George Michael(ジョージ・マイケル)の不朽のクリスマス・ソング『Last Christmas (ラスト・クリスマス)』のカヴァー作品を取り上げご紹介している、今年の冬の恒例企画『Mellow なクリスマス・ソング ~ 2016』の第五夜です。
今回ご紹介する Kim Wilde(キム・ワイルド)は、1980-90年代にかけて活躍した英国はロンドン出身の女性シンガーです。当時はマイケル・ジャクソンに代表されるように、「MTV」が大流行していて、世界中の多くのアーティストたちがこぞってオリジナリティの高いプロモーション・ビデオ(PV)を発表し、その出来・不出来によってレコードやCDの売り上げが決まってしまうくらいの、アーティストにとっては非常に重要な販促ツールでした。現代のようなYouTubeはじめSNSはもちろん、個人使用のPCもインターネットの存在さえない時代ですから、プロでないアマチュア・ミュージシャンが自作品を世界に広めるなどという術など、当然どこにもありませんでした。
うまくMTV時代の潮流に乗ったキム・ワイルドは、「ホール&オーツ」「フィル・コリンズ」「ビリー・ジョエル」ら当時のBIG NAMEたちも(あくまでいい意味で)リサイクルしたモータウン(Motown)サウンドのリバイバル・ブームにあやかって、The Supremes のヒット曲 “You Keep Me Hangin’ On” をカヴァーして世界的なヒットにつなげることに成功しました。
そんな彼女が、一度2013年にリリースしたホリデイ・アルバム『Wilde Winter Songbook』に6曲ほど追加収録した『Wilde Winter Songbook (Deluxe Edition)』を昨年(2015年)再リリースし、その中に『Last Christmas』のカヴァーが収録されています。かつては故マイケル・ジャクソンの欧州ツアー時のオープニング・アクトを任されていたほどの実力派ですから、原曲をあまりいじらずシンプルなアレンジで安定感のあるパフォーマンスを披露してくれています。
Kim Wilde – Last Christmas (2015)
また、本アルバムには昨年までこのコーナーでフォーカスしていた『Have Yourself a Merry Little Christmas』も漏れなく収録していまして、そのカヴァーの出来といいアニメのOfficial PV がなんともいい味を出しているので、おまけでUPしておきます。
Kim Wilde – Have Yourself A Merry Little Christmas (Official Video)
キム・ワイルド、この方も僕と同年代の人ですが、大人が聴いて魅力のある作品を今後も期待したいところです。うまく表現できないのですが、他の国々のアーティストたちと比較すると、英国のアーティストはやはり「何かが、どこかが」決定的に違うんですよね。それは「THE BEATLES」はじめ偉大なアーティストたちを輩出してきた、「土壌」に他ならないのかもしれません。