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Mellow Tunes ~ Vol.107 【Born to Be Blue】

2016年が明けてすぐに、特には記事をUPしませんでしたがデヴィッド・ボウイ(David Bowie)逝去のニュースから始まって、それはそれはこれまでまったく経験したことのないほどの、多くの偉大な音楽家たちがこの世を去っていった、悲しいニュースと向き合わねばならない年だったといえます。
できれば、この辺でそんなニュースは打ち止めにしてもらいたいところです。

さて、もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、当ブログの右側のウィジェット(PCモードでの閲覧時)を少しリニューアルしたついでに、お薦めのトピック(音楽や映画等々)を取り上げるスペースを追加しました。TwitterFacebookなどのSNSが大の苦手なので、なかなか記事更新がままならないときには、補助的にこのスペースとエリアを利用し、小出しに情報を発信していこうという次第であります。

 

 [映画の詳細についてはこちらをClick]

当ブログ読者の皆さんにおいては、かなりの割合で好きなJAZZミュージシャンの一人に挙げられることも多いかと想像いたしますが、今はもうレジェンドとなって久しい Chet Baker (チェット・ベイカー)の自伝的な映画『ブルーに生まれついて』(原題: Born to Be Blue)が、日本国内で間もなく公開されます。2015年のカナダ・イギリス合作で、ロバート・バドローが監督と脚本を手がけており、Ethan Hawke(イーサン・ホーク)がチェット・ベイカーを主演しています。すでに第28回東京国際映画祭のコンペティション部門にて『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』として上映されおり、ジャズ批評家や熱狂的なファンの間では好評価のようです。僕自身も本作を見る機会があり、日本語字幕なしなので細かいニュアンスが分からない部分も多々ありましたが、1986年に公開された伝説のテナー・サックス奏者のデクスター・ゴードン(Dexter Gordon)本人主演の映画「Round Midnight」以来の、感動的なジャズメンを描いた作品として心に刻まれました。

lets-get-lost1988年にアムステルダムのホテルの窓から転落死したチェット本人が主演し、ファッション・フォトグラファーのブルース・ウェーバーが撮影・監督をした本当の意味での彼の自伝的映画作品であるLet’s Get Lost(1988公開)が、ジャズ・ファンの間では有名ではありますね。ですが、麻薬と名声に溺れ堕落していきながらも再起を賭けて再びNYに戻るまでを描いた本作品において、イーサン・ホーク演じるチェットは、「チェットって本当にこんな人だったのでは..」と思えるくらいのはまり役振りに、まず驚かされます。また、ここまで破滅的な人生を歩んだチェットのダメ男っぷりを描いたという点においては、製作に携わったイーサン自身による「人ってそんなに強くないんだよ」っていうようなメッセージ、そして何より「憎めない男」チェットへの理解と愛情をひしひしと感じることができ、ある意味すごく潔い作品となっている気がしてなりません。それと、パートナーのジェーン/エレインを演じる Carmen Ejogo(カルメン・イジョゴ)の演技も素晴らしく、彼女なくしてはこの作品は生まれなかったかもしれません。

劇中チェットを演じるイーサンが披露するヴォーカル2曲「My Funny Valentine」「I’ve Never Been In Love Before」は、チェットの持つそれとはまた一味違う「儚げでまるでガラス細工のような」イーサンらしさ溢れる作品となっていて、とても興味深いものがあり必聴ものです。

 

映画『ブルーに生まれついて』予告編

 


  Ethan Hawke/ “My Funny Valentine”
(Special Trailer from motion picture “Born to Be Blue”)

 

かつて、Mellows の客席の壁に飾ってあったアルバム『CHET』のレコード・ジャケットを覚えてらっしゃるお客様も多かろうと思われます。すでにファンの方も、まだチェットに出会っていない方も、どうぞこの機会に彼の生き方に触れてみるのも悪くはないかもしれません。尚、チェット・ベイカー関連のUP済の記事についてはこちらへ、そして「My Funny Valentine」に興味を持たれた方はこの作品についての過去特集記事へどうぞ。これまでも色々と紹介しています。