そろそろクリスマスのムードも高まってきたような時期なんでしょうか。
お店をオープンしてから、JAZZにあまり詳しくないお客様から、玄関ドアを開けて真っ先に目に入る一枚のレコード・ジャケットについて、ときおり質問を受けることがあります。
よい機会ですので、音源と一緒にお伝えしたいと思います。JAZZファンの方であればほとんどの方がご存知かもしれませんが、バイオレットの色調のあの美しいレコード・ジャケットは、Bill Evans Trio (ビル・エヴァンス・トリオ)の “Waltz For Debby” (ワルツ・フォー・デビー)という1961年に米国・NYのヴィレッジ・ヴァンガードというライブ・ハウスで録音された、奇跡の名盤と永く伝えられ愛されている作品です。
当時まだ駆け出しのビル・エヴァンス率いるトリオの演奏は、周囲の食事をしたり談笑したりする観客の声や雑音の最中で、淡々とひたすら静かに美しい旋律を奏でていくのが、鮮烈な印象を聴く者すべてに与えます。とりわけ1曲目の『My Foolish Heart』のリリカルな響きに胸を打たれます。
僕は25の歳に、このアルバムの音源が録音されたその場所をこの目で確かめたくて、そのNYのライブハウスを訪れたほどでした。
初めて聴いて以来30年が経過する今でもそうですが、心が折れそうな時や辛いときなど、この曲やアルバムに何度となく救ってもらった記憶がずいぶんとあります。そして今でも、一日の終わりには必ずといっていいくらい聴いているナンバーです。
Bill Evans Trio – “My Foolish Heart”
18歳で出会ったこの大切なアルバムを、以来30年に渡り住む場所も変わる都度、大切に今のお店まで運んできて、ようやく念願叶ってお店のいちばん 目に付く場所に飾ってあげることができました。まさに『My Foolish Heart』といったところでしょうか。(笑)実はその他のレコード・ジャケットも同様なんです。
曲を知っている方にもご存じない方にも、僕からのささやかな X’mas プレゼントです。
ぜひ、音量をすこし上げて聴いてみて下さい。