退職願

本日夕方、以前からこのタイミングでと考えていた、退職願を上司に提出した。
いきなりだと驚かれると思っていたので、昨晩一応含みを持たせて上司のスケジュールを確認しておいた。

そうはいっても、やはりそんなものを出されてビックリしない人はいないものでしょう。よほど、辞めて欲しいと思われてない限りは。提出するこちらも、20年以上勤めた会社を解雇ではなく自主的に辞めるわけだから、悩まなかったわけでは、もちろんない。しかし、日に日に失われていく今の仕事へのモチベーションと相反するように、自分の本当にやりたかった、そしてある程度の老齢になっても続けていける可能性のある仕事への想いを断ち切ることは、結局のところできなかったのだ。そう、25年に渡り慣れ親しんだ業界を去り、新たに異分野での独立を目指す道を選択したのだ。

ありがたいことに上司からは、「これからも一緒にやれず、残念だ..」とは言ってもらえたが、僕の今後の人生をどう生きてゆきたいのかという部分をじっくり説明すると、『やりたいことがあって、それに思い切って飛び込めるのが羨ましい』と、逆に熱いエールいただくことに。

とはいえ、自分が今後どんな仕事に就くのかと言う点については、現段階では会社の誰にも言いたくなかったので、伏せておいた。サラリーマンが組織を出て、一人で何かを興そうとしたとき、おそらく九割方の人間から、「辞めとけ」「無茶だよ」「時期が悪い」などと言われるのが相場であろうと思うし、先行きを心配し皆がそう言うこと自体を否定するつもりもない。

「何をやるか」を言わない理由は単純明快だ。形になったものをその時点で純粋に評価してもらいたいだけなのだ。何も始まっていない段階で、勝手な想像だけで評価されるのに、耐えられないだけなのだ。立ち上がった段階で初めて、見て・聞いて・触れて・感じて、その時点で評価してもらいたいのだ。そのときはもちろん、辛辣な意見も大歓迎しようと思っている。

出すものを出した後で事務所の外に出ると、12月の寒空に昇りかけの月が煌々と、せわしなく離発着を繰り返す成田空港のランプ周辺全体を照らしていた。
まあ、風も冷たいこと。でもこれからは、「もっとすごい寒風に立ち向かわねばならないんだなあ…」などとふと思いつつ、ひとつ深呼吸をした12月の夜でした。

 

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Fly Me To The Moon ….