Mellow Tunes ~ Vol.109 【Best Mellow Tunes 2016】

今年はカレンダーの関係で、23日の祝日から3連休という方も多いんでしょうか。そんなことも手伝ってか、「年の瀬だな」って感じる今年の師走です。

記事中でこれまで幾度となく書いてきたように、今年が明けてすぐに、ナタリー・コールの訃報から始まり、デヴィッド・ボウイ、グレン・フライ、モーリス・ホワイト、プリンス、トゥ-ツ・シールマンス、ロッド・テンパートン、カシーフそしてレオン・ラッセルと、ジャンルは違えども若い頃からいろんな意味で影響を受けた偉大なアーティストたちが次々と夜空の星となっていった、今まで経験したことのないような物悲しい2016年でした。

それくらい残念で涙も枯れ果てた思いで一杯だった2016年でしたが、そんな悲しい出来事があって、それがきっかけとなり初めて接することが可能になる、偉大なアーティストがいたりすることがよくあります。アートであったり小説であったり、また音楽であったり、初めて遭遇するアーティストや作品と出逢う瞬間とは、そんなことも少なくないのではないでしょうか。

「PRINCE」。そう彼こそが、僕にとってはまさにその存在だったといえます。
類まれな才能とエンターテイナーぶりは分かってはいたけれど、いろんな意味で妖しいプリンスとは、なんだか生理的に受容することが困難な存在でした。もっともそれは、彼のアーティストとしての初期のイメージに囚われすぎていた、いわゆる「先入観」からだったということは、今となってはまったく否定できない事実です。
プリンス逝去の後に、米国だけでなく世界中から連日のように発信された多くの追悼報道からも窺い知ることが出来るように、一音楽家としての才能・愛情・狂気・フィロソフィーなどに触れる機会が沢山ありました。米国史上初の黒人大統領であり、Jazz/Soul/R&B等黒人音楽がルーツとなった音楽に多大な関心と愛情を示した、今期で退任することが個人的にはとても悔やまれる「バラク・オバマ」合衆国大統領による、プリンス逝去の際に発した追悼コメントが、その存在のすべてを集約しているように思えるので、ここに紹介しておきたいと思います。

 


「今日、世界はクリエイティヴの象徴を失いました。」
「ミシェルと私は、プリンスの急逝を悼む世界中の何百万人というファンと共にあります。彼ほど鮮烈にポピュラー・ミュージックのサウンドと軌跡に影響を与え、その才能が数多くの人々に触れられたアーティストは僅かです。最も才能豊かで、最も多作な当代きってのミュージシャンとして、プリンスはすべてを手掛けました。ファンク、R&B、ロックンロール。彼は演奏の名手であり、素晴らしいバンドリーダーであり、衝撃的なパフォーマーでした」「『力強い魂はルールを超越する』。かつてプリンスはこう言いました――そして、彼ほど力強く、大胆でクリエイティヴな魂の持ち主はいませんでした。彼のご家族やバンドメンバー、そして彼を愛したすべての人に哀悼の意を表します」    
President Obama

以降、食わず嫌いだったプリンスの多くの作品に触れるにつけ、彼の万華鏡のように常に変化し続ける多彩な音楽性に打ちのめされてしまいました。本人の逝去後に世界中のコアなファンたちからuploadされ続ける際限のない動画や音源の数々は、「音楽配信」に否定的な態度を取り続けた最も著名なアーティストの一人であったプリンスにとって、もしも存命であったなら、この状況をどんな風に受け取るのでしょうか。
アーティストの伝えたいことが一瞬にして世界中に拡散できてしまうこんな情報化の時代だからこそ、プリンスは「CD/レコード」といったパッケージ、つまりは「アルバム」でしか伝えられないアーティスト側の想いに、ずっと拘り続けたのかもしれません。

前置きが長くなりましたが、今年自分が出逢った感銘を受けた作品ですが、故プリンスが2008年実施の第50回「GRAMMY AWARDS」において『Best Male R&B Vocal Performance』を受賞していた、『Future Baby Mama』を取り上げたいと思います。2007年リリースのアルバム「Planet Earth」に収録された『Future Baby Mama』は、プリンスの慈愛のようなものが凝縮されているように思える、それは美しいバラッドです。ぜひ多くの人々に知っておいて欲しい、プリンスの作品です。
 


 

そして、Bruno Mars (ブルーノ・マーズ)による快進撃でも分かるように、80’s ~90’sの音楽がリバイバルしてきている風潮の中で、今年2016年リリースされたメロウな作品(音楽)を提供してくれるアーティストの中でも、ひときわ際立った新作を届けてくれたのが、もはやR&B界の重鎮とも言える「Keith Sweat(キース・スウェット)」でした。
実に約5年ぶりのスタジオ録音となる New Album 『Dress To Impress』ですが、立ち位置の軸がまったくブレないアーティストの代表みたいな彼ですが、本作はまさに10年に一度出るか出ないかの素晴らしいアルバム内容となっております。R&Bのラブソングのお手本のような作品Cant’ Let You Go、故ジェラルド・リヴァートをフィーチャしたLet’s Go To Bedでは「LSG」時代を懐かしく思い出すことができます。
個人的「Best Album of The Year 2016」と断言できるほどの、そんな秀作揃いの作品群の中でもひときわ輝くのが、今年の「Best Mellow Tunes 2016」に選んだ『Say』という楽曲です。

 


Keith Sweat / Say (album: Dress To Impress – 2016)

 

ピアノとささやかなストリングスだけで構成されたこの作品は、安定感のある歌唱力を持ったヴォーカリストでしか表現できない難しさがあると容易に想像でき、まさにキースの真骨頂を見せつけてくれます。
いつの時代も”same”であることにこだわり続けるキースのような貴重なアーティストには、未来永劫ずっと頑張っていただきたいものです。

以上、2016年に出会った個人的【Best Mellow Tunes 2016】でした。

 

 

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