店舗設計をする際、正直なところカウンターを設置するか否かずいぶんと悩んだ時期がありました。
結果としては、ご来店されたお客様はご存知の通り、5名様は収容できるカウンターを導入しました。
街中のFCチェーン店などにあるカウンターでは、都会の道行くお客様がふらっと立ち寄って、壁に向かったカウンター越しにコーヒーをすすりながら携帯をいじる姿をよく見かけます。本来カウンターは、方向として厨房の方を向くべきか、それとも他とのコミュニケーションを排除した壁や窓を向くべきものなのか、答えはケースバイケースなんだと思うのです。たぶんお店のロケーションや客層、営業時間等によって変化するものなんでしょう。
『カウンターは取り入れるべきだよ』
そうアドバイスをしてくれた業界の大先輩がお二人いらっしゃいました。結果としては、やはり導入して正解でした。
お酒を提供するお店に限らず、「カウンター」にはマスターを中継して知らない方同士が、一瞬にして仲良くなれるマジックが存在しているのです。
今日も、夕方になって数日前に初めてお越しいただいたシニア世代のライダーの方に再びご来店いただき、今日はカウンターにお座りくださいました。ほどなくすると、先日より社会保険の手続きでお世話になっている協会の方が、今日もご帰宅の途中で立ち寄ってくださいました。
年代が比較的近いお二人は同じ市内に長く在住されていても、もちろんお互い知らない間柄です。JAZZとブリティッシュ・フォーク・ロックの話を私を中継してやり取りしているうちに、音楽好きという部分でなんだか妙なインスピレーションを感じたので、失礼を承知でお尋ねすると、出身地や育った場所それぞれでも、なんと私たち3人とも同じ都内の学校の卒業生でした。世代や年代は違えど、こんなことが自分の始めたカフェのカウンターで起きるなんて、なんてすごいことなんだろうと、とても嬉しく思った一日でした。
携帯やメールによるコミュニケーションが盛んな現代において、こんな素敵な生身の『人対人』の本来のコミュニケーションが生まれる、厨房のマスターに向けた従来型のカウンターの存在って、「いいなぁ」としみじみ感じた、お客様の少なかった今日の出来事でした。
今日もとてもよい経験をさせていただきました。毎日の新しい出会いに、感謝の思いで一杯です。