウな夜間授業』【Keith Sweat – Mellow TOP 10】
今回も、帰り際に「和田昌哉」さんと少しお話ができ、松尾さんも触れていましたが、3/4に新たなユニット『Fixional Cities』での新曲の配信リリースが決定とのこと。また、5月中旬には SUPER な3人組のユニット『X-Change』による、目黒「ブルース・アレイ」でのライブが、そしていよいよ今年度中には待望の『アルバム』のリリースが予定されているとのことです。これは、忙しくなりますね。期待してます。
Fixional Citiesとして新曲をリリースします。Till the morning お楽しみに!
Me and Tai Furusawa will be releasing a song on March 4 https://t.co/FvsICRS8Dk
— Masaya Wada 和田昌哉 (@masayawada) February 14, 2020
『和田昌哉』さん関連記事はこちらへどうぞ。
『川口大輔』さん関連記事はこちらへどうぞ。
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