日本列島をすっぽり覆いつくすような寒波がやってきています。今日の午後のニュースでは、箱根でも積雪となっているとか。そんな寒い季節にこのタイミングで、個人的に嬉しいニュースがありました。
11月の最終記事・『心がやわらかさを取り戻す一冊』でご紹介した、作家・森沢明夫氏による、実在する房総の岬の突端にある喫茶店をベースに書かれた小説『虹の岬の喫茶店』が、以前から噂は聞いていましたが、現代の日本を代表する大女優である「吉永さゆり」さん主演で、本作品の映画化の製作発表会が都内であったそうです。
映画の作品名は『ふしぎな岬の物語』と名を変えるもの、原作に出会った吉永さんが「この優しく温かい物語を映画として観客に届けたい」という思いから、成島監督と共同で初めて「プロデューサー」として「企画」そのものに携わることになったそうで、共演する阿部寛や笑福亭鶴瓶へ出演依頼の手紙を自ら書いたというほどの力の入れようだそうです。
僕自身じつは簡単に一日で読めてしまうこの小説を、あまりにハート・ウォーミングなストーリーにジ~ンときてしまって、読み終えてしまうのがもったいなく、いまだに4章目を読み終えたところで自らストップを掛けています。(笑)読み終えてしまうと、この居心地のよい喫茶店とサヨナラをしないといけないような気分になってしまうので・・・
40を過ぎた頃から、なんだか読み応えのある現代小説を見つけることができず、また同時に魅力も感じなくなり、ここ10年ほどは「司馬遼太郎」をはじめとする歴史ものばかりに手が伸びるような状況でした。僕は12/27でこの世に生を受けてちょうど半世紀となりますが、ゆえにそれなりに多くの本や小説を読んできましたが、これほどまでに『読み終えたくない一冊』に出逢ったのは生涯初めてかもしれません。どこにでもありそうでいて、でもなんだかなさそうでちょっと洒落ていて、そう、一つのストーリーを読み終えた瞬間に「ものすごく気持ちのいい風がスルスルと自分の脇を通り抜けていくような」、そんな印象が残るんですね。かつて、1970~80年代に「片岡義男」さんの小説に夢中になった世代の方々には、違いはあれども森沢明夫氏の作風にどこか懐かしさを感じるのではないでしょうか。
映画『ふしぎな岬の物語』は、 2014年秋に全国ロードショーの予定だそうです。どんな映画になるかほんとに楽しみです。
それまでにぜひ「原作」を読んでいただけたらと思います。読んだ人は皆、心がやわらかさを取り戻したのを実感できるはずです。(右側のサイドバーに「お薦め」としてAmazonへのリンクもご用意いたしました)
追記:いよいよ配給元の東映のHP上に『ふしぎな岬の物語』公式サイトが開設されました。
各界から大物の参加・協力が期待できるようです。ますます楽しみですね。