ここ数日の寒波到来で、なんだか急に真冬らしくなってきた日本列島です。
さて、5シーズン目の企画となった『Mellow なクリスマス・ソング』のコーナーですが、二年前からはクリスマス・ソングのスタンダード『Have Yourself A Merry Little Christmas』にフォーカスして、世界中の多くのアーティストたちのカヴァーを取り上げています。
今年のVol.4となるカヴァー作品は、英国からのご紹介です。
40代後半から50代の洋楽好きの方であればご存知だと思いますが、Tracey Thorn(トレイシー・ソーン)は相方の Ben Watt(ベン・ワット)とコンビを組んでいた『Everything But the Girl』(エヴリシング・バット・ザ・ガール:EBTG)のヴォーカリストとして広く知られています。EBTGの主な活動期間は1982~2000年頃で、デビュー当時は母国UKをはじめ欧州でジワジワと人気が上昇傾向にあった、「ネオ・アコースティック」と総称されるカテゴリーを代表するデュオ・グループでした。彼らの生み出すシンプルで繊細なアコースティックサウンドへの人気は凄まじく、僕個人も想い入れが大きく当ブログ内でも幾つかの記事と楽曲の紹介をしています。
グループ解散後の二人は、デビュー当時のサウンドとはまったく異なった方向性に活路を見出し、活動中期頃から徐々に僕個人としてはちょっと苦手なエレクトロ・ポップ~ラウンジ・ミュージックへと、足場を移していくのでした。
再結成や過去の路線の復活をノスタルジックに期待するファンも多いなか、「以前からクリスマス・アルバムをリリースしたかった」というトレイシーが、3年前(2012年)に突如発表したのが『Tinsel And Lights (ティンセル・アンド・ライツ)』です。
Tracey Thorn / “Have Yourself A Merry Little Christmas”
(album: Tinsel And Lights – 2012)
アルバム中で、いわゆるクリスマス・スタンダードと呼べる目立った作品は「Have Yourself A Merry Little Christmas」くらいのもので、やはりトレイシーほどのアーティストでもこの作品を歌ってみたかったのかと思うと、なぜだか妙に納得がいく気がします。それだけシンプルで美しい楽曲だということなんでしょう。